タキはアイカをソファに寝かせたが…アイカはとても苦しそうで…
アイカ「うっ…はぁ…はぁ…!」
まめみ「すぐに救急車を…!」
そう言ってまめみは救急車を呼ぼうとイカスマホを持ったが…
アイカ「まめみちゃん…呼ばないで…!」
まめみ「アイカちゃん…!?」
タキ「けどアイカ、このままだと悪化してしまう!」
アイカ「はぁ…はぁ…とりあえず…薬を…!」
まめみ「分かった…!」
ポケットから出された薬を受け取ると、2人はすぐに水と背中を支えるクッションを用意して、アイカは薬を飲んだ。
アイカ「ありがとう…ごめんね…少し…休む…ね…。」
そう言うとアイカは眠りにつき…
まめみ「タキ君、あたしツっくんに連絡してみる。」
タキ「うん、分かった。」
ツネがアイカと度々会っていたのは知っていたので、まめみは彼に相談する為に電話をした後…しばらくして、ツネがざくろ、エンと共に駆けつけた。
ツネ「アイカは?」
まめみ「ソファで眠ってるよ。」
ざくろ「アイカ、やっぱり病院に行ってないんだね…。」
まめみ「どういう事、ざくろちゃん?」
ツネ「アイカは心臓が悪いらしいんだ…そして飲んでいる薬は、オクタリアンが開発した発作止めの薬…その関係もあるのか、彼女は病院に行っていないんではないかって話をしてたんだ。」
まめみ「それでさっきもあんなに苦しそうに…。」
タキ「治す方法は無いの…?」
エン「心臓を移植するしか手はありません、しかしアイカさんが病院に行きたがらないのは何か他にも理由があるのかも…?」
そんな話をしていると…
アイカ「んっ…。」
まめみ「アイカちゃん!」
眠っていたアイカが目を覚ました。
アイカ「まめみちゃん…タキ君…。」
タキ「具合はどう?」
アイカ「今は大丈夫…。」
そう言って辺りをゆっくり見渡したアイカは、ツネ達の姿を見て少し驚いた。
ツネ「まめみから連絡を受けて来たんだ。アイカ、病院にかからないのには理由があるんだろう?」
アイカ「ツネ君………私…幼い頃に心臓を悪くして…病院で診て貰ったの…でも…手の施しようが無いって言われて…。」
ツネ「なっ…!?」
ざくろ「そんな…!」
エン「…もしかしてとは思っていましたが…やはりそうでしたか…。」
タキ「エン、もしかしてオクタリアンの技術なら…?」
エン「えぇ、可能です。」
まめみ「でもタコの医者ならここにも少なからず居るはずなのに、どうして…?」
エン「恐らく法律でしょう…我々の技術は先を行きすぎている、その関係で許可が下りないんだと思います…。」
アイカ「…この薬はお祖母ちゃんが残してくれた薬だけど、もうほとんど残ってないの…それが尽きた時、私はもう生きられない…。」
まめみ「そんな…アイカちゃん…!」
すると…ピンポーン!
突然インターホンが鳴り、まめみが出るとそこに居たのはシキだった。
シキ「まめみちゃん、みんなで一緒にナワバリ行かない?」
まめみ「シキちゃん、ごめんね…今アイカちゃんが具合悪くて休んでるの。」
シキ「え、アイカちゃんが!?まめみちゃん、上がっていい?」
まめみ「うん。」
シキ「お邪魔します!」
アイカが心配で堪らないシキの様子を察したまめみは彼女を迎え入れ、シキは急いで靴を脱いでリビングへ走って行った。
アイカ「シキちゃん…!」
シキ「アイカちゃん、苦しいの!?」
アイカ「今は薬を飲んだから大丈夫だよ。」
ツネ「今、アイカに手術を受ける様に勧めていたんだ。」
シキ「手術…それを受ければアイカちゃんは元気になる?」
エン「えぇ、完治しますよ。」
シキ「アイカちゃん、手術受けて元気になろう?」
アイカ「シキちゃん…私…受けていいのかな…生きていいの…かな…。」
シキ「いいに決まってるよ!アイカちゃん、あたし達を置いて死んじゃったりしたら許さないんだから!!」
アイカ「シキ…ちゃ…ん…!!」
シキ「生きて…生きてアイカちゃん!!」
そう話すシキの瞳からは大粒の涙がボロボロ零れ落ちていて…アイカの赤い瞳からも大粒の涙が零れ落ちた。
ツネ「…アイカ、手術を受けよう…僕達の居る場所なら手術で完治出来る、君は生きられるんだ!」
アイカ「ツネ君…。」
ツネ「僕は君に話したい事がある…君を絶対に死なせない、だからお願いだ…入院して手術を受けてくれ…!」
アイカの手をギュッと握ってそう話すツネの声と手は震えていて…
アイカ「ツネ…く…ん…私…生きたい…手術…受けるよ……!」
ツネ「ありがとうアイカ、必ず助けるからね…!」
エン「決まりましたね。」
ざくろ「それじゃあ早速?」
エン「えぇ、話をしておきましょう。」
ツネ「頼んだよエン。」
エン「はい。」
ツネの目を真っ直ぐ見てエンはそう言うと深く頷き、ざくろと共に一足先に地下へ戻り…
夕方…タキがシキを家まで送り届け、連絡を受けたまめおが戻ってきてアイカを抱きかかえ、ツネ達との待ち合わせの場所へ向かった。
ツネ「具合は落ち着いてるかい、アイカ?」
アイカ「うん、大丈夫。」
ツネ「よかった。」
まめみ「ツっくん、アイカちゃんをお願いね。」
ツネ「うん、それじゃあこのゴーグルを身に付けて貰って…。」
そう言うとツネはアイカにそっとゴーグルを付け、まめおから彼女を受け取った。
まめお「頑張れよアイカ、俺達待ってるからな。」
まめみ「みんなで応援してるよ。」
アイカ「ありがとうまめお君、まめみちゃん。」
ツネ「それじゃあ行くね。」
優しく笑うアイカを抱き抱えたツネは、地面を強く蹴って高く飛び上がり、暗闇に姿を消した。
まめお「行こう、まめみ。」
まめみ「うん。」
アイカの手術が成功する事を願い、2人は家に戻った。
エンが事前に連絡を入れていたので準備は着々と進み、アイカは個室で手術を待つ事に
ツネ「手術は1週間後に決まったよ、他にも欲しい物があったら何でも言ってくれ。」
アイカ「ありがとう。」
ツネ「どういたしまして。」
どこなのか分からないし、見た事の無い設備もある…しかし体調はとても安定していて、窓から見える和風な空間はどこか懐かしさも感じて…優しい笑みを向けるツネに、アイカは安心感を覚えた。
一方で、アイカが手術を受ける事をエンから聞いたルイは心穏やかでは無かった…
ルイ『……………。』
エン『アイカさんに会わないんですか?』
ルイ『……うん、今はいい…練習に行ってくる。』
エン『ルイ…。』
会いたい…けれどもしそれが「最後」になったら…?
アミと同じ様にアイカを失ったら…?
その恐怖がルイを支配していて…彼の白い瞳は揺れていた。
To be continued…