再び平穏が戻って来たが…ここはある生き物の集落…
穢れた海…不規則な潮の満ち引き…激しい潮の流れで近寄らない場所に、タコワサの姿はあった。
タコワサ「ギギ…コレデモンダイナイ。」
???「交渉成立だね、約束の物を渡そう。」
タコワサ「ギギ…タシカニウケトッタゾ。」
???「ところで、今日は見ない顔がいるね。タコゾネスではないようだし、その匂いは…タコと違う者…?」
そう話す視線の先には、目意外の顔を隠したボーイの姿…
ボーイ「……………。」
グレーの前髪が覗き、黄色に光るその瞳は、何を考えているのか読み取るのは難しい…
タコワサ「ギギ…ワシノカワイイ…カワイイ…マゴダ。サテ…カエルゾ…ツネ。」
そう話すとタコワサと傍に居たボーイ…ツネは帰って行き、彼らを見送る者は金色に輝く大きな尾ヒレを優雅に揺らしていた…。
ある日の事…
まめみ「え、バイト?」
まめお「あぁ、俺とポナとスーの4人で行ってみないか?」
まめみ「でも…どこのバイトなの?」
ポナ「ロビー横の路地裏があるでしょ?あそこでバイト募集してるのをまめおが見つけたんだよ。」
まめみ「あの路地裏…怖くて近づいてないけど、大丈夫なのかな…。」
まめお「大丈夫だって、行ってみようぜ!」
まめみ「ちょ…ちょっとまめお…!」
ポナ「俺も一緒にいるから、ね?」
まめみ「ポナ君…うん…分かった。」
まだ不安は残るまめみだったが、ポナもいるし何かあってもきっと大丈夫…まめみはそう思って行く事にした。
途中でスーと合流し、怪しげな雰囲気が漂う中に入ると…
???『おや、バイト希望者かね?』
まめみ「…誰も居ないけど…どこから聞こえるの…?」
???『ここに居るよ、お嬢さん。』
まめみ「え…?」
ふと下を見ると…そこには木彫りの熊の置物が…そこには怪しげなアンテナが付いていて、声はそこから聞こえて来ている様だ。
まめお「えっと…バイト希望なんだが、責任者の方は…?」
???『私が責任者だよ。』
まめお「えぇっ…!?」
???『私の名前はクマサン、こう見えてもクマサン商会の責任者であり…サーモンランのバイトを管理している者だ。』
まめみ「そ…そうなのね…。」
クマサン『ふむ、キミ達の様なイカした若者にしか頼めない内容だからね、とても助かるよ。』
まめお「イカした若者にしか頼めない内容…?」
クマサン『ウチはアルバイトだからと言ってなかなか給料が上がらないなんて事は無いよ。頑張ってくれたらきちんと報酬にも反映させるシステムを整えているからね。』
ポナ「えっと…クマサン…?サーモンランってどんなバイトなの…?」
クマサン『バイト内容についてだが…ふむ、ちょうど次の船が出るようだ。』
スー「え…船…?」
クマサン『「習うより慣れろ」という海の教えを聞いた事があるだろう?まずキミ達には現地でバイトのキホンを覚えて貰おうか。早速着替えておいで。』
まめみ「えぇぇ…!」
何やら危ないバイトなのでは…!?4人は不安を抱きつつも作業着に着替え、船に乗った。
クマサン『さあ、出発だ。』
バイトに慣らす為、まめみはシェケナダム、まめおは難破船ドンブラコ、ポナは海上集落シャケト場、スーはトキシラズいぶし工房でそれぞれ研修を受ける事になった。
問題のバイトの内容だが…クマサン曰く『イクラをたくさん集める事』らしい。
まめみ「わっ…シャケがフライパン持って襲ってくる…!」
しかしまめみ達は俊敏な動きでシャケをブキで倒していく。
クマサン『良い仕事ぶりだね…キミ達になら、本当の仕事を頼んでもいいだろうね。』
まめみ「本当の仕事…?」
クマサン『実は私が欲しいのは金イクラなんだ。金イクラはオオモノシャケが持っているものでね…。』
まめみ「金イクラ…オオモノシャケ…?」
すると…
ウゥゥ~!どこからかホラ貝の様な音が聞こえてきて…
クマサン『おや…?オオモノシャケが現れた様だ…良い機会だ、オオモノシャケを探してみようか。』
そう言われてまめみが海の方へ探しに行くと…
神々しく輝くシャケがいた。
まめみ「あれが…オオモノシャケ…。」
持っていたシューターで倒すと、金イクラを落とした。
クマサン『オオモノシャケが金イクラを落としたね。金イクラはその網で持ってくれたまえ。』
まめみ「これね…よいしょっと。」
クマサン『さて、金イクラをコンテナまで運んでみようか。』
コンテナに向かい、金イクラを納品すると…コンテナに表示されていた数が1/3になった。
まめみ「これは…?」
クマサン『バイトのノルマだ、1つこなせたから数字が増えたんだよ。今回のノルマは3つだから、あと2つ必要なんだ。』
まめみ「そういう事ね、了解。」
クマサン『さっきの2つの金イクラも…おや?あのシャケは…。』
金イクラの方を見ると、紫のヒレをしたシャケが金イクラを拾って、海の中へ戻ってしまった。
まめみ「あれは…?」
クマサン『あのシャケは金イクラを回収するシャケだ…海へ逃げられる前に倒す事が出来れば、回収された金イクラも取り戻せるからね…。』
まめみ「うん…分かった。」
その後も着々とイクラや金イクラを集め、タイムリミットまで忙しなく動き回った。
そして最初の研修が終わり…
クマサン『やあやあ、お帰り。なかなかスジが良いね。すぐにでもバイトをお願いしても良さそうだが、あともう1つだけ研修を受けて貰うよ。キミ達の様なイカした若者を現場に放り出して、怪我をさせる訳にはいかないからね。』
まめお「次はどんな研修だ?」
クマサン『次はマニュアルを読んで貰うだけの…ふむ、ちょうど次の船が出るようだ。』
ポナ「もう次の船が…?」
クマサン『「海は全てに応える」という海の教えを聞いた事があるだろう?次も現地でバイトのキホンを覚えて貰おうか…さあ、出発だよ。』
そう言うと今度は4人で同じシェケナダムに向かった。
到着後…
まめみ「今回はどんな事するんだろう…?」
クマサン『前回キミ達が出会ったオオモノシャケだがね、実は他にも7種類のオオモノシャケがいるんだ…。』
スー「7種類…そんなに…?」
クマサン『今回は7種類のオオモノシャケと戦って貰うよ。』
まめみ「そんなにたくさんのオオモノシャケと…大丈夫なの…?」
クマサン『何、私がサポートするから心配はいらないよ。』
まめみ「分かった…お願いねクマサン。」
そう言ってクマサンのサポートのもと、次の研修が始まった。
オオモノシャケの種類は…
頭から巨大なボムを投げ、硬い体は攻撃を弾く【バクダン】
長いインク散布装置を操作しながら追いかけてくる【ヘビ】
大きな鉄板を装備しながら前方からの攻撃を防ぐ【テッパン】
鍋を積み上げて塔の様にし、上からインクを噴く【タワー】
インクの中を泳ぎ、地面から突然飛び出して来る【モグラ】
鋼鉄の傘から雨雲を発生させるロケットを放つ【コウモリ】
機械に乗って浮かびながら、標的を狙い撃つ【カタパッド】
いずれもクセの強い強敵ばかりだ。
しかしクマサンのサポートもあってそれぞれに対応し、倒し方もマスターした。
その後クマサンの元へ戻り…
クマサン『お疲れ様、これならバイトも任せる事が出来そうだよ。これからは他のアルバイト達と一緒にイクラ集めをしてくれたまえ。』
まめみ「で…でもキホンのンを習ってない…。」
クマサン『……まぁ、海とはそういったものだよ。』
まめみ「えぇ…!?」
クマサン『1つとして同じ形の波が無い様に、瞬きをする間にキホンの形も変わる…だから私は海から離れられないのかもしれないね…。』
まめみ「そ…そんなものなの…?」
ポナ「ほ…ほんとに大丈夫なの…このバイト…?」
不安が消えないまめみ達であったが…クマサン曰く、いつでも自由に…気が向いた時に来ればいいとの事だったのであまり深く考えない事にした。
少し怪しいけど何だか今までとは違う不思議なバイト…そこから新たな出会いや思いもよらぬ出来事が待っている事に、まだ誰も気づくはずは無かった…。
To be continued…