小説「Aiming for the ground Octo」~想いを馳せて~

テヘペー路駅​に到着したツミは、支給ブキの中からスプラチャージャーを手に取った。

ここでのミッションはインクレールを飛び渡りながら的を撃ち抜く事…深呼吸をすると、ツミは改札を通って飛び出して行った。

そして同じ頃…ルイも別の駅でミッションに挑戦していた。

ツンデ嶺駅から遠く離れた駅「ゲキマ部駅」に降りたルイは、タコゾネススコープを付けて改札を出た。

ここでのミッションはジェットパックを使い、一定時間避ける事

大量に転がってくるタコストライクを器用に避け続けるルイ

これならすぐに終わりそうだと思っていたその時、奥から姿を現したのは青と黄色に染まった色のタコスナイパー!

タコスナイパー「………………。」

ルイ「えっ…!?」

シュパンッ!ギリギリの所でかわしたが、タコスナイパーは執拗にルイを狙って撃ってくる!

終わるまで後少し…ルイは必死にかわし続け、何とかクリアしたのだった。

その後も進み続け「ハン・パネッ州駅」の同じ形にするミッションをこなしてゴールしようとしたが…

???「ゴールサセルマエニ、コノモノタチノアイテヲシテモラウゾ。」

どこからか声が聞こえた直後、目の前に降り立ったのは2人のタコボーイ

タコゾネスサングラスを付け、体は青白く髪は青を基調に黄色がかったタコボーイ達は異様な雰囲気を放っていて…ルイは背筋がゾッとするのを感じたが、ネジの緩んだタコゾネススコープを外して近くに置き、支給ブキのボトルガイザーを手に立ち向かった。

相手のタコボーイの正体…それはルイと共に落ちた後輩2人である…しかし記憶を失っているルイにとっては「敵」でしか無く、淡々と相手をしていき…

後輩1「グ…!!」

後輩2「ウアァ…!!」

ルイの攻撃を受けた2人はその場に倒れ…そのまま体は溶けてインクとなり…地面に消えた…

ルイ「…………………?」

敵を倒したのに何故だろう…どうしてこうも胸の奥がギュッと苦しくなるのだろう…

何とも言えない不思議な感覚を覚えつつも、ルイはゴールへ向かいクリアしたのだった。

その後キテミ荘駅へ向かったが…そこには敵も居なければミッションも無く…何やら不思議な物を拾っただけだった。

これは何だろう?不思議に思いつつもルイは手に入れた4枚の刃が付いた物を持ち帰り、グソクさんに見せてみた。

グソクさん「フム…初めて見る物だね…。」

ルイ「グソクさんも何かは分からないかな…?」

グソクさん「何かまでは分からないね…けど…もしかしたらこれは、前にナマコ車掌が言っていた「4つのアレ」の1つかもしれないね。」

ルイ「4つのアレ?」

グソクさん「チャレンジをクリアして4つのアレを集めると、地上へ行けるとか…キミが手に入れたそれと、あと3つを集めると…何かが起こるのかもしれないね…。」

ルイ「そうなんだね…もしかしたら、僕の記憶もそれで戻るのか…な……うっ……!?」

ズキン…突然の頭痛がルイを襲った!

グソクさん「どうしたんだ…大丈夫かい!?」

ルイ「あ…頭が…痛…い…!」

激しい頭痛に頭を抱えてしゃがみ込むルイ…グソクさんは傍に座ってルイの背中を撫でていたが…ルイの頭の中に何かの映像が流れた…!

これは…どこだ…?

ブキの手入れをしている…僕は…僕の…名前は……

グソクさん「まだ痛むかい…!?」

ルイ「…………ルイ………。」

グソクさん「え…?」

ルイ「僕の名前だよ…ルイ…そうだ…僕の名前はルイだ……!」

グソクさん「ルイ…君…?名前を…記憶を取り戻したのかい!?」

ルイ「まだ全部じゃ無いけど…今…僕の頭の中で何かの映像が流れて…自分の名前だけは思い出したんだ!」

グソクさん「そうか…ルイ君…良い名前だね。」

ルイ「ありがとうグソクさん。」

グソクさん「ルイ君、危険だがこのままアレを集めて行けば…君は元居た場所へ戻れるかもしれないね。」

ルイ「うん、残りの3つもこのまま集めて行くよ…少しでも自分の記憶を取り戻したいからね。」

グソクさん「気をつけて行くんだよ、ルイ君。」

ルイ「うん、ありがとうグソクさん。」

こうして…4つのアレのうち1つを手にしたルイは、残る3つを集めるべく、次のアレが眠っていると思われる場所へ向かう為に「ビック・ラコイ田駅」へ向かうのだった。

その頃…タキはざくろと共に施設内を探索しつつ、休憩の合間にイカの言葉を教えていた。

最初は50音順から教えて、少しずつではあるものの発音自体は出来ている。

タキ『それじゃあざくろ、俺の名前は言えるかな?』

ざくろ『頑張ってみる。』

タキ『緊張しなくて大丈夫だよ、それじゃあ言ってみて。』

ざくろ「…タ…タ…ニャ……あ…れ……?」

タキ「ふふっ、まだ少し難しいかな。」

ざくろ「タ…ニャ…タ…タ……。」

タキ「タ、キ、だよ。」

ざくろ「タ…タ…タ…キ…タキ…タキ!」

タキ「わっ、すごい!言えたねざくろ!」

ざくろ「タキ、タキ!」

タキ「あははっ…そんなに何度も呼ばれたらちょっと恥ずかしいな…。」

そう言いつつも、タキは穏やかな笑みを見せた。

ざくろ『もっと教えてタキ、あたし…色んな言葉を話してみたい!』

タキ『うん、分かったよ。次は自分の名前と…簡単な挨拶とかを覚えてみようか。』

ざくろ『うん!』

まだまだやる気のざくろに、タキは優しくイカの言葉を教え続けるのだった。

その後…休憩をしていた2人だが、ざくろはタキの首から下げられたペンダントに気がついた。

タキ「ん、どうかした?」

自分をじっと見つめるざくろにタキが尋ねると、ざくろが口を開いた。

ざくろ「それ…なに?」

タキ「あぁ、これかな?これはね…俺の大切な宝物なんだ。」

ざくろ「たか…も…の…。」

タキ「うん、俺の大切な恋人との宝物なんだ。」

ざくろ「タキの…こい…びと?」

タキ「うん、俺の最愛の恋人だよ。」

そう言ってペンダントを外して眺めるタキのターコイズブルーの瞳は、最愛のまめみの事を思い出して寂しげに揺れるのだった…。

To be continued…