ガーリルに連れられて、アクアは牙の共鳴する空間へと辿り着く。
最後の1つ、海の牙を渡すよう迫るガーリルに、アクアは拒否し続ける。
そこへ王家親衛隊長ガーラスの報告によりブルース達がアクア救出の為に向かってきていると情報が入り驚くガーリルだったが、逆にそれを利用しようと企む。
~牙の覚醒~
ブルース「先に進めば進むほど…強い力を感じないか?」
ラクト「やはりお前も感じていたかブルース。これは恐らく…牙の。」
スノウ「(何だこの嫌な感じは…!まさかアクアの身に何か!?いや…ガーリルは絶対にそんな事はしない。あいつを…信じてやらないでどうする!)」
マリン「どうしたのスノウ?ひどく顔色が悪いわ…。」
スノウ「いや…大丈夫だ。」
一行が進む一方、ガーリルは牙を眺め、アクアはその場から動かなかった。
ガーリル「さてアクア、お前には一仕事してもらおう。」
アクア「私は…貴方の陰謀に協力する気は無いわ。」
するとガーリルはゆっくりとアクアに近づき、覆い被さった。
驚いて抵抗するアクアだったが、ガーリルの吸い込まれそうな美しく輝く瞳に体中の力が抜けて思わず魅入ってしまった。時には怪しく不気味に、時には優しく、哀しげに輝く彼の瞳…。
ガーリル「相変わらず強気な答えだな。だが、それもいつまで持つのかな?」
そう言うとガーリルはアクアから離れた。
しかし…アクアは気付いた!自分の体が闇の鎖で固定されて動かないことを!!
ワニの姿に戻り鎖を噛みちぎろうとも思ったが…ワニの姿に戻ることもできない。
アクア「ガーリル…何のつもり?この鎖を解いて…!」
ガーリル「お前にはそこでじっとしててもらう。俺はこれから大事な取引をしなければならない。
危険を顧みず、ブルース達は進み続けた。そして…。
ブルース「アクア!大丈夫か!?」
アクア「パパ!」
ブルース「ガーリルが居ないみたいだが…今はそんな事言ってる場合ではない。待ってろ!今そこへ行くからな!」
アクア「来ちゃダメ!そこは…」
次の瞬間!闇の鎖が足下から勢いよく飛び出し、ブルース達を拘束した。
そして…闇の中から現れたのは…ガーラス!
ガーラス「まんまと引っかかりましたね。簡単に会わせる程、我々は暇ではありません。我が主君への妨害…少々度が過ぎてませんか皆様?」
ブルース「黙れ!どんな理由があろうとも、牙を悪用する事は容認できない!何よりも、大切な娘をさらわれて、そのまま立ち去る親がどこにいる!!」
ガーラス「娘を思う親の気持ちですか…それは泣かせる話です。しかし…我が主君、ガーリル様がこの65年間をどの様な思いで過ごされてきたか、ブルース様達にお分かりですか!?故郷を離れ誰にも頼ること無くお1人で耐え、目的の為に命を落とすよりも辛い選択を選んだあの方の苦しみ…その苦しみから解放されようとしているのです!もうこれ以上邪魔はさせません。」
闇の鎖は序々に強く閉まり、ブルース達は苦痛に顔を歪める。後にガーリルも現れたが、ブルース達を解放せず苦しむ彼らを見ようともしなかった。
アクア「やめて…!お願いガーリル、みんなを解放して!」
ガーリル「…解放して欲しければ、おとなしく言う事を聞いて牙を渡すんだアクア。そうすれば、すぐに解放してやる。お前も自由になれるんだぞ。」
ブルース「ダメだアクア…そ、れだけは、絶対に…!」
ガーラス「無駄話はそこまでにしてもらいましょう!」
闇の鎖は更に強く閉まり、苦しむ姿に、アクアは涙を流し、解放するようガーリルに必死に訴えた。しかし彼からの答えは変わる事無く、牙を渡す事だった。牙を渡してはならないと訴えるブルース達に、闇の鎖は容赦無く強く閉まり苦しめる。一方、牙を渡さなければ解放しないと言うガーリル。
響き渡る皆の苦痛の声と、ガーリルの声。アクアは大粒の涙を流して葛藤した。
するとガーリルはアクアを拘束していた闇の鎖を消し、アクアの顔を掴み無理矢理ブルース達の元へと向けさせた。
ガーリル「さぁどうする!?お前の返答次第でどうにでもなる!」
その時!ブレスレットに封印された【海の牙】が光り出し、
アクアはワニの姿へと戻った。そして…
パキ…ン
氷の割れるような音がしたかと思うと…牙を護っていたクリスタルが砕けた…。
そして、海の牙が弱々しい蒼の光をまとっている。
アクアは意識を失い、ドシンと音を立ててその場に倒れた。
ガーリルはアクアの元へ近づき、そっと海の牙へ触れると…牙はガーリルの手の中でその光を失った…。
ガーラス「ガーリル様!」
ガーリル「遂に…遂に全ての牙が揃った!」
ガーラス「ブルース様達はいかが致しますか?」
ガーリル「…解放しろ。どのみちすぐには動けまい。」
ガーラス「はっ。」
闇の鎖は消え、ブルース達はその場に倒れ込んだ。
痛みに耐えながら、皆がアクアの元へと行こうとしたが
序々に意識が薄れていき…ブルース達は気を失った。
ガーリルは海の牙をそっと床に置いた。すると…!
牙はそれぞれが強い光を発した!そして…それぞれの牙は国宝である剣に姿を変えた。
ガーリル「我が剣…ダークサーベルよ。全ての牙の力を己の力とせよ。」
剣を手に取ったガーリルがそう唱えると、他の牙の力は全てダークサーベルに吸収された。
全ての力を手に入れた剣は、様々な輝きを放ち、とても強い力を宿しているのが分かる…。
ガーラス「ガーリル様、やっとこの日が来たのですね…!」
ガーリル「あぁ、そうだ。この力…凄まじい。やはり娘のアクアは特に強い力を持っているようだな。牙の暴走を一生懸命押さえたようだが、やはり耐えきれなかったか…それで意識を失ったようだな。」
しかし…喜びに浸る彼らを驚かせる出来事が!
王家親衛隊「が…ガーリル…様!」
ガーリル「…ど、どうした!おい、しっかりしろ!」
王家親衛隊「奴です!奴が…遂に姿を…!」
ガーリル「何だと…!?それは本当か!」
王家親衛隊「間違いないです…。我自身だからな。」
ガーリル「なっ…!?」
ガーラス「ガーリル様、お下がりください!」
謎の声『65年も掛けて集めるとは…大した者だな…。』
王家親衛隊から離れ、ガーラスが剣を抜き構えると…親衛隊員の体から実体を持たない何者かが抜け出して姿を現した。その正体は!?
~To be continued…~