小説「青と水色が混ざり合うと」~雨が気づかせてくれた恋心~

しばらくして…電気が付いた。

雷で一時的に気を失っていたオオデンチナマズが目を覚ました様だ。

まめお「やっと付いたか…これで大丈夫だな。」

スー「…………。」

ドキドキが止まらない…スーはまめおの腕の中で頬を赤らめていたが…

まめお「スー…大丈夫か…?」

スー「え…あ…う、うん…大丈夫!」

ハッと我に返ったスーは、慌ててまめおの傍から離れた。

まめお「そうか…?それならいいけど…。」

スー「あ…ありがと…ね…。」

そっぽを向いたままお礼を言うスーだったが…その頬は相変わらず赤く染まっていた。

まめお「どういたしまして。…それより、いつまでも濡れた服着てたら風邪引いちまう…シャワー浴びて来いよ。」

スー「えぇ!?」

まめお「うおっ…!?そんなに驚く事無ぇだろ…?」

スー「ご…ごめん…!でも…あたし着替えが…。」

まめお「服なら、まめみの服貸してやるよ。だから安心して入って来い。」

スー「う…うん、分かった…。」

そう言いながらまめおはタオルを渡し、スーもそれを受け取った。

そして…浴室へ行ってシャワーを浴び始めた。

まめお「……………。」

……くそっ…ドキドキしちまう……

……あんな…頬赤らめて可愛い一面見せられたら…

期待…しちまうじゃねぇか…!

…俺…スーの事が………

いまだにドキドキしているまめおだったが、まめみに連絡をしていない事を思い出し、イカスマホを手に取った。

…同じ頃…ポナの家ではまめみが夕飯を作り、2人で仲良く食べていた。

まめみ「どうかな?」

ポナ「ん、美味しい!」

まめみ「よかった~!それにしても、さっきの雷凄かったね!」

ポナ「雷は苦手だから怖かった…。」

まめみ「あたしは全然平気だよ。」

ポナ「すごいなぁ…まめみ。」

その時…

ピロンッ!まめみのイカスマホからイカラインの通知音が聞こえた。

まめみ「あ、まめおだ。ふんふん…スーちゃんが家に来てて、泊める予定なのね。」

ポナ「スーが…?」

まめみ「また喧嘩しちゃったみたいで、その途中で雨降って来たから家に連れてったみたい。」

ポナ「そうなんだね。」

まめみ「2人共、これでお互いの気持ちに気づけるといいのに…。」

ポナ「え…?」

まめみ「だって、まめおもスーちゃんも、お互いの事が大好きなの、見てて分かるもの。あたしだってまめおには幸せになって欲しいし、スーちゃんなら大歓迎だよ!」

ポナ「まめみ…。」

まめみ「なのにまめおったら、いつまでも意地張るし…そもそも自分がスーちゃんを好きな事に気づいてないみたいだし…ほんと鈍感なんだから!」

そう言って晩ごはんを食べるまめみをポナは見つつ…

ポナ「(まめみだって超が付くくらいの鈍感なのに…どうして自分の事は気づかなくて、他の人の事は気づくんだろ…。僕がまめみを好きだって気持ちも、最初は全然気づいて無かったし。)…まめみって、ほんと鈍感だよね。」

まめみ「でしょ!まめおったらほんとに鈍感……………え?」

ポナ「…ま、僕はそんな所も大好きだけど。」

まめみ「ぽ…ポナ君…!」

そう言ってご飯を頬張るポナに、まめみは頬を真っ赤に染めていた…。

一方スルメさんのお店でも…フーが相棒の3Kスコープを手入れしつつ、心配そうに外を眺めていた。

フー「…………………。」

スルメ「スーが心配やな…。」

フー「あぁ…。雨もだけど…スーは昔から雷が苦手なんだ。いつもなら俺が抱きしめて落ち着かせるんだが…。」

よっちゃん「さっき雷がオオデンチナマズに落ちたものね…なおさら心配だわ…。」

フー「…スー……。」

心配して妹の名前を口にするフー。

その時…フーのイカスマホから通知音が…。

スルメさん「誰からや?」

フー「まめおだ。スーはまめおと一緒に居る、今日はあいつの家に泊めるってさ。」

よっちゃん「まめお君が…それならよかったわ~!」

スルメさん「まめみも居るさかい、問題ないやろ。」

フー「あぁ。」

3人はホッと胸を撫で下ろし安心した様子だ。

その頃…スーはシャワーを浴び終えて、まめみの服を着て出てきた。

あまりワンピースは着ないスーにとって、まめみのワンピースは女の子らしさが出ていて少し恥ずかしさがある。

まめお「っ…!!」

スー「…シャワー…ありがと…。」

まめお「あ…あぁ…。」

まめみのワンピースを着るスーは凄く女の子らしくて…色気があって…まめおは思わずゴクリ…と生唾を飲んだ。

スー「…ど…どうしたのよ…。」

まめお「な…何でもねぇ…それより、飯どうすっかな…。」

頭をポリポリと掻くまめおだったが…

スー「…あたしで良ければ作るわよ?」

まめお「え…?」

スー「…台所借りるわね。」

そう言うとスーは髪を纏め、慣れた手つきで料理を始めた。

出来上がった料理はどれも美味しそうで…まめみの料理を思い出した。

まめお「すっげぇ…!…スーは料理得意なのか?」

スー「えぇ、あたしは食べるのも好きだけど作るのも好きよ。」

しかし…まめおは1つ気になる事が…。

まめお「…料理はすげぇ美味そうだけど……いくら何でも作り過ぎじゃねぇか…?」

料理1つの量が…どれも山盛りでボリュームが凄いのだ。

スー「大丈夫、綺麗に無くなるわよ。」

まめお「(どう見てもそうは思えないけど…)そ、そうか…?」

スー「さ、出来たし食べる準備しましょ。」

まめお「あ…あぁ、そうだな…。」

いまだに引っかかるまめおだったが、作った料理をテーブルに並べ2人で向かい合って食べ始めた。

まめお「…すげぇ美味い!」

スー「良かった…口に合ったみたいね。」

まめお「あぁ、本当にすげぇ美味いよ。」

スー「ふふっ、ありがとう。」

そう言って笑うスーは穏やかで、まめおの知らない一面が垣間見えて…少しドキドキしてしまう。

一方…さっきまめおが思った不安は、目の前で驚きに変わった。

まめお「おい…そんだけの量…よく食えるな…!」

スー「そう?あたしはいつもこんな感じよ。」

実はスー…痩せの大食いタイプなのだ。

まめおも男の子なのでかなりの量を食べるが…彼女は更に食べ続けて…あっという間に全て平らげてしまった…。

まめお「(すげぇ食いっぷりだな……!)」

けどこいつ…すげぇ美味そうに食うんだよ

見てて…何故か和んで…そんな所も…「可愛い」と思ってしまった

俺の知らない一面が見えてくる…

そしてそれを…もっと知りたいと思う

その姿を…ずっとを傍で見ていたい…

そう…思っちまうんだ…

To be continued…