小説「巡る虹色四季模様(日常編)」~実験と発動~

エン「まめみさん、準備はいいですか?」

練習場に1人立つまめみ、そこにマイク越しにエンの声がアナウンスで響く。

まめみ「うん、大丈夫。」

エン「分かりました、それでは行きますよ。」

そう言うと、エンは練習用のタコ足を出すボタンを押した。

ズゴゴゴゴ…

地響きがして、地面から大きなタコ足が現れ…ゆらゆらと揺れながらまめみの姿を感知した次の瞬間…

バシーンッ!そのタコ足を振り下ろして来た!

まめみ「わっ!」

軽い身のこなしでかわすまめみ、その間にノーチラスのチャージを溜めて…

キュルルルルー

ズドドドドドド!!

タコ足に向かって攻撃した!

ピンクのインクに染まったタコ足だが、すぐに大きく揺れてそれらを振り払い、再びまめみに向かって襲いかかってきた!

一方エンはツネと共にその様子を見つつ、パソコンでまめみのデータを見ていた。

ツネ「エン、今の所は?」

エン「まだ変化はありませんね。」

ツネ「とはいえあれくらいの強さと速さで長期戦になれば、その内に発動するかもしれないね。」

心配しつつ見守るツネ…それは別室で見ていたまめおとタキも同じで…

まめお「オクタリアン達はあんなのを相手に訓練もするのか…。」

タキ「敵ながら天晴れだね、あの強さも納得だよ…。」

その後もしばらく戦いは続いたが、まめみに変化が起きる様子は無く…休憩の為に一旦タコ足を止めたのだった。

エン「まだ何も起きませんね…。」

ツネ「メカニズムが謎なだけに本当にこればかりは分からないからね…まめみ、どうかな?」

まめみ「ううん…自分でも変化は感じない…。」

そう言ってまめみが歩いた時…

むにゅっ…

まめみがタコ足を誤って踏んでしまい…タコ足は驚いて跳ね上がった!

ツネ「タコ足が!」

ギュルルルル…タコ足はまめみの足を取り、そのままバランスを崩したまめみはその場に倒れた!

まめみ「きゃあっ!」

タキ「まめみ!」

まめお「大丈夫か!?」

ツネ「タコ足、まめみを離すんだ!」

そう言ってツネがボタンを押したがタコ足は反応しない…

ツネ「くそっ、どうして反応しない!?」

エン「こちらの方でも制御が効きません、このタイミングで故障ですか!?」

タコ足はそのまま動いてまめみの体を這っていき…

まめみ「きゃあぁ…い…やぁ…何するの…!」

タキ「なっ…!?」

まめお「おっ…おい…!」

エン「タコ足…!?」

ツネ「な…何を…!」

ぬるっ…タコ足はまめみのヒーローフーディーの中に入って彼女の体を直に這っていき…

もぞもぞ…まめみの胸や股を這いながらタコ足を絡めていく…

まめみ「ひっ…いや…あぁん…!」

気持ち悪さにゾクゾクと震えているまめみ…しかし恥ずかしさもあってその頬は真っ赤に染まり…桃色の瞳は潤んでいて…

艶かしく悩ましい声がエンとツネの居る操作室、タキとまめおが居る別室にも流され…

エン「…方法を変えましょう。」

ツネ「…そうだね、あのタコ足を潰してくる…。」

目を閉じてそう話すエンとツネの眉はピクピクしていて、ツネに関しては腕を組んで頬も赤らめ青筋が立っていて…その後まめみの元へ向かってタコ足を叩きのめした。

まめみ「はぁ…はぁ…。」

ツネ「ごめんまめみ…大丈夫…?」

まめみ「うん…大丈夫…。」

一方…

まめお「タキ…大丈夫か…?」

タキ「っ…トイレ…貸して欲しい…!」

その場にしゃがみ込みつつターコイズブルーの瞳をギラギラさせながら頬を赤らめ、前を押さえて息を荒げるタキ、その興奮を表す様にゲソはスペシャルが溜まった時の様にユラユラと揺れながらキラキラ光を纏っていて…結局トイレを貸してもらって落ち着くまでしばらく籠もっているのだった…。

その後、再開する事になったが…

エン「改めて、さっきは本当に申し訳ありませんでした!」

まめみ「エンさん、あたしはもう大丈夫だよ…!」

頭を下げるエンに対して、まめみは少し慌てた様子で…それらも落ち着いた頃にツネが口を開いた。

ツネ「今度はタコ足じゃなくて、オクタリアンの戦闘員に相手をさせよう。」

エン「と言っても、誰か候補がいるのですか?」

ツネ「戦闘部隊で先日の深海実験施設からの生存者である彼なら大丈夫だろう、お爺様に頼んであるから連れてくるよ。」

そう言ってツネはその戦闘部隊の者…ルイを呼びに行き、少しして連れてきた。

ルイ「あれ、君は確か3号の…。」

まめみ「貴方はあの時の…?」

ルイ「僕はルイ、戦闘部隊の者だよ。」

まめみ「あ…あたしはまめみです…。」

ツネ「ルイ、早速だけどまめみと手合わせして貰いたい。」

ルイ「えぇ!?将軍から任務だと聞かされてましたけど…どういう事ですかツネ先輩…!」

ツネ「まめみのある力を引き出す為に必要なんだ。」

ルイ「は…はぁ…そうですか…。」

ツネ「とはいえ相手はまめみだからね、手加減はする様に。」

ルイ「はい。」

2人が練習場に入った後に準備が整い…

ツネ「それじゃあ開始するよ。」

ピーッ!試合開始の音が響き…2人はそれぞれ動き出した!

ルイ「まずはこれで!」

まめみ「ひゃっ!」

高台からスプラッシュボムを投げてまめみの場所を特定した後、メインであるプライムシューターベッチューの射程を生かして牽制して来るルイ

まめみはそんな中でもチャージキープをしながら移動してノーチラスのチャージを最大まで溜めて攻撃しようと動いたが…

ルイ「そこか!」

まめみ「きゃあ!」

瞬時にまめみの居場所を見抜いたルイは攻撃してきて、まめみは足元を取られて転んだ!

それでもすぐに立ち上がってルイの猛攻を避けながら岩の陰へ逃げ込み体勢を立て直した。

まめお「何て強さだ、それにプライムベッチューの癖の強さを物ともしていない上手な立ち回り…!」

タキ「まめみ…!」

ツネ「さすが男の戦闘部隊の中でも優秀だ、手加減する様に言ったがそれでもあの強さとはね。」

エン「まめみさんは大丈夫なんですか?」

まめみ「何とか追いつこうとしてるけど、もう少し手加減する様に言っておこうか…。」

そう言ってツネが無線機に近づこうと席を立ったその時!

エン「待って下さいツネ!」

ツネ「どうしたの?」

エン「まめみさんのデータに変化があります。」

ツネ「力が発動した?」

エン「まだ発動はしてなさそうですが…とても強い精神の集中をしています。」

ツネ「まめみ…!」

窓越しに様子を見るツネ、一方その変化にはタキとまめおも気づいていて…

まめお「まめみのゲソの色が…!」

タキ「先の方から徐々に黄色に変わってる…力の発動が始まったんだ…!」

負けたくない!強くそう思ったまめみは、ノーチラスを握る手に力を入れ…ルイの方へめがけて駆け出したのだった。

To be continued…