小説「巡る虹色四季模様(日常編)」~終息~

まめみ「はぁ…はぁ…!」

急いでタキの元へ向かい走るまめみ…一方ざくろもエンに連絡を取り、モンガラキャンプ場へと向かっていた。

その頃、ツネはタキに向かって攻撃を開始していて…

バシュッ!

クアッドホッパーブラックから放たれるグレーのインクの弾幕が、容赦なくタキを襲う!

タキ「やめろ…ツネ…!」

ツネ「貴様さえいなければまめみは…貴様が汚したんだ…彼女の体に貴様との子供を…!」

怒り狂うツネはタキを執拗に狙い追いかけて来て、応戦したいのは山々だが今の彼はブキを持っておらずそれも困難だ…

タキ「落ち着くんだツネ…俺は…!」

ツネ「黙れ!」

バシュッ!インクはタキの足元に放たれ、足を取られてその場に転んだ

タキ「うっ…!」

ツネ「よくも…よくもまめみの清らかな体を…!」

そう言ってツネは馬乗りになり…

バキッ!タキの左頬を殴った!

タキ「ぐっ…うぅ…!」

ツネ「貴様の…貴様のせいでまめみは…!」

バキッ…バキッ…!ツネは何度もタキを殴り、彼の胸ぐらを掴んで激しく揺らした!

タキ「うっ…うぅ…止めてくれ…ツネ…!」

ツネ「黙れっ!!」

怒りに任せてタキを攻撃するツネだったが…

まめみ「きゃあぁぁぁ…タキ君!!」

ツネ「まめみ…!」

タキ「まめ…み…。」

まめみ「ツっくんやめて…タキ君がボロボロだよぉ…!」

泣きながらタキの元へ向かい、ツネから彼を引き離して抱きしめるまめみ…

それをツネはタコの瞳のままで見つめて息を荒くしていて…タキは鼻や口の端から血を流しながらも、まめみの桃色の瞳に溜まる大粒の涙を親指で優しく拭った。

タキ「まめみ…。」

まめみ「タキ君…ひっく…ひっく…!」

ツネ「まめ…み…。」

まめみ「ツっくん…酷いよ…どうしてこんな事を…!」

大粒の涙を流しながら訴えるまめみに、ツネはマスク越しに歯を食い縛り拳を握りしめた…

すると、エンとざくろも駆けつけて…

ざくろ「まめみ、タキ!」

エン「大丈夫ですか!?ツネ、貴方何という事を…!」

そう言ってタキに駆け寄り、応急処置をするエンとざくろを見て…ツネは強い孤独感、怒り、悲しみを覚えた…

ツネ「何故だ…何故…僕1人だけが悪者になっている…。」

ざくろ「ツネ…!」

エン「ツネ、元はと言えば貴方が一方的にタキさんに攻撃したのでしょう…将軍護衛部隊の隊長ともあろう者が感情的に…しかもブキを持たない相手に暴力を振るうなんて…。」

ツネ「そいつが…そいつがまめみを…だから僕は…!」

エン「ツネ…いい加減に…」

そう言ってツネがタキに再び拳を振り上げ、エンが白衣の懐からポイズンミストの瓶を取り出そうとしたその時!

タキ「いいんだ…エン…俺の責任なんだ…。」

ピタッ…その言葉を聞いて、ツネとエンは動きを止め…まめみの腕の中で話すタキの方を向いた。

まめみ「タキ君…どういう…事…?」

タキ「俺が…俺がまめみにそういう事をしてしまったんだ…順番が違うし、ツネが怒るのも当然だよ…けど…けど俺…責任取るだけじゃないんだ…まめみだから…生涯を共にすると誓ったから…俺の命を懸けても守りたい…だから…だから…まめみもお腹の子供も大事に守りたいんだ…。」

ざくろ「えっ…!?」

エン「お腹の子供…まさか…まめみさん…!?」

ツネ「………………!!」

驚く2人と怒りが収まらないツネはまめみを見たが、それはまめみ自身も同じで桃色の瞳に涙を溜めたまま驚いた表情をしていて…

まめみ「え…お腹の…子供…?」

タキ「…妊娠したんだよね…まめみ…?」

まめみ「え…えぇっ…あたしが妊娠!?」

タキ「………えっ?」

ツネ「…まめみ…どういう…事…?」

ざくろ「え、何…どうなってるの…?」

エン「私にも分かりませんよ…一体何が…。」

まめみ「えっと…どうしてあたしが妊娠してる事になってるの?」

タキ「…え、だって…まめみこの前具合悪くしてて…吐いちゃってたし…それに…赤ちゃんグッズの本が…。」

まめみ「え…あぁ、あれね!違うよ、あたし用の本じゃないの。」

タキ「えっ…?」

ツネ「…は…?」

まめみ「アマナツさんのところのスイ君がお出かけデビューするって聞いたから、ペコちゃんとスーちゃんの3人でサプライズプレゼントしようって事になって、分担して赤ちゃんグッズを縫ってたの。」

タキ「は…え…えぇぇぇぇ!?」

ツネ「……この……ドアホが……!!」

エン「…ゴホン…タキさんとツネの勘違いという事ですね…。」

ざくろ「そうみたいだね…。」

まめみ「あ…あの…あたしが知らない所で大事になってたみたいで…ごめんなさい…。」

エン「まめみさんは悪くないですよ。」

ざくろ「そうだよ、だから気にしないで。」

まめみ「エンさん、ざくろちゃん…。」

エン「…ツネ。」

ビクッ!こっそりその場を後にしようとしていたツネを、エンは呼び止めた。

ツネ「……何だい…エン…。」

エン「言われなくても分かるでしょう、タキさんの勘違いとはいえ…貴方がやったのは許される事ではありませんよ。」

ざくろ「タキにちゃんと謝って、ツネ!」

ツネ「ぐっ……!」

苦虫を噛み潰した様な表情でツネはゆっくりとタキの前に歩いてきて…

タキ「ツネ…。」

ツネ「…………すまなかった…。」

小さく「クソッ…」と悪態を吐いていたのも聞こえたが、タキはあえてそれには触れず…

タキ「俺も…勘違いとはいえ…ごめん…。」

そう言って謝ったのだった

こうして、まめみの妊娠…というタキの勘違いから生じた盛大な誤解と騒動は幕を閉じたのである。

その後まめみによって手当てされたタキは、その消毒液の染みる痛さで叫んだとかそうでないとか…

To be continued…