深夜、再び姿を現したアンデット・クロン。
立ち向かうブルース達に対して新月のみに姿を現す島【アンデッド・アイランド】
の存在を伝え、姿を消した。初めて聞く名にブルース達は戸惑いを覚えながらも、次の日に迫った新月の夜に備えて警戒するのだった…。
一方スマラはアルマとペルラの後押しもあり、アクアに謝りに部屋へ向かったのだった。
~死霊の幻影島、アンデッド・アイランド~
ドアを叩き返事が返ってきたので入ると、アクアは少し身構えたものの追い返す事はしなかった。
アクア「スマラ…。」
スマラ「この前は本当にすまなかった…アクアの気持ちも考えずに…。お詫びと言っちゃ何だが…受け取って貰えるかな?」
そういうと、スマラは一輪の薔薇の花を差し出した。
アクア「綺麗…アルマが手品で出した薔薇ね。」
スマラ「えっ何でそれを!?」
アクア「ミラージュ・アイランドを離れた日、アルマが手品で白い薔薇をくれたから…。覚えているわ、あの時の事。…ふふっ。」
スマラ「えっ、どうした?」
アクア「だってスマラ…あまりにも正直者だから…アルマが出した薔薇って言った時、えっ何でそれをって言ったでしょ。それでつい…!」
スマラ「な、何もそんなに笑う事ないだろう!?」
いつの間にか仲直りし2人で笑っていて…ドアの外から様子を伺っていたアルマとペルラもそんな2人の様子を見て一安心し、部屋へ戻っていった。
夜…いつも通りに全員で食事を済ませた後、ブルース達は牙を手にした。
そして精神統一させると…牙はそれぞれの剣に姿を変えた。
危険を少なくする為、牙を所持する王族のみが行き、スマラ、アクアと騎士達は全員ミーティア号で待機する事に…。
アクア「…必ず無事に帰ってきて…!」
ブルース「ああ、約束するよ。行ってくる!」
スマラ「お気を付けて…!」
ラクト「私達が居ない間、頼んだぞ。」
ペルラ「はっ!」
ガーリル「アクア…。」
アクア「ガーリル…大丈夫よ、絶対に勝てるわ。信じて待ってる。」
ガーリル「…必ず生きて戻ると約束しよう。愛しいお前の為にも…必ず。」
そう言うとガーリルはスマラの目の前でアクアを包み込んで抱きしめ、スマラは少し複雑な表情をしていた…。
スノウ「よし、そろそろ出発しよう。」
ガーリル「スマラ。」
スマラ「…はい。」
ガーリル「…俺が居ない間、アクアを…あの娘を護るのはお前の役目だ。俺に代わって護るんだ。どんな事があってもだ、いいな!」
スマラ「…お任せを!」
2人の瞳には、アクアに対する強い想いと決意が秘められていた。
そして…甲板からアクア達が見守る中ミーティア号から降りたブルース達の目の前で、不思議な事が起こった。セイレーン・ケイヴが消え、不気味な島が姿を現したのだ。
マリン「これが…アンデッド・アイランド…。」
ガーリル「幻影で出来た島…ガーラスの予想は当たった様だな…。」
ラクト「…慎重に進もう。はぐれない様に一緒に行動するぞ。」
こうして…剣を片手にブルース達はアンデッド・アイランドへと足を踏み入れ、アクア達は彼らが見えなくなるまでずっと見守っていた…。
アクア「…何でかしら?すごく恐いのと…悲しさが…。」
スマラ「悲しさ?」
アクア「島から何か強い悲しみが伝わって来るような…。何故かとても切ない気持ちになるの。」
ガーラス「アクア様のおっしゃっている事が、私には分かる気がします。私も何故か辛い感情がこみ上げて来るのです…しかし、何か気配が…これは…ガーリル様の母上様の気配に似ている様な…!?」
アクア「ガーリルの…お母様?」
スマラ「………。」
一方…アンデッド・アイランドを進むブルース達は、信じられない者を目にしていた…。
スノウ「こ…これは…!」
目の前に広がっているのは…大量の骨。
いずれもワニである。そして…それが動いているのだ。
マリン「何なのこれは…!?」
ガーリル「こいつら…ゾンビ化しているのか?」
ラクト「襲ってくる感じは無さそうだが…これは一体…!?」
その時、奥の方から声が聞こえてきた。
アンデット・クロン『ようこそ、我が幻影の島、アンデッド・アイランドへ!心から歓迎するぞ。各一族の王族達よ。』
ブルース「お出ましという所か…。」
アンデット・クロン『我の下部達は気に入っていただけたかな?小奴らは我が墓を暴いて毒牙で噛みついた事によりゾンビ化したもの。我の思い通りに動く良い駒だ。どうだ?素晴らしいであろう?』
マリン「何て酷い事を…!」
ラクト「この者達の魂は長い間ここで続けて…どんなに辛かったか…貴様にはこの者達の苦しみは絶対に分からないだろうな…!」
彼らの目には、強い怒りの感情がこもっていた…。
アンデット・クロン『フフフ…良いぞ、その目が絶望に晒される様を楽しみにしているぞ。我はこの奥にいる、そこで最高級のプレゼントを見せてやろう。』
そう言うとアンデット・クロンは再び姿を消した。
ブルース「進むぞ、これ以上この者達の魂を…冒涜させはしない!」
再び歩き出したブルース達であったが…ラクトとガーリルはその場に立ち尽くしていた…。
ガーリル「兄上…。」
ラクト「ああ、私も感じる。何故だ…何故母上の気配が…!?」
ガーリル「…今は、進むしかない様だな…。」
一抹の不安を覚えながらも進む一行であったが、本当の恐怖はこれから始まるのだった…。
~To be continued…~