小説「巡る虹色四季模様(絶望編)」~悪魔の瞳に宿るもの~

あれから2週間…ルイはアイカとゲームの話で意気投合して以来、目を合わせる事はお互いにほぼ無いものの…少しずつ打ち解けて仲良くなって来ていた

ルイ「このゲームも面白いよね!」

アイカ「ふふっ、ルイさん本当に色んなゲーム知ってるね。」

ルイ「ありがとう。…あの…僕の事はルイでいいよ…?」

アイカ「え?あ…ありがとう…えと…ルイ…ルイ…君…これじゃダメかな…。」

ルイ「ううん、大丈夫…へへっ…嬉しい。」

アイカ「ふふっ…!」

ルイ「……………!!」

アイカの表情がどうしても気になって顔を上げてしまったルイ…彼の目に入ってきたのは、満面の笑みで嬉しそうに笑う彼女の姿で…

綺麗な雪色の髪は太陽の光でキラキラと輝いていて…彼女の白い肌も魅力的で…

ルイは思わず見惚れる意味で息を飲んだと同時に、かつてこんな風に楽しく話をしていたアミの姿が今のアイカと重なって、ちょっとだけ胸の奥がズキンと痛んだ…。

アイカ「ルイ君、どうかしたの…?」

ルイ「え…あ、大丈夫…!」

ハッとしたルイは慌てて目を反らしてしまったが、彼の事情を理解しているアイカは気にならなかった。

その後も2人で話していると…広場にわかばイカTを着た初心者らしき女の子がキョロキョロしていて…

背は小さく、恐らくヒト化出来る様になってナワバリへの参加許可が下りたばかりの子だと思われる。

アイカ「あれ、あの子…。」

そう言うと、アイカは席を立ってその子の元へ…

ガール「……………。」

アイカ「こんにちは、初心者さんかな?」

慣れない様子でキョロキョロ何かを探すその子に、アイカは優しく声をかけた。

ガール「うん…あの…ロビーは…?」

アイカ「ロビーはここから真っ直ぐ歩いて行った場所…あのタワーの中にあるよ。」

ガール「あ、ありがとう…えっと…君は…?」

アイカ「私はアイカ、貴女のお名前は?」

シキ「あたし…は…シキ…だよ。」

アイカ「シキちゃん、いいお名前だね…ナワバリ頑張ってね。」

シキ「ありがとう……あの…いきなりだけど…もし…良ければ…一緒にナワバリを…。」

少し俯きがちに話すシキに対して、アイカは驚いて赤い瞳を丸くしたが…すぐに優しく笑いかけた

アイカ「うん、いいよ。」

シキ「ありがとう……アイカちゃん…!」

パアァッと明るい表情を見せるシキにアイカは再び優しく笑い、ルイの元へ戻り事情を話すとルイも一緒に参加する事に…

その後ロブに話してお手伝いを終えてから3人でロビーへ向かった。

場所はバッテラストリート、3人は同じチームになった

しかし…

アイカ「シキちゃん!」

シキ「!?」

バシュッ!!

シキは初心者で動きもまだ甘い…それ故にキルされがちだった

しかし、何やら相手の動きがさっきからおかしい…明らかにシキを一点狙いしている様子なのだ。

ルイ「あいつら…初心者に何て事を…!」

隙を見ては倒してプライムシューターベッチューの攻撃でシキを助けつつ、ナイスダマで援護するルイとパラシェルターソレーラのパージでシキを守るアイカだが…それでも相手チームの動きは激しく、シキを執拗に狙い続けた…

結局、最後にはリスキルをされて試合は終了…シキのデビュー戦には最悪ものとなってしまったが、部屋を抜けて気持ちを切り替えて次の試合へ向かった。

一時間後…慣れて来たシキも順調にランクが上がり、様々なブキを試しつつこの日は終わり、シキとアイカはフレンド登録をした後に別れた。

その後ロブのお店へ戻ったルイとアイカだが…

ボーイ1「あ~楽しかったな!」

ボーイ2「今日はすげぇキル稼げたな、初心者も居たし絶好のカモだったぜ!」

4人組のボーイ達がロブのお店で偉そうにしていて…彼らはシキのデビュー戦でリスキルをしてきた人達だった…。

アイカ「……………。」

ルイ「……行こう、アイカ。」

険しい表情のルイはアイカをその場から離そうと別の場所へ誘い…2人はムツゴ楼へ来た。

アイカ「夕陽が綺麗…。」

ルイ「ここは夕陽がすごく綺麗なんだ…アイカに見せたいと思って。」

アイカ「ありがとうルイ君…嬉しい。」

ルイ「よかった。」

表情が分からない故に、言葉だけでしかアイカの様子が分からないが喜ぶルイ…

しかし…アイカの表情はすぐに曇っていて…両手をぎゅっと握っていた。

夜…事態は大きく動いた

「白の悪魔」が出現したという情報をエンが入手したのだ!

夜景が綺麗な高台からその姿を確認したタキとツネは…

タキ「あれが白の悪魔か。」

ツネ「特徴は聞いてた通りだね。」

タキ「かなり素早いけど、捕まえられそう?」

ツネ「僕達を甘く見て貰っては困る、将軍護衛部隊が素人に引けを取ってどうするんだい?」

タキ「自信満々だね…それじゃあ任せるよ。」

彼の言葉に鼻をフンと鳴らしてツネは地面を蹴って飛び降りて行き…ざくろ、エンと共に包囲をする形で白の悪魔を追い込んだ!

ざくろ「そっちへ行ったよエン!」

エン「了解、ここからは逃がしませんよ!」

パリンッ!!

ポシュッ…

白の悪魔「!!」

ポイズンミストで退路を断たれた白の悪魔は引き返したが…

ツネ「悪いけど、観念して貰うよ。」

白の悪魔「!?」

彼女の前にはツネの姿…クアッドホッパーブラックの華麗な動きで白の悪魔を追い詰め、足下を取られて倒れた彼女に馬乗りになった!

しかし、彼女は激しく抵抗して…

ツネ「くっ…大人しくするんだ…!」

そう言って催眠の力を発動させたツネだったが…

白の悪魔「…っ……!!」

ツネ「なっ…!?」

スルッ…ツネが彼女の「瞳」に驚いた隙に彼の拘束から抜け出して、白の悪魔はそのまま逃げてしまった…

ざくろ「ツネ!」

エン「大丈夫ですか!?」

ツネ「……………!!」

ざくろ「ツネ…!?」

エン「ツネ、一体何が…?」

ツネ「…目…が…彼女の目が…………!!」

驚きを隠せないツネ…

彼が力を発動させた時に見たもの…

それは白の悪魔の瞳がタコの瞳に変わり、自身の力をはね除けたという予想外なものであった。

To be continued…