あれから数日経ったある日の事…アイシェがローアに泊まりに来る事になり、マホロアはウキウキしながらローアの船内を掃除していた
覗きの件の翌日、マホロアがいつも通りアタックすると…
アイシェ『答えに少しだけ、時間が欲しいな。』
優しい笑みと共にそう言われ、それ以来マホロアはずっと我慢していた
未だに返事は貰えないままだが、アイシェが泊まりに来るというだけでもマホロアの心は弾んだ
お風呂もいつも以上に念入りに掃除してピカピカに、アイシェの泊まる部屋もベッドも飾り付けして…とはいえやり過ぎると引かれてしまうので程々に。
マホロア「仕上げにコノ香水を置けば、完璧ダヨォ!フフフ…アイシェきっと喜んでくれるネェ~!」
アイシェ『わぁ、素敵…!』
マホロア『アイシェの為に用意したんダヨ。』
アイシェ『ありがとうマホロア、大好き!』
マホロア『ボクも大好きダヨォ!』
アイシェ『私、ここでマホロアと一緒に暮らすよ。だから、今夜はもうずっと離さないで…。』
そう言ってアイシェはマホロアにぎゅっと抱きついて…
マホロア『もちろんダヨ~絶対に離さないカラネェ…何ならボク、朝まで寝かせないヨォ?』
そんな事を言いながらアイシェの腰に手を回して…
アイシェ『マホロアったら…そんな所も大好きだよ。』
…という妄想が彼の頭の中で繰り広げられ…
マホロア「ナ~ンテネッ!想像しただけデモ最高の気分ダヨォッ!」
嬉しそうに両手で顔を覆い、床をゴロンゴロン転げ回るマホロア…誰にも見られていないのが救いだが、端から見たら完全に不審者である。
ルンルンでローアのパネルを操作すると、ちょうどアイシェがカービィと共にワープスターで到着した所だった。
アイシェ「送ってくれてありがとう、カービィ!」
カービィ「どういたしまして、それじゃあね~アイシェ!」
帰って行くカービィを見届けた直後に、マホロアがローアから出てきた。
マホロア「ヤァ、待ってタヨ~アイシェ!」
アイシェ「マホロア、一晩お世話になります!」
マホロア「アイシェならいつデモ大歓迎ダヨォ~!(何ならこのままローアで…クッククク!)」
アイシェ「あ、これどう?」
今日のアイシェはまた違う服を着ていて、肩はふんわりとした袖で胸元がシャーリング加工され、後ろには大きなリボンがあしらわれた白いワンピース姿に髪を1つに纏めてポニーテールにしていて、マホロアの前でクルリと回って見せた。
マホロア「今日の服も髪型も素敵ダヨ~!エヘヘ、アイシェがどんどん可愛くなっちゃっテ照れチャウヨォ!」
アイシェ「ふふっ、ありがとう。」
そう言って笑うアイシェは可愛くて、マホロアの心は彼女への愛情と言う名の欲で溢れてくる。
マホロア「ところで、そのバスケットは何ダイ?」
アイシェ「これはね、お菓子作ってきたの!」
そう言って嬉しそうに話すアイシェの持っているバスケットからは、甘い香りが漂ってくる
マホロア「ワァ~美味しそうな香りダネ、早速ローアの中に入って食べようヨ。」
アイシェ「うん。」
ローアの中に入り、大きなテーブルをアイシェの持って来たお菓子とマホロアの用意したアップルティーで飾ったら、2人だけのティータイムが始まった。
マホロア「こうシテると、あの頃を思い出すネェ。」
アイシェ「マホロアと出会って過ごした時の事?」
マホロア「ウン、デモ今の方がモット楽しくて幸せダヨ。」
アイシェ「ふふっ、私も同じだよ。」
2人は今一緒に過ごせている事に心からの幸せを感じて、お互いに優しく笑い合った。
マホロア「このクッキーすごく美味しいネ!カービィやボクの形もあっテ、たくさん食べれちゃうヨ。」
アイシェ「カービィも喜んでたよ、もっと食べたいってお願いされちゃった。」
マホロア「カービィの気持ちが分かるナァ、コレならいくらでも食べれちゃうモン。」
穏やかで楽しいティータイムの時間を過ごし、その後は2人でお散歩したりマホロアの部屋を見せて貰ったり…
アイシェ「(あ、こないだカービィが描いた絵だ。)」
揶揄っていたけどやっぱり嬉しかった様で、額縁に入れて大切に壁に飾られているのを見たアイシェは心が暖かくなった。
マホロア「自由に好きなダケ見ていいからネェ~!」
嬉しそうなマホロアは「雲の夢」を口ずさんでいて、とてもご機嫌な様子だ。
アイシェ「そういえば…マホロアっていつも同じ格好だけど、他にも衣装はあるの?」
マホロア「コノ衣装ヲ何着か持ってるケド、他にはこんなのトカ?」
そう言って彼がタンスから出したのは、白と黄緑を基調にした衣装で…
アイシェ「わぁ、全然違うから新鮮…!」
目を輝かせて見ているアイシェに、マホロアは黄色い瞳を弓形に細めた。
マホロア「コレはボクがプププ王国で、万屋の店主をしてイタ時の服ダヨ。」
アイシェ「え、この衣装が?」
マホロア「コレも悪くないけど、やっぱりいつもの格好が一番落ち着くヨ。」
アイシェ「…マホロアっ!」
ぎゅっ…自分の名前を呼んで抱きついてきたアイシェに、マホロアは一瞬だけ驚いたが、すぐに優しい笑みを浮かべて抱き返した。
マホロア「大丈夫、ボクはココに居るヨ。この服ヲ着ててもずっと、アイシェの傍に居るカラネ。」
アイシェ「うん。」
2人はしばらくその場で抱きしめ合い、お互いの温もりを感じた
誰にも邪魔されない、2人だけの時間を…
その後も穏やかに過ごし、お風呂に入ったアイシェだが…
ポチャン…蛇口から零れ落ちた一滴を見ながら、カービィの家やデデデ城でのマホロアとの出来事を思い出していた。
首筋に唇を這わせてきただけで、その先の進展は未だに無い。あれから特に何も起きて無いが、きっと気を遣って魔力に変えているんだろう…
もし今夜求められたら…アイシェは応じる覚悟を決めていた
恐怖や不安もあるが、何よりも愛する人に求められたい気持ちが大きい…ドキドキしつつも、アイシェは天井を見上げた。
しばらくしてお風呂から上がり、着替えて出てきたアイシェだが…マホロアの姿がどこにも無い。
自分のお部屋に居るのかな?そう思ったアイシェが彼の部屋の前に行くと…
マホロア「ハァ…ハァ…アッ…アイシェ…ェ…!」
扉の向こうから、荒い息と共にマホロアの声が聞こえてくる…
アイシェ「(マホロア?)」
マホロア「ウッ…ハァ…ハァ…アァッ…ッ…!」
カサカサと何かの音が聞こえ、マホロアが何かをゴミ箱に棄てた様な音も聞こえてきた
アイシェ「……………!!」
マホロアがしている事を理解したアイシェの頬は、一気に真っ赤に熱く染まった。
マホロア「ハァ…ハァ…ッ…!」
息の荒いマホロアが部屋から出てくる様子は無く、アイシェはそっとその場を後にして…台所でご飯の準備を始めた。
アイシェ「(あれ以来、いつもあんな感じにしてるのかな…。)」
ドキドキするアイシェは集中出来ず、それでも何とか野菜を切っていると、しばらくして何も知らないマホロアがやって来た。
マホロア「アレ、アイシェ…お風呂上がったのカイ?」
アイシェ「う、うん…。」
マホロア「ボクが作るカラ、休んでてイイヨ。」
アイシェ「だ、大丈夫…私が作…痛っ!」
注意力が散漫になっていたものだから、うっかり包丁で人差し指を切ってしまい、血が流れた…。
マホロア「大変、すぐに見せテ!」
アイシェ「え、大丈夫だよこれくら…」
マホロア「大丈夫じゃないダロ、大切なアイシェの手なんだカラ!」
そう言うとマホロアはアイシェの手をグイッと自分の方へ引っ張り、マフラーを下げると切れた指を咥えた。
アイシェ「っ……!!」
マホロアの口内の温かさ、そして何よりも彼の舌の感触が気になって…アイシェの心臓は煩いくらいに高鳴り、その頬は真っ赤に染まるのだった。
To be continued…