小説「夢結ぶ星りんご」(トリデラ編)~心を蝕む恐怖の女王~

落ちていくタランザを気にも止めず、セクトニアはこう吐き捨てた。

セクトニア「醜きタランザよ…使えぬ愚か者などいらぬわ…。」

アイシェ「タランザを助けなきゃ!」

バンワド「待ってアイシェ!」

落ちていったタランザを助けにアイシェは降りて行き、バンワドも彼女を追って降りて行った。

セクトニア「さて、下界の勇者よ。無能なこの国の民どもに代わり、全てを治めんとするこの女王に仇なすというのか?」

カービィ「みんな困ってるよ、こんな酷い政治は止めようよ!」

そう言うカービィだが、クィン・セクトニアはフンと鼻で笑い…

セクトニア「よかろう、では己が愚かさを悔やむがいい。万物の女王、このセクトニアの…神にも等しき美貌にひれ伏し崇め、全てを捧げるが良い!」

持っていた杖を2本に増やして襲いかかって来たクィン・セクトニアに、カービィも戦闘態勢に入り…戦いの火蓋が切って落とされた!

ワープしながら杖から黒い稲妻を出して攻撃してきたり、2本の杖…ゴールドステッキとシルバーステッキが鋭いレイピアに変化して、二刀流で高速突きをしてきたり…更には巨大な宝石を生み出して、そこにカービィを飛ばして遠距離からカッターの様な物を飛ばしてきたりと、翻弄しながら強力な攻撃を仕掛けてくる

しかしカービィも負けていられない、デデデを助け…圧政に苦しむ天空の民を救う為に立ち向かった!

一方アイシェは、落ちて倒れているタランザを発見した!

アイシェ「タランザ!」

タランザ「うっ…アイシェ…?」

優しく揺すると、タランザは気がついてゆっくりと体を起こした。

アイシェ「大丈夫、怪我してない?」

タランザ「アイシェ…どうしてそこまでボクの事を…!」

アイシェ「だって、私達もう友達だもの。」

タランザ「アイシェ…!」

バンワド「途中でアイシェから全部事情は聞いたよ、タランザ。もうセクトニアに従う必要なんか無い、キミが悪者になる必要は無いんだよ。」

タランザ「従う必要が無い…でも……それでもどうしてボクに対して友達なんて言えるのね……。」

アイシェ「カービィが言ってたの、「一緒にご飯を食べればみんな友達」だって。」

タランザ「そんな…そんな単純な…っ…!」

カービィの言っていた事に呆れるタランザだが、その白い瞳からはボロボロと涙が零れ落ちて止まらない…

アイシェ「もう大丈夫、タランザは1人じゃないよ。」

泣いている自分の手をそっと握って、優しい笑みを向けるアイシェに…タランザは心が満たされていくのを感じて…

タランザ「アイシェ…アイシェっ…!!」

ぎゅっ…泣きながらタランザはアイシェを強く抱きしめ、アイシェもそっと彼の背中に手を回して抱き返した。

同じ頃、カービィは激闘の末にセクトニアを撃破した

カービィ「やった!」

すると、気絶していたデデデが漸く気がついて起き上がった。

デデデ「うぅ…何が起きたんだ…?」

カービィ「よかったデデデ、気がついたんだね!」

デデデ「んっ…あぁ…カービィ?……っ……!?」

大喜びで自分の手を取りジャンプするカービィに対して、まだボーッとしていたが…突然驚いた顔をしてあんぐりとしてしまい…

カービィ「どうしたの、デデデ?」

不思議に思ったカービィだったが…

セクトニア「クッ…フフ…フ…な…る…ほど…な…流石はワールドツリーが導きし勇者よ…ならば見るがいい…美しき…この操りの秘術を…!」

デデデ「な…ななな何なんだアイツは!?」

カービィ「あれはクィン・セクトニア…このフロラルドを支配して、民を苦しめてる悪い女王だよ!」

セクトニア「ここまで其方らを…導きし…ワールドツリーと一体になろうぞ…!」

カービィ「えっ…!?」

セクトニア「フロラルドも下界も…この星もろとも…未来永劫、わらわの糧となり続ける事を…光栄に…思うがいいっ!!」

そう言ってセクトニアは眩しい光に包まれて姿を消し、代わりに大きく太いツルが周りを覆っていた。

一方、その変化はタランザ達の方にも伝わっていて…

タランザ「セクトニア様…いやセクトニア…何て事を…!」

アイシェ「どんどんツルが伸びていく…!」

バンワド「このままじゃポップスターまで…!」

すると、突然ツルが伸びてきて…

シュルッ!アイシェの体に巻き付いた!

アイシェ「きゃあっ!」

バンワド「アイシェ!」

アイシェ「うっ…あぁぁ…!!」

どんどん持ち上げて締めつけるツルに、苦しさで表情を歪めるアイシェ…するとタランザが攻撃して引きちぎり、落ちてきた彼女を受け止めた!

タランザ「アイシェ、大丈夫なのね!?」

アイシェ「ごほっ…うん、ありがとうタランザ…!」

タランザ「ここは危険なの、安全な場所へ移るのね!」

そう言うとタランザはアイシェを抱き抱えたまま、バンワドと共に走り出した。

一方地上でもどんどんツルが浸食していて…

メタナイト「これは一体…カービィ達の所で何が起きているのだ!?」

手に持った宝剣ギャラクシアでツルを斬り続けるメタナイト、すると上空にディメンションホールが開いてローアが姿を現し、マホロアとマルクが出てきてメタナイトの元へ降り立った!

マホロア「メタナイト!」

メタナイト「マホロア、マルク…予定よりも早い帰還だが、どういう事だ?」

マホロア「予定より早く終わったカラゆっくり帰ろうとしてたんダケド、ボクがアイシェにかけていた守護の魔術が発動したのを察知しテ急いで戻って来たんダヨ!」

マルク「これは一体なんなのサ!?ポップスターも輝きを失ってるのサ!」

メタナイト「どうやら遙か天空で、何かが起きているらしい…大王が攫われて、カービィ達が向かったのだ!」

マホロア「まさか……アイシェもナノ!?」

メタナイト「初めは私と地上に来るように言ったが、実はアイシェは其方が旅立つ前日とこの事件が起きる前日に予知夢を見ていたのだ…だから自分の見た夢が何か役立つかもしれないと。」

マホロア「ソンナ…何で言ってくれなかったんダヨ、アイシェ…!!」

メタナイト「其方に心配をかけたくないと言っていた…彼女の気持ちを、どうか分かってやって欲しい。」

マホロア「………メタナイト、ボク達も加勢するヨ!」

アイシェ…キミを失ったらボクは…!そう思うマホロアだったが、今は彼女の無事を信じてカービィを待つしかない!そう判断したマホロアは、マルクと共に加勢するのだった。

マルク「あっちはボクが引き受けたのサ!」

そう言うとマルクは飛んで行き、マルク砲でツルを薙ぎ払い…

マホロア「流石ダネェ…ボクも負けてられないヨォ!」

珍しくマルクを褒めると、マホロアも魔法陣からウルトラソードを召喚してツルをどんどん斬っていき…

ローアも自らの意思で戦い、メタナイトも引き続きギャラクシアでツルを斬り裂いた!

そして天空では、助けた天空の民達が持って来た砲台にカービィとデデデがそれぞれ乗り込み、ツルを守る「セクトニアフラワード」を攻撃しながらツルを退けて…僅かに開いた隙間から、カービィをワールドツリーへと飛ばした!

飛ばしたカービィがセクトニアの元へ向かう道中…

バンワド「カービィ、これを持って行って!」

アイシェ「気をつけてカービィ!」

カービィ「ありがとうバンワド、アイシェ!」

バンワドとアイシェからアイテムを受け取り、カービィがワープスターに乗って向かうと…

そこにはワールドツリーと同化したセクトニアの姿が…

セクトニアフラワードが攻撃してくるのをかわしながら着実に撃ち落としていき…どんどん不安定になる足場に移動しながら、最終的には4つに増えたセクトニアフラワード達から繰り出される強力な電撃技「フローラルレイ:カルテット」もギリギリかわしつつ倒していくカービィ

激戦の末、セクトニアが項垂れてそのまま動かなくなり…

アイシェ「倒したの…?」

カービィ「やった!」

喜ぶカービィと、遠くで様子を見るアイシェだったが…ツルがカービィの足に絡みつき、そのまま締め上げた!

アイシェ「カービィ!」

バンワド「まだ倒れてなかったんだ…!」

カービィ「う…うわぁぁぁーーー!!」

叫ぶカービィ、すると絶体絶命のピンチに現れたのは…

デデデ「来たぜカービィ!タランザ、今だ!」

タランザ「分かったのね!」

アイシェに助けられたタランザと、彼に運ばれて来たデデデ大王の姿だった!

To be continued…