まめみ…まめみ…
タキ君…?
ドスコイまる「キュ、まめみ!」
ゆっくりと目を開けると、目の前にはドスコイまるが居た。
まめみ「ドスコイまる、よかった…!」
安心してドスコイまるを両手で包んだまめみは、ゆっくりと身を起こして辺りを見渡した。
まるで雪の様に真っ白な地面…視線の先はケバインクだらけで、遠くの方では棘の様にも見えるケバインクが建物を覆っていた。
ドスコイまる「キュ、まめみ…ふくが!」
まめみ「えっ…きゃあっ!」
ヒーロー装備はボロボロに壊れ、今の服装は黒い布きれに覆われた上半身と、かろうじて残ったズボンのみ…
そしてそんな彼女を絶望へと叩き落とす光景が…!
ハイドラント「(まめ…み…。)」
まめみ「ハイドラント!!」
落下の激しい衝撃でハイドラントのタンクは大破して、パイプ部分も大きく歪んでしまっていた…。
ハイドラント「(すまないまめみ…我は…もう…。)」
まめみ「嫌っ…ダメだよハイドラントっ…!!」
ボロボロと大粒の涙を流してハイドラントを抱きしめるまめみに、ハイドラントは今にも息絶えそうな声で語りかけた。
ハイドラント「(まめみ…こんな姿になっても…我…を…求めてくれるのか……ならば…我は再び蘇ろう…。)」
まめみ「ぐすっ…ひっくっ…ほん…とに…?」
ハイドラント「(あぁ…約束だ…ブキチの小僧の元…へ…我を…。)」
まめみ「ハイドラント…?」
ハイドラント「(…………………。)」
まめみ「ハイドラント…ハイドラントおぉ…!!」
ぎゅっと抱きしめたままうずくまって泣き続けるまめみだったが…しばらくしてゆっくりと立ち上がると、壊れたハイドラントとヒーロー装備を手に歩き始めた。
しばらく歩いて行くと、キャンプ場が見えて…
おーい…おーい!
1号「おーい3号、まめみちゃーん!」
タキ「まめみ!」
そこには1号アオリと2号ホタル、そしてずっと会いたかった夫、タキの姿があった。
2号「まめみちゃん、その格好は…!?」
1号「まめみちゃんとドスコイまるちゃんは無事みたいだけど、ヒーロー装備が壊れちゃってる!」
タキ「まめみ、ハイドラントが…!」
まめみ「タキ…君…ハイドラントがブキチにっ…て…!」
大粒の涙を流しながら話すまめみは悲惨な姿をしていて…今にも露わになりそうな胸を隠すように、タキはまめみを抱きしめた。
タキ「2号、ブキチに連絡してハイドラントの修理をお願いして。」
2号「了解。」
タキ「1号はまめみに暖かい飲み物を用意して。」
1号「了解!ドスコイまるちゃんはあたしと一緒に行こうね。」
ドスコイまる「キュッ、わかった!」
タキはまめみを部屋に連れて行き、自分がバンカラに来た時に着ていたF-190を彼女に掛けてあげた。
まめみ「タキ君…アタリメさんがケバインクに捕まって…。」
タキ「うん、途中ではぐれたみたいだね。」
まめみ「あたしがあそこで掴めていれば…!」
タキ「自分を責めないでまめみ、司令には2号が発信機を持たせていたし、反応自体はあるから大丈夫だよ。」
まめみ「タキ君…。」
タキ「今は気持ちを落ち着かせよう、俺がずっと傍に居るからね。」
まめみ「うん…。」
桃色の瞳を揺らしているまめみの頬を撫でて、タキはキスをして抱きしめた。
その後、1号がホットミルクを用意してくれて…まめみが飲み終えて落ち着いた頃に2号もブキチの元から戻って来て、膝で眠るドスコイまるをまめみが撫でながら話し合いが始まった。
タキ「ハイドラントの様子は?」
2号「かなり損壊が激しいけど、時間さえかければ直せるって言ってたよ。」
まめみ「よかった…ありがとうホタルちゃん。」
2号「まめみちゃんの大切な宝物だもんね。」
そう言ってホタルは優しく笑いながら、まめみの頭を撫でてくれた。
1号「司令、じーちゃんに関してだけど…。」
タキ「反応自体はあるみたいだけど、どこで確認出来た?」
2号「それが、発信器の強い反応が3つもあるんよ。」
タキ「3つ?どういう事だ…。」
1号「分からないけど、まめみちゃんにはその3ヶ所の調査をお願いしたいの。」
まめみ「うん、分かった。」
2号「マップも追加しといたから、これを見ながら進んでね。」
まめみ「ありがとう。」
準備を整えて、まめみはタキから借りたF-190を着て調査を開始した!
ヤカンをインクで塗って蓋を開け、中に入るとタコツボキャニオンで戦っていた頃の様な光景が広がっていた。
何かの建物の様な場所に居て、目の前には改札口の様な物と扉が設置されていて…
1号『ねぇ、何か聞こえない?』
通信機を通して1号がそう言うと、確かに何か聞こえてきた。
???「≪……を起動≫」
まめみ「えっ…?」
???「≪システムチェック、ok…認証デバイス、正常…≫」
まめみ「何の声…システムチェックや認証デバイスって…?」
???「≪スキャン開始………完了、データベースに該当無し≫」
2号『該当無し…?』
???「≪新規登録シーケンス、スタート≫」
まめみ「な…何なの…?」
戸惑いを隠せないまめみだったが…
イルカ「≪ガッ…ガゴコ…ッ…≫こんにちは、私はイルカ。オルタナ市民プログラムのナビゲーターです。」
1号『喋った!』
まめみ「イルカ…オルタナ市民プログラムのナビゲーター?」
イルカ「オルタナへようこそ、始めに参加者の情報入力をして下さい。」
2号『どうやらここのシステムっぽいね、とりま話を聞いてみよっか。』
…ピロリン♪
イルカ「名前の入力を受け付けました、ご協力ありがとうございます、3号様。」
2号『あ、3号で登録されちゃった…。』
タキ『いや、かえってこの方がいいかもしれない。』
まめみ「そうだね、何が起きるか分からないし…。」
イルカ「本プログラムでは、オルタナ各地のミッションによって、貴女の知力と体力を測定し、ミッションをクリアすると優れた市民としてイクラが支給されます。」
タキ『イクラが支給…これでヒーロー装備を修理出来そうだね。』
イルカ「初回のみイクラが大盛りで支給されますので、皆様奮ってご参加下さい。なお、多くのミッションをクリアする程、機密資料であるオルタナログへのアクセスが解除されていきます。」
まめみ「オルタナログ…?」
イルカ「オルタナログは無許可での公開が禁じられていますので、情報の取り扱いにはご注意下さい。」
まめみ「分かった。」
イルカ「それでは足元の装置を起動しますので、今回のミッションで使うブキを選んで下さい。あちらのゲートでイクラを支払ってをくぐるとミッション開始です、今回のミッションは無料ですが、今後イクラが必要になるミッションもあるのでご注意下さい。」
まめみ「よし、行こうドスコイまる!」
ドスコイまる「キュッ!」
イルカ「≪ユーザー名:3号の登録シーケンスを完了、活動データの収集及び分析を開始≫ではグッドラックです。」
まめみは地を蹴ってゲートをくぐり、オルタナのミッションを開始した!
To be continued…