あれから数日後…すっかり回復したポナと一緒にハイカラシティへ向かったまめみ達。
この日は6人でプラベをする事に。
チーム分けはまめおとフー、スーが同じチーム。まめみとポナ、ペコが敵チームになった。
場所はキンメダイ美術館、試合がスタートしてみんなそれぞれに楽しんでいたが…。
まめみ「ん…!(押されてる…負けたくない…!)」
そう思ってハイドラントを強く握りしめたまめみ。
スペシャルのスーパーセンサーも発動してチャージを溜め…まめお達に攻撃していたが…!
まめお「まめみ!?お…お前その髪の色どうしたんだ!?」
まめみ「え…?」
ポナ「まめみ!か…髪の色が…!」
ペコ「髪がピンクじゃなくて…黄色になってる…!」
まめみ「え…えぇ…!?」
試合を1度中断してハイドラントを置き、自分のゲソを見ると…
まめお達の言う通り、彼女の髪は黄色に変化していた…。
スー「一体何が起きたの…!?」
フー「まめみ…今までこういう事はあったのか…?」
まめみ「ううん、こんな事一度も無いよ…!あたし…どうしちゃった…の………」
グラッ…!
ポナ「まめみ!」
突然目の前がグラッとしたと思ったら…まめみはそのまま倒れて意識を失った。
幸い地面に倒れる寸前でポナが抱き止めた為、大きなダメージは受けずに済んだが…まめみは意識を失ったまま、青ざめた顔をしていた。
まめお「まめみ!まめみどうした!?」
フー「スルメさんとよっちゃんを呼んでくる!」
プラベを中断し、ポナがまめみを抱きかかえてスルメさん達の所へ連れて行った。
しばらくして…
まめみ「ん…………。」
まめお「まめみ!」
まめみ「ん…まめ…お…。」
ポナ「まめみ…大丈夫…?」
まめみ「ポナ君…みんな…うん…大丈夫…。」
そう言うとまめみはゆっくりと起き上がり、水を一杯飲んだ。
ペコ「びっくりしたわ…突然倒れたから…。」
まめみ「あ…そういえばあたし…突然グラッとして…そこから記憶が無い…。」
フー「真っ青な顔して倒れたから、何事かと思った…。」
スー「でも、無事で良かったわ…。」
まめみ「みんなごめんね…ありがとう…。」
少し話していると、スルメさんとよっちゃん、ブキチが入ってきた。
スルメさん「お、目が覚めたかいな。」
よっちゃん「良かったわ…みんな心配してたのよ。」
ブキチ「大丈夫でしか、まめみちゃん?」
まめみ「うん、ありがとう。もう大丈夫よ。」
スルメさん「それにしても驚いたで。フーが大慌てで呼びに来て、ポナがまめみを抱えて店に来たんやけど、まめみの髪が黄色になってしもうてたからな。」
よっちゃん「今は元の色に戻ってるわね。一体何だったのかしら…。」
スルメさん「そういや、よっちゃんも昔は気が昂ぶるとよく黄色になってたやん。」
まめお「えっ…!?」
よっちゃん「そういえばそうだったわね~。今は滅多にならないけど。」
ブキチ「気になる話でしね。とりあえず…まめみちゃんからデータが欲しいでし。」
まめみ「あたしから…?」
ブキチ「髪が黄色になった原因が気になるんでし。もしかしたら、ブキと心を通わせるその力と何か関係があるかもしれないでし。」
まめみ「そう…なのかな…?うん、分かったよ。」
ブキチはまめみからデータを取り、1度自分の店に戻った。まめみは夕方まで休ませてもらい、ポナにおぶってもらいながら家に帰った。
そして次の日…昨日同様、全員を集めた後…ブキチがやって来た。
ブキチ「まめみちゃんの髪が黄色になる現象でしが…どうやらまめみちゃんは、ブキとの『シンクロ』をしてるみたいでしね。」
まめみ「ブキと…シン…クロ…?」
まめお「どういう事だよ、ブキチ…?」
ブキチ「まめみちゃん、試合中に何かのキッカケで…強い思いを抱くことがないでしか?」
まめみ「…そういえば…試合で状況が不利だったりした時…負けたくない!って強く思う時がある…。」
ブキチ「それでしね!どうやらまめみちゃんは、その思いが強くなった時に、ブキとの繋がりがいつも以上に強くなるみたいでし。」
まめお「シンクロが起きると…どうなるんだ?」
ブキチ「ブキの特性をより生かして、動きが俊敏に変わる…好戦的になる傾向が強いみたいでしね。同時に、ブキが受けるダメージもシンクロして…精神面ではかなり消耗するみたいでし。恐らく昨日倒れたのも、精神力を使い切った影響でしね。」
まめみ「そうだったのね…あたしに…そんな力が…。」
まめお「…………………。」
ブキチ「とにかく、今日はナワバリは止めておいた方がいいと思うでし。」
まめみ「うん…分かった。」
念の為ナワバリを止めて、今日は体を休ませる事にしたまめみ。ポナと共に家に帰り、ゲームで遊ぶ事にした。
一方まめおは…1人悩んでいた。
まめお「…………………。」
以前ブキチに教えられた「悲しき運命」
それは…ブキと会話出来るイカは「短命」だということ…
2人の母親は早くに亡くなったが、それは偶然ではなく「短命」だったからなのだ。
ブキチの話だと、ブキと会話出来る力を持つイカは、迫害された故に近縁になってしまい、血が濃くなりすぎて結果的に寿命を縮めてしまった。
普通のイカ達と同じように生きるには、近縁にならなければいい。つまり、まめおとまめみ…従兄妹同士など近い者同士で交わるのではなく…他のイカと交われば血は薄れ短命ではなくなるという。
まめおとまめみは今は恋人関係では無いが…2人の母親は早くに亡くなった。
2人は父親を知らない…それ故に「血が濃くて短命なのか」「血が薄れて短命ではないのか」分からないのだ…。
まめおは恐れていた…
自分達が…いつ「命尽きるのでは無いか」と…。
そこに来て…まめみのあの変化…。
それは…悲しき運命を暗示するものなのではないか…?
…どうしてだ…
どうして…自分では無くまめみが…
まめおは強い憤りに近い感情を覚えた。
まめみには幸せになってもらいたい…
もしあいつにもしもの事があったら…
自分だけが残されたら…そう思うとまめおは恐怖に震えた。
すると…スーがまめおを心配してやって来た。
スー「まめお、どうしたの…。」
まめお「……………スー……。」
スー「…何暗い顔してるのよ、あんたがそんなに落ち込んでたら、まめみが心配するわよ。」
まめみ「……うるせぇ…うるせぇ!お前に何が分かる!あいつは…あいつは…!!」
スー「…何も知らないわ。」
まめお「!…何だと…!?」
スー「何も知らない…あたしはまだ、あんた達の事をほとんど知らないわ。けどねまめお…あんたがどれだけまめみを大事にしてるかは分かるわよ。」
まめお「…っ…スー…!」
スー「…何か1人で抱えてるんでしょう?話してみない?」
まめお「………前に…ブキチに教えられたんだ。俺達の力…ブキと会話出来るイカ達の運命を…。」
そう言うとまめおは、以前ブキチに教えられた事をスーに語った。
その間…スーは真剣な表情で聞いていた。
そして…一呼吸置くと、口を開いた。
スー「まめお…あたしがこんな事言うのは何だけど…まめみにも話すべきだと思うわ。」
まめお「スー…!?けど…けどあいつに話したら…」
スー「このまま知らずに…万が一まめみを失ったら…あんたもきっと後悔するわ。それに…まめみ自身も悔いが残ると思うの。」
まめお「スー…。」
スー「まめみにも話して…精一杯生き抜きなさいよ。たとえ短命でも…あたし達はずっと一緒よ。絶対に離れたりしない!」
そう話す彼女の瞳には、強い決意が込められていて…まめおは心を打たれた。
まめお「…ありがとうな、スー。…まめみにもちゃんと打ち明ける。」
スー「…必ず生きなさいよ、まめお。…まめみの為にもね。」
まめお「…あぁ!…それとスー…その…さっきは悪かった…。」
スー「…あんたに沈まれてたらこっちも滅入るからね、あたしはまめみの為に言ったの…それだけよ。」
そう言いつつ頬を赤らめてフイッとそっぽを向いてしまったスーに、まめおは素直じゃ無いなと思いつつも…彼女の優しさに感謝した。
まめみ…俺達は従兄妹…僅かでも血が繋がってるんだ。
俺達はこの運命から逃れられない。
けど…例え短命だとしても…それでも…精一杯生きるぞ。
To be continued…