小説「緑髪の少年(再会編)」~ブキの声を聞きたくて~

ブキチは装置を作る為に朝早くから作業に入り、あっという間にお昼になっていた。

よっちゃんはお昼ご飯の差し入れに行き、スルメさんのお店ではまめお、まめみ、ポナの3人が装置について話をしていた。

まめみ「どんな装置が出来るんだろうね。」

ポナ「楽しみだなぁ。」

まめお「ポナは、どのブキの声が聞いてみたいんだ?」

ポナ「僕はブキの声が聞けるならどれでもいいよ。まめおとまめみのように会話は出来なくても…声が聞けるってだけでワクワクするよ!」

そう言って嬉しそうに笑うポナを見て、まめおとまめみも優しく笑った。

まめみ「ハイドラントはどうかな?」

まめお「いや!あのオッサンだけはやめとけ!」

まめみ「え~何でよ~!」

ポナ「僕はハイドラントでも構わないよ…?」

まめお「…ハイドラントだとクセが強いだろ、ポナの事も考えて…ここはパブロがいいんじゃないか?」

まめみ「パブロかぁ…パブロなら、優しいお姉さんだから、ポナ君も安心するかな。」

ポナ「うん…確かに、優しい声なら僕も安心するよ。」

まめお「それじゃあ、パブロで決まりだな。(よかった…ポナにあんな変態ブキの声なんて聞かせられねぇよ…!)」

期待に胸を膨らませる中、1日は過ぎて…

~次の日~

ブキチがスルメさんのお店にやって来た。

スルメさん「おうブキチ、調子はどうや?」

ブキチ「お陰様で、無事に装置が完成したでし!」

スルメ「さすがブキチ、仕事が早いわ~!」

まめみ「あ、ブキチいらっしゃい!」

ブキチ「まめみちゃん、ポナ君はいるでしか?」

まめみ「ポナ君は、もうすぐここに来るよ。」

ブキチ「それじゃあ、待たせてもらうでし。」

そう言って椅子に座ったブキチ。

まめおも奥から出てきて、みんなでポナが来るのを心待ちにしていた。

すると…ポナがペコを連れてやって来た。

ポナ「おはよう。」

ペコ「お邪魔します。」

まめみ「おはようポナ君、ペコちゃん!」

まめお「ブキチが来てるぜ。」

ポナ「本当?という事は…。」

まめみ「うん、装置が完成したって!」

ポナ「わぁ…これでブキの声が聞けるんだね!」

そう話すポナはとても嬉しそうで、その場に居たみんなもつられて笑顔になった。

お店を臨時休業にして準備を整え、みんながその瞬間を待っていた。

まめみ「ねぇブキチ、早く見せてよ~。」

ブキチ「焦らないでし、今出すでしよ。」

そう言うとブキチは、大きなカバンから装置を取り出した。

装置は2つあり、ヘッドホン型とヘルメット型の2つがあった。

ポナ「これは…?」

ブキチ「今回の装置はあくまで試作品でし。ポナ君には好きな方を装着してもらって、それでブキの声を聞いてもらうでし。」

ポナ「うん、分かった。」

ブキチ「それじゃあ、まずはヘルメット型を…。」

ポナ「ん…頭が…少し窮屈に感じるかな…。」

ブキチ「サイズが少し小さかったでしかね。それじゃあ今回はヘッドホン型にするでしか。」

そう言うとブキチはヘルメット型の装置をしまい、ヘッドホン型の装置をポナに手渡した。

そしてポナは、装置を装着した。

まめみ「どう、ポナ君?」

ポナ「うん、ヘッドホンはいつも音楽聴くのに使ってるから、この装置は使いやすい感じかな。」

ブキチ「それじゃあポナ君、いよいよ始めるでしよ。スイッチを入れたら、試しにまめお君とまめみちゃんでブキと会話をして欲しいでし。」

まめお「おう、分かったぜ。」

まめみ「うん、あたしも大丈夫。」

ブキチ「準備はいいでしね?行くでしよ。」

そう言うとブキチは、装置に付けられたスイッチを入れた。

ピピッ…

ヴゥーン…

ポナ「……………!!」

スイッチを入れた直後、不思議な電子音が鳴り…ポナの瞳が大きく見開かれた。

黒目の部分は小さくなり…いわゆる瞳孔が開いている状態だ。

ペコ「ポナ…大丈夫…?」

ブキチ「心配ないでしよ、装置から出てる特殊な電波の影響でし。ポナ君には今、ブキの声以外は一切聞こえてないでし。」

ペコ「そうなのね…それならよかった。」

ブキチ「それじゃあ2人共、パブロと会話して欲しいでし。」

まめみ「うん、分かったよ。パブロ、よろしくね。」

パブロ「(ええ、任せて。)」

ポナ「……………!」

パブロ「(ポナ君、聞こえてるかしら?)」

まめお「ブキチの装置が成功してれば、声は聞こえてるはずだぜ。」

ポナ「(ブキの声…聞こえる…!)」

まめみ「ポナ君、ブキの声がどんな風に聞こえてるんだろうね。」

パブロ「(会話が出来なくても…私達の声が聞こえてるなら、それだけでも嬉しいわ。)」

まめみ「そういえば、この前もポナ君と一緒にナワバリしたよね。」

パブロ「(えぇ、とっても楽しかったわね。)」

まめみ「うん、楽しかった!」

パブロ「(ふふっ…とてもいい笑顔よ、まめみ。)」

まめお「あの日は、お前もパブロもご機嫌だったもんな。」

パブロ「(今度はまめおも一緒に行きましょう?)」

まめお「あぁ、俺もポナと一緒にナワバリやりたいからな!」

ポナ「(パブロは…まめおやまめみと会話してるみたいだね。すごい…こんな風に聞こえるんだ…。)」

しばらくパブロの声を聞いていたポナ。

そして…時間が来たので装置のスイッチを切った。

しかし…ポナの様子がおかしい。

少し顔色が悪く…頭を抑えて顔をしかめている…。

まめみ「ポナ君…どうしたの…!?」

まめお「おいポナ、大丈夫か…!?」

ペコ「ポナ…!?」

ポナ「うっ…頭が…ズキズキする…!」

ブキチ「やはり副作用があるでしね…。」

まめみ「副作用…?」

ブキチ「この装置は特殊な電波を使う故に、数分は頭痛が起こってしまうんでし…。健康に影響はないでしが、それだけは何とも出来ないデメリットでしね…。」

ポナ「うぅ…そう…なんだね…。」

ペコ「ポナ…。」

まめお「店の奥で休ませよう、スルメさんとよっちゃん呼んでくる!」

こうして…ポナは店の奥に運ばれ、布団で横になった。

数分後に頭痛は嘘の様に治まり、念の為その後もしばらく休ませてもらった。

To be continued…