小説「巡る虹色四季模様(日常編)」~それぞれの遊び場へ~

後日…ルイは再びアミの元を訪れて、2人でハイカラスクエアに出かけた。

アミ「すごい、今日も賑やかだね。」

ルイ「うん、みんなナワバリやガチマッチ、バイト…それぞれの目的に向かって頑張ってる。」

アミ「…いいなぁ…。」

ルイ「アミ…君はナワバリとかしないの?」

少しだけ暗い表情になって俯いたアミの車椅子を押しながら、ルイは尋ねた。

アミ「しない…というより、出来ないの。」

ルイ「えっ…?」

アミ「わたし、生まれつき体がとても弱くて…ずっと車椅子なの。だからナワバリとかは1回もやった事ない。」

ルイ「そうだったんだ…ごめん、僕…何も知らないとはいえ…。」

アミ「大丈夫、その代わりにいつもみんなの試合を観戦してるの。」

ルイ「そうなんだ。」

アミ「貴方の試合も、今度見せて欲しいな。」

ルイ「えっ、僕の?」

アミ「うん、だってせっかく知り合えたんだもの…貴方の…ううん、ルイの試合を見てみたい。」

トクン…

あぁ、まただ…この沸き上がる暖かい気持ち…

ルイ「…うん、僕の試合で良ければいくらでも見せてあげる。」

アミ「ふふっ、嬉しい…ありがとうルイ。」

ルイ「どういたしまして。」

嬉しそうにニコニコ笑うアミの笑顔は眩しくて…ルイは胸の高鳴りに戸惑いつつも、そんな彼女に優しい笑みで返事をしたのだった。

それからというもの…ルイは時間を見つけては地下の電車を乗り継いで、アミに会いに行くようになった。

地下ではエンの部屋に行き、お気に入りのゲームをしながら彼の実験の様子に目を輝かせて…地上ではアミの車椅子を押しながら色んな場所へ連れて行って…彼の毎日は充実していくのだった。

そんなある日の事…

まめみ「ごめんねタキ君、突然お買い物に付き合ってもらっちゃって。」

タキ「大丈夫だよ、俺の分もちょうど買えたし。(それにまめみの試着してる水着、遠くからだけど見れたし…)」

まめみが試着してた水着姿を見て、タキが心の中でガッツポーズをしていたのは内緒である…。

まめみ「さっきイカラインが来て、ざくろちゃんも無事に買えたって言ってたし、次の土曜日が楽しみだね。」

タキ「うん。…………!」

まめみ「タキ君…?」

この時、タキの脳裏には「ツネ」という男の存在が過った…彼が来るのならまめみの水着姿を見て何をするか分からない、俺がしっかりと守らないと!そんな事を思いつつ真剣に考えこんでいるタキに、まめみが不思議そうな表情で名前を呼んだその時…

タキ「あれ、あの子…。」

まめみ「え?あ、こないだ地下の練習で相手をして貰ったタコの男の子…ルイ君…だっけ。」

タキ「車椅子の女の子と一緒に居るね。」

まめみ「お友達かな?何だか楽しそう。」

タキ「地上で上手い事馴染んでるみたいだね、よかった。」

まめみ「うん、そうだね。」

そう話して嬉しそうに微笑みながら、2人はルイの様子を見ていた。

そして土曜日…

ホテルニューオートロに集まったまめみ達が待っていると、少し遅れてからエンを連れてツネとざくろもやって来た。

ツネ「遅れてごめん。」

まめみ「大丈夫だよ、あれ…ルイ君は来なかったの?」

ざくろ「ルイは予定が入ってるって断られちゃった、何か地上で女の子と知り合ったみたいで。」

まめみ「あ、この前タキ君と水着を買いに行った帰りに見かけた子かな、黄色い髪の車椅子の女の子でしょ?」

ざくろ「そうそう。」

エン「その子はアミさん…こないだルイと地上に出かけた時に車椅子で転びかけたのを助けたんですが、それがきっかけで仲良くなったみたいですよ。」

まめみ「そうだったのね、ルイ君すごく楽しそうに笑ってたよね。」

タキ「うん、もしかして付き合ってたりして?」

ツネ「いや…仲は良いみたいだけどそういった話は出てないよね、エン?」

エン「そうですね、ただ…ルイの様子を見ていると恋をしてるんじゃないでしょうか。といってもルイ本人はまだ自覚してないみたいですがね。」

ざくろ「ルイってば、鈍いのね~。」

そんな話をしていると、先に手続きを済ませていたまめおが呼びに来た。

まめお「おーい、手続き終わったぜ!フー兄とペコ、スーやツミも待ってるから早く来いよ。」

エン「えっ…ツミさんも居るんですか!?」

事前にツミが来ている事を知らされていなかったエンは驚いて紫の瞳を丸くして…

ツネ「君がびっくりすると思って黙ってたんだ。」

ざくろ「ふふっ、ツミにも知らせてないからびっくりするかもね。」

エン「2人共、私を嵌めましたね…。」

ちょっと意地悪な笑みを浮かべるツネとざくろに対して、エンはほんのちょっぴり頬を赤らめてささやかに抗議をして…

まめみ「まぁまぁ、とにかくみんなで入ろうよ。」

こうして皆は建物に入っていき、それぞれ着替えの部屋へと向かった。

スーとペコは既に着替えを終えていたので先に行ってもらい、ざくろとまめみは着替え始め…

ざくろ「まめみ…これ、変じゃないかな…?」

まめみ「全然変じゃないよ、すっごく似合ってる!」

ざくろ「えへへ、よかった…ありがとう。」

まめみ「ふふっ、どういたしまして。」

そう言いながら今度はまめみが水着を着たが…

何やら胸元が少し苦しい…この前試着した時はそんな事無かったのに…

しかし当然他の水着等あるはずも無く…胸元のリボンをキュッと締めるとざくろと共にタキ達の元へ向かった。

To be continued…