小説「巡る虹色四季模様(日常編)」~そして事態は修羅場へ…~

まめみがリビングへ向かうと、椅子に座るまめおとタキが居て…

彼は黒い正装に身を包んでいて、まめみの白いドレスワンピースとバランスが取れていた。

タキ「まめみ、よく似合ってるよ。」

まめみ「ありがとう、タキ君もかっこいい。」

タキ「ふふっ、ありがとう…そしてこれ、まめみにプレゼント。」

そう言ってタキがまめみに渡したのは赤い薔薇の花束で…

まめみ「すごーい、タキ君ありがとう!」

タキ「どういたしまして、喜んでもらえてよかった。」

満面の笑みで喜ぶまめみに、タキの表情も自然と笑みが零れる。

まめみ「行く前にこれを飾ってくるね。」

タキ「うん、分かった。」

そう言うと、まめみは洗面所へ行って花瓶に水を入れ始め…タキは玄関で待つ事にしたが…

そこには一輪の青い薔薇が飾られていて…そういえば、この前ツネが花屋に居たな…これをプレゼントする為だったのか、そんな事を考えながら待っていると、まめみが飾り終えて戻って来た。

まめみ「お待たせ。」

タキ「大丈夫だよ、それじゃあ行こうか。」

まめみ「うん。まめお、行ってくるね。」

まめお「おう、気を付けて行って来いよ。」

まめみ「ありがとう。」

まめおに見送られながら、まめみはタキと共にレストランへ向かった。

しばらく歩いてレストランへ到着し…メニューを選んで待っていると、頼んだ物が運ばれてきた

タキ「(うっわ…やっぱりちょっとお高いレストランなだけあって、食材も全然違う…!)」

まめみ「わぁ、美味しそう…タキ君、ありがとう。」

タキ「どういたしまして。(これはちょっぴり痛い出費だったな…けどまめみと子供の為、ここで気にしててどうする!)」

そんな事を思いながら、目の前で美味しそうに食べるまめみを見ていると…

まめみ「ん、どうしたの?」

キョトンとした表情で自分を見るまめみがいて…その桃色の瞳、チャームポイントのうっすら赤い頬、みずみずしい小さな唇…全てが可愛くて愛おしくて…タキの心の中はまめみへの愛情でいっぱいに満たされた。

タキ「ん…まめみが美味しそうに食べてて可愛くて、嬉しくなっちゃったの。」

そう言ってタキも食べ始め、まめみも嬉しそうにはにかみつつも食事を再開した。

2人が食事を楽しんでいる頃…まめおの元にはツネとざくろが来ていた。

ツネ「…まめみはタキと出かけたのかい?」

まめお「あぁ、何か急に誘われたみたいでな。何かの記念日でもねぇのにちょっとお高いレストランに予約入れたみたいで、2人でそこに食べに行ったぜ。」

ざくろ「へぇ~いいなぁ。」

ツネ「…そうか、邪魔したね。」

まめお「ん、あぁ…大丈夫だ。」

ツネ「帰るよざくろ。」

ざくろ「うん。」

そう言ってざくろと帰ろうとした時、ツネはその僅かな瞬間に廊下と少し見えるリビングへと視線を移して情報を集めた

玄関には自分がプレゼントした青薔薇が飾られていて…嬉しさを感じたと同時に、ソファに置いてあった「赤ちゃんグッズ」の本が目に入って…

ツネの黄色い瞳は鋭く光った…。

一方まめみとタキは食事を楽しんでいて、デザートにシャーベットを食べていた。

まめみ「ん、甘酸っぱくて美味しい。」

タキ「まめみ…。」

まめみ「ん?」

タキ「その…体調は大丈夫?」

まめみ「うん、もう大丈夫だよ。」

タキ「それならよかった。」

目の前のまめみは元気そのもので、シャーベットを美味しそうに食べていて…

食欲が特に増してる様子でも無ければ、具合が悪そうな気配もない…でも選んで食べているのはレモンシャーベット…やっぱりつわりの影響もあって酸っぱいのを好んでいるのか?

彼女の様子を見つつ勘繰るタキだが、真相は分からずモヤモヤするばかり…

とにかく早くプロポーズして、まめみと一緒に病院に行って確認しなければ…そう思いつつ、タキはシャーベットを頬張った。

一方ツネはざくろと自宅へ戻ったが、その表情はとても険しくて…

ツネ『…………………。』

ざくろ『ツネ、すごい機嫌悪そうだけど…どうしたの?』

ツネ『…いや、大丈夫だよ。』

ざくろ『変なの…あたしお風呂入ってくるね。』

そう言ってざくろはお風呂へ入ってしまったが、ツネは相変わらず険しい表情のままで…

ちょっと前、まめみは体調を崩していた

タキはこの前、赤い薔薇を花束で買っていた

その時に口にしていた「プロポーズ」

今日リビングにあった赤ちゃんグッズの本

………なるほど、そういう事か…

俯いて考えていたツネだが、顔を上げた彼の顔はものすごく恐ろしい表情で…その黄色い瞳はギラギラとしていて…

イカスマホを手に取ると、まめみにイカラインのメッセージを打ち始めた。

同じ頃…タキは会計をしていて、まめみは少し離れた場所で待っていた

すると…ピロンと通知音が鳴り、見るとツネからのメッセージで…

ツネ『まめみ、体調は落ち着いたかな?』

まめみ『うん、落ち着いて今は元気だよ。この前は遊びに来てくれたのにごめんね、慣れない事だったから疲れちゃって…。』

ツネ『ううん、大丈夫だよ。まめみが元気になってよかった。ところで…家に行ったら居なかったからまめおから聞いたんだけど、今日はお出かけしてるんだって?』

まめみ『うん、タキ君とレストランでお食事したの。今からモンガラキャンプ場に寄っていく予定だよ。』

ツネ『そっか、気を付けてね。』

まめみ『うん、ありがとうツっくん。』

タキ「お待たせ、それじゃあ行こうか。」

まめみ「うん。」

ツネに返事を送ってからイカスマホをしまい、タキと共にモンガラキャンプ場へと歩き出したまめみ

一方ツネは、自室へ行って家着を脱ぎ…戦闘服に身を包んだ

ざくろ『ふぅ…サッパリした。あれ…ツネ、戦闘服なんて着て…急な任務?』

ツネ『……うん、そうだよ…すぐに済ませて戻るから。』

それだけ言い残してツネは出て行き…

ざくろ『(変なの…どうしたんだろう?)』

不思議に思ったざくろがリビングへ行くと、そこにはツネのイカスマホが置かれていて…

どうして任務なのに置いていったんだろう…不思議に思ったざくろはツネのイカスマホを見始めた。

一方その頃…

まめみ「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね。」

タキ「分かった、ここで待ってるよ。」

まめみ「うん。」

そう言ってまめみはトイレへ向かい、タキは星空を見ながら待つ事に…

タキ「(やっぱり具合が悪いのかな…食べた事でつわりが起きちゃったか…?)」

心配しつつまめみを待つタキだったが…そこに忍び寄る影が1つ…

同じ頃、ツネの家では彼のイカスマホでまめみとのメッセージを見つけたざくろがやり取りを辿り、さっきのツネの様子を思い出して胸騒ぎを覚え…彼のイカスマホでまめみに電話をかけた。

プルルルル…

まめみ「ふぅ…。」

トイレを済ませて手を洗い終えたまめみ、すると…

ピリリリリ…イカスマホが鳴って、画面を見るとツネの文字が…

しかし、出てみるとその声の主はざくろだった。

ざくろ『まめみ、今どこにいるの!?』

まめみ「ざくろちゃん?モンガラキャンプ場だけど…」

ざくろ『ツネが…ツネがそっちへ行ったみたいなの!タキが危ない…!』

まめみ「ツっくんが…タキ君が危ないってどういう事…?」

ざくろ『詳しくはあたしも分からないけど、ツネは戦闘服を着てたしすごく機嫌が悪かった…タキに何かするかもしれない…お願いまめみ、ツネを止めて!あたしもエンに連絡してすぐに行くから!』

プツッ…そう言ってざくろは一方的に切ってしまい…まめみは急いでイカスマホをしまうと、タキの元へ向かって走り始めた。

その頃…まめみを待っていたタキは、後ろから聞こえる足音に気づいた。

タキ「(まめみ、戻って来たんだな。)まめみ…俺、大事な話があるんだ。その…まめみが妊娠している事に…気づいたんだ。不安も大きいと思う、けど…一生かけてまめみと子供を守るし、ずっとずっと大切にする…だから、だから俺と結婚して欲しいんだ、まめみ!」

そう言って振り返ったタキだが、そこに立っていたのは…

ツネ「…………………。」

戦闘服に身を包み、クアッドホッパーブラックを持ちながら俯くツネの姿だった…

タキ「つ…ツネ…どうしてここに…!?」

ツネ「ねぇ…まめみがこの前、具合が良くなかったの…君が原因なんだ?」

タキは震え上がった…そこには顔を上げてクアッドホッパーブラックを握りしめ、黄色の瞳をギラつかせて自分を睨むツネの姿…薄い暗闇で光るツネの瞳孔は徐々にタコの瞳に変わりつつある…即ちそれはツネが「本気で怒っている」事を示していた

タキ「………………!!」

背後からは殺意のオーラが見える気がして…タキ恐ろしさで言葉を発せず顔は血の気が引いた…

ツネ「…どうやら、僕は本気で貴様を消さなければならない様だね。」

そう話すツネの瞳は、タキを始末するという任務だけを映していた…。

To be continued…