オリジナル小説「踏みにじられた心」

アクアを救出するべく向かったブルース達

洞窟の最奥…牙の共鳴する空間でアクアを見つけるものの、非情にもガーリル達の罠がブルース達を襲い、海の牙はガーリルの手へと渡ってしまう

望みを叶え喜ぶガーリル達だったが、そんな彼らの前に遂に追い求めていた【実体を持たぬ者】が姿を現した…。

 

~踏みにじられた心~

 

謎の者『まさか本当に集めてくるとはな…やはりあの時に始末しておくべきであったかな?

ガーリル「貴様…!!」

謎の者『フム…どうやら全ての牙を覚醒させ、全ての力を己の剣に吸収したようだな。ククク、我を倒せると思って仲間をも裏切ったか…。

ガーリル「その様な口を聞けるのも今の内だ。貴様はここで終わりだ!」

そう言うとガーリルは、ダークサーベルを手にその者へと向かっていった。

しかしその体は実体を持たない為すり抜けてしまう。

ならばと闇の鎖を奴の体へと巻き付けようとするが…それもすり抜けてしまう。

ガーラス「ガーリル様!」

ガーリル「くっ…何故だ!牙を集めれば…奴を倒せるのでは無かったのか!?」

謎の者『ククク…欲に溺れた哀れな者よ。仲間を護りたいと思うお前が、1人で全てを抱え込み目的を果たそうとする事は容易に想像できた。お前が少しでも協力を求めればこれ程の年月をかける事も無かったであろう。だがお前はそれをしなかった…できなかったのだ。自分の…仲間の両親を奪われたあの様な思いをもうしたくない。そんな綺麗事で我を倒せると思っていたのか?ダーク一族の子せがれよ!

ガーリル「…俺は…!!」

謎の者『だが、お前の働きに感謝しよう。あの時お前を始末するのは容易い事であった。しかし…お前が動いてくれたお陰でその手間が省けた。

ガーラス「それはどういう事だ!?」

ガーリル「…ま、まさか!?」

謎の者『我はお前を利用させてもらった。お前を餌に各一族の王族をおびき寄せ、まとめてここで始末する。それが我の本当の「目的」だ。

ガーリル「お…俺は…とんでもない過ちを…!!」

謎の者『覚悟するが良い。苦しまぬ様にすぐに楽にしてやる…と言いたいところだが、お前達には永遠の苦しみを与えてやろう。この“毒牙”で我の奴隷となり、永遠に我に尽くすのだ!

ガーリルは何も言わず、静かに立ち上がり…ダークサーベルを掲げ、こう唱えた。

ガーリル「我が剣よ…己のものとした力を解放し、全ての牙へ戻せ。

すると剣は、吸収した力を放ち、解放された力はそれぞれの牙へと戻っていった。

謎の者『ほう…覚悟を決めたか?

ガーリル「いや、逆だ。貴様の思い通りになどさせない!」

ガーラス「王家親衛隊集合!ガーリル様、我らにご命令を!」

王家親衛隊長ガーラスの号令ですぐに隊員が集まった。

ガーリル「ブルース達を安全な場所へ連れて行け!こいつは俺が何とかする!」

王家親衛隊員「はっ!」

謎の者『待て!

ガーリル「おっと、貴様の相手は俺だ…みんなには指一本触れさせぬぞ。…たとえ我が命に変えてもな!」

勝ち目の無い戦いだった。しかしガーリルは臆する事無く立ち向かう!

その一方、王家親衛隊はブルース達を安全な場所へ連れて行った。

スノウ「うっ…!ガーラス!?」

ガーラス「スノウ様…。」

スノウ「ここはどこだ…?ガーリルは!?」

ガーラス「…ここからすぐにお逃げ下さい!全員ここで待機、スノウ様達をお守りせよ!」

スノウ「待てガーラス!」

隊員をその場に残し、ガーラスは来た道を戻っていった。それを追い、スノウも消えていった。

一方…ガーリルは危機的状況にあった…。

謎の者『諦めろ。お前は我の毒牙にやられるのだ。勝ち目は無い。

ガーリル「俺は…死んでも貴様などに仕えるつもりは無い!」

剣を手にふらふらと立ち上がるガーリル。しかし…彼の体力は限界に近づいてきていた。

その隙を突き、実体を持たぬ者は自分の力で作りだした骨の刃で攻撃を仕掛けた。

カシャン…

骨の刃はガーリルの右腕に刺さり、利き腕を痛めたガーリルは、ダークサーベルを落とした。

彼の腕からは血が流れ、地を紅く染めていく…。

謎の者『お遊びはお終いだ。呪うのだな、自分の無力さを!

ガーリル「無力…か。俺は、ただあがいていただけなのか…父上、母上…!これが…これが仲間を裏切った俺の受けるべき報いなのか…。スノウ、兄上、ガーラス…みんな…すまなかった…。」

絶望し、座り込んだガーリルの瞳からは、涙が零れた。

そして…骨の刃は容赦なくガーリルの手足に突き刺さり、体からは血が溢れどんどん血で紅く染まる…。

一方、ガーラスとスノウはガーリルの元へと急いだ。

そして…。

スノウ「ガーリル!」

ガーラス「ガーリル様!…貴様っよくも!!」

剣を構えたガーラスが立ち向かった…。

しかし次の瞬間!

骨の羽が飛び交い、ガーラスの体は紅く染まった。

そして………その場に倒れた。

ガーリル「が…らす…ガーラス!!」

ガーラス「がぁ…り…る…様。私は…」

ガーリル「喋るなガーラス!頼む…死なないでくれ…!俺を…置いていかないでくれ…!」

ガーラス「私は…ガーリル様にお仕えできて幸せでした…。どうか…貴方様だけ…は…生き、て…」

最後の力を振り絞り、必死に体を起こしてガーリルの顔を見た。そして…静かにその瞳を閉じた。

ガーリル「ガァラスゥゥゥゥゥッ!!

謎の者『次は貴様だ。

スノウ「ガーリル…お前を死なせはしない!」

ガーリル「スノウ…来るなぁああっ!」

その者は骨の刃を構えると、ゆっくりとガーリルと向かって来た。

スノウは傷だらけの彼に駆け寄り覆い隠すように抱きしめた。

スノウ「ガーリル…大丈夫だ。お前は1人ではない!俺がいる!絶対に死なせるものかっ…!」

ガーリル「…ダメだ…逃げろ…逃げてくれスノウっ!」

最大の危機!2人の運命は!?

~To be continued…~