小説「巡る虹色四季模様(日常編)」~地下への招待~

ツネ達が家に着き、3人が椅子に座ると…

突然エンの頭が勝手にもぞもぞと動き出した。

エン『出てきて大丈夫ですよ。』

そう言うと、彼のアフロ頭からぴょこんと出てきたのは…

タコスタンプ「ぴっ、ぴい!」

ざくろ『あの時のタコスタンプの赤ちゃん!』

ツネ『エンにお世話を頼んでたんだ、君にすっかり懐いてるね。』

エン『えぇ、彼女はお手伝いもしてくれて助かりますが…ざくろの傍が恋しいみたいで、今回こっそり連れてきたんです。』

ツネ『…そうなんだ。(メスだったのか…)』

ざくろ『ふふっ、元気そうでよかった。』

タコスタンプ『ぴっ、ぴっ!』

そう言って優しく笑ってざくろが手を差し出すと、タコスタンプの赤ちゃんはそこに乗って嬉しいそうにピョンピョンと跳ねるのだった。

ざくろ『そうだ、名前を決めなきゃね。ちっちゃいし…プッチンはどうかな?』

ツネ『安直な名前だね…。』

エン『ざくろ…申し訳ありませんが私もツネと同意見です…。』

ざくろ『何よー安直でも可愛いからいいじゃない!』

そう言ってざくろが頬を膨らませたが…

タコスタンプ「ぴっ、ぴいっ!」

どうやら名前を気に入ったらしく、ピョンピョン跳ねて喜んでいる。

ツネ『本当にその名前でいいのかい…?』

エン『まぁ…気に入ってるのならそれでいいでしょう。』

ざくろ『ふふっ、これからよろしくねプッチン!』

プッチン「ぴっ!」

それから数日後の早朝、3人はヒーロー装備に身を包んだ

タキ「ツネから連絡が来て、準備が整ったって。」

まめみ「うん、分かった。」

まめお「本当に大丈夫か、まめみ?」

まめみ「うん、大丈夫だよ。」

タキ「俺とまめおもいるけど…絶対に無理はしないでね。」

まめみ「うん、約束する。」

そう言ってまめみはタキとまめおの手をしっかりと握り、2人も深く頷いた。

まめお「ブキはどれを持って行くんだ?」

まめみ「今回はハイドラントかパブロで…」

ハイドラント「(待つのだ、まめみ。)」

そう言ったまめみだが、ハイドラントが声を掛けてきた。

まめみ「ハイドラント?」

まめお「どうしたんだよ?」

ハイドラント「(今回は重い我だとリスクが大きいと思う…無自覚にとはいえシンクロを発動させる事が条件だからな…。)」

パブロ「(私も射程的に厳しいと思うの…まめみ、この前の試合でも強い緊張感を覚えていたもの…だからもう少し射程のあるブキの方がいいんじゃないかしら…。)」

ハイドラント「(我は射程こそあるが、重量級であるが故に動きも制限されやすい…知らない環境で戦うからこそお前に負担をかけてしまうのが心配なのだ…。)」

まめみ「パブロ…ハイドラント…。」

まめお「となると…他にちょうど良さそうなのは…」

ノーチラス「(まめみ、今回はわらわが同行しよう。)」

まめみ「ノーチラス?」

ノーチラス「(わらわは射程こそハイドラントに劣るがチャージキープが使える、それに速く動ける方だから負担もかかりづらいじゃろう。)」

まめお「ノーチラスなら小回りも利くし、相手の出方を伺って出て行きやすいもんな。」

パブロ「(それにノーチラスならサブがポイントセンサーだし、いざという時はそれで相手の位置を探る事も出来るわね。)」

ハイドラント「(ノーチラスなら我も安心して任せられる、我からも頼む…連れて行ってやってくれ、まめみ。)」

まめみ「うん、分かった。ノーチラス、あたしも頑張るからよろしくね!」

ノーチラス「(うむ、任せるのじゃ!)」

まめお「決まりだな。」

タキ「それじゃあ出発するよ。」

家を出てしばらく歩き、約束の場所へ向かうとそこには戦闘服に身を包んだツネ、ざくろ、エンの3人が待っていた。

ツネ「体調は大丈夫?」

まめみ「うん。」

ツネ「よかった。」

ざくろ「あたしも安心した。」

エン「顔色も良いし、今日なら上手くいきそうですね。」

まめみ「ありがとうツっくん、ざくろちゃん、エンさん。」

ツネ「どういたしまして、それじゃあ行こうか。」

エン「場所を教える事は出来ないので3人にはこの特殊なゴーグルを着けて頂きます、周りの風景などは一切見えませんが、私達の姿や段差等は見えるので安心して下さい。」

まめお「分かった。」

タキ「それじゃあお願い。」

ざくろ「任せて。」

3人はゴーグルを着け、ツネ達に続いて歩き始めた。

しばらく歩き続けて…

エン「着きました、ゴーグルを外していいですよ。」

3人がゴーグルを外すと…そこには大きな練習場が広がっていた。

まめみ「すごい…!」

タキ「こんな広い場所で訓練を…。」

ツネ「ここでは1人での練習からチーム戦まであらゆる用途で使用可能なんだ。さて…ざくろ、そっちは頼んだよ。」

ざくろ「うん、任せて。」

そう言うとざくろは練習場の外へ行ってしまった。

まめみ「あれ、ざくろちゃんは…?」

ツネ「ざくろには念の為に練習場の外の監視をお願いしたんだ。大丈夫だと思うけど、万が一事情を知らないタコが近づくと騒ぎになるからね。」

まめお「そっか…何か色々と悪いな…。」

ツネ「まめみの為だからね、何とも無いさ。」

エン「まめみさんにはこれから練習用のタコ足と戦って頂き、シンクロが発動したのを確認した瞬間ツネに催眠の瞳を使って貰い一時的に眠りに付いて貰います。」

まめみ「うん、分かった。」

タキ「大丈夫、まめみ…?」

まめみ「大丈夫だよ、タキ君とみんながいるもの。」

まめお「気をつけろよ…。」

まめみ「ありがとう。」

タキとぎゅっと抱き合い、まめみはノーチラスを手に練習場へ入った。

そしてエンとツネは操作室で…タキとまめおは別の部屋でガラス窓越しに様子を見る事になったのだった。

To be continued…