まだ薄暗い明け方、外で鳴くトゥーキーの声で目が冷めたマホロアは、あくびをするとゆっくりと起き上がっておでこに手を当てた。
マホロア「ボク…アイシェを介抱しようとシテ…。」
マルクは酔うとほとんど覚えていないタイプだが、マホロアは逆に酔い潰れても全て覚えているタイプで…昨夜の事も鮮明に覚えていた
そういえばアイシェは?マホロアが辺りを見渡すと…
アイシェ「ん…。」
彼女の小さな声が聞こえて、隣で眠るアイシェを見つけたが…胸元が開けていて、昨夜自分が脱がしかけた状態のままだった姿にマホロアは黄色い瞳を大きくして驚いた!
マホロア「(ワーオ!朝からコンナ展開アル!?…デモ、コ~ンナ無防備な格好で寝てるって事ハ…つまりそういうコトダヨネェ?)」
瞳を弓なりに細めて舌舐めずりをしたマホロアは、そのまま眠るアイシェにキスをすると、もぞもぞと動いてアイシェが目を覚ました。
アイシェ「ん…うぅ…。」
マホロア「おはよう、目が覚めたカイ?」
アイシェ「っ…やっ…ぁ…!」
青い瞳を向けるなり、いきなり拒絶の言葉から始まった事にマホロアは一瞬顔をしかめたが、すぐにニコッと笑顔を見せてアイシェに覆い被さり口を開いた。
マホロア「起きていきなり酷いナァ…ボクはアイシェを介抱してアゲようとしたんダヨォ?」
アイシェ「無理矢理…しようとしたじゃない…!」
マホロア「ククク…起きてもコンナに開けてたの二、ボクが無理矢理って言いたいのカイ?」
アイシェ「きゃあっ…!」
意地悪な笑みを浮かべて右手でつつつーっと胸元を触るマホロアに、アイシェは昨夜あのまま気を失う様に眠ってしまったから服を直していなかった事を思い出し、恥ずかしさで頬を真っ赤にした。
するとマホロアはアイシェから離れて起き上がり、続いてアイシェも起き上がって胸元をぎゅっと握って隠したが…マホロアはマフラーを上げ意地悪な笑みを浮かべたままじっと見ていて…
マホロア「お預けされテばかりだと、アンナ風にエッチなの見ちゃうヨォ?」
アイシェ「えぇ……。」
マホロア「クククッ…アイシェはどうしちゃうのカナァ〜?」
ドクン…
彼が言っているのは例のディスクの事だろう…アイシェは再び胸の鼓動が速くなり、背中を嫌な汗が伝う
アイシェ「っ……!」
マホロア「アイシェ、ボクにやきもち妬いちゃうのカイ?」
アイシェ「……………。」
黙って俯いてしまったアイシェにマホロアは相変わらず意地悪に笑いながら顔を覗き込み、更なる追い打ちをかける…
マホロア「黙ってタラ分からないヨォ?」
アイシェ「っ………。」
明らかに意地悪をしているマホロアの声音は楽しそうで、悪戯っぽく笑うその姿も今のアイシェには苦しくて…俯いたままフイッとそっぽを向いてしまった。
いつものちょっとした意地悪のつもりで、そろそろ止めて謝るつもりだったのにアイシェは顔を背けてしまい…マホロアは顔を上げて眉間に深い皺を寄せる
マホロア「アイシェ、ボクを見ろヨ。」
アイシェ「……マホ…ロア……。」
彼女の反抗的な態度が気に入らないマホロアが不機嫌な声で言うと、アイシェは消え入りそうな声で名前を呼んできて…
グイッ!!
アイシェは突然顔を上げて、マホロアのマフラーを下げるとそのままキスをした!
マホロア「!?」
突然の事にマホロアが驚きで目を開けたままアイシェを見つめていると、今度は唇を割って舌が入ってきて…
アイシェ「んぅぅ……っ…。」
不慣れな事をしながら苦しい声を漏らすアイシェだが、一生懸命舌を入れて深くキスをしてきて…マホロアは漸く目を閉じた
少ししてキスを止めると、アイシェは深く息を吸いつつ頬は真っ赤で、青い瞳が潤んでて泣きそうな顔をしていて…マホロアも頬を真っ赤に染めつつ、内心はものすごく興奮していた。
マホロア「アイシェ…。」
まだ驚きが残りつつも静かにアイシェの名前を呼ぶと…
アイシェ「私が…家出したから…あんなの見ちゃう…の…?」
マホロア「エッ…?」
アイシェ「…あんなの…見て…欲しくない……私だけ…見てて…欲し…っ…!」
マホロア「……………!!」
アイシェの青い瞳からは大粒の涙がボロボロと零れ落ちてシーツを濡らしていき、それを見たマホロアの心はぎゅっと苦しくなり…
アイシェ「…っ…うぅ……!」
ベッドから降りようとしたアイシェだが、マホロアが手首を掴んでそのまま抱き寄せた。
マホロア「アイシェ。」
アイシェ「っ……!!」
さっきまでの不機嫌な声から一転して、いつもの優しい声で自分の名前を呼ぶマホロアにアイシェは胸がぎゅっと締めつけられて…彼から離れようと必死に抵抗した
マホロア「ゴメンネ…アイシェ…。」
アイシェ「っ…や…だ…やだ…マホロア…っ…!!」
耳元で甘く優しく囁くマホロアだが、今のアイシェにはつらいだけで…彼の胸を叩いて抵抗するが、びくとせずそのまま抱きしめられていて…
マホロア「…ボクが嫌いになっチャッタ…?」
アイシェ「うっ…ひっく…ひっく…マホ…ロア…マホロア…!!」
マホロア「ボクはアイシェが大好きダヨ、マルクに誘われて見たケド…もう二度と見ないっテ約束スル。」
アイシェ「ひっく…マル…ク…?ど…ゆ…こと…?」
泣いているアイシェは混乱していて、マホロアはアイシェを落ち着かせつつ経緯を話した。
マホロア「あの映像を見テ、アイシェとの経験に生かすつもりだったんダヨ。」
アイシェ「ぐすっ…恥ず…かしい…。」
そう言って胸に顔を埋めてしまうアイシェが可愛くて、マホロアは頭を撫でた
マホロア「迎えに行かなかっタのは悪かったヨ…ケド、アイシェがボクと喧嘩した事を全然気にして無かったカラ…。」
アイシェ「そんな…私だってマホロアの事をずっと気にしてたのに…。」
マホロア「エ…だって通信機で聞いタラ、枕投げの話デ盛り上がってたヨ?」
アイシェ「その前に…マホロアとの事をお話してたの…。」
そう言うとアイシェは、お城でカービィ達に言われて自分の気持ちに気づいた事…マホロアと仲直りしたかった事を話した。
マホロア「つまりボク達、お互いに勘違いしてたんダネ…。」
アイシェ「うん…。」
マホロア「アイシェ、ゴメンネ…。」
アイシェ「私こそごめんなさい、マホロア…。」
マホロア「…ボクはアイシェの事を信じてるシ、マルクはホントに気にしてないみたいダケド…デモ…それデモ怖いんダ…失いたく無いヨォ…。」
泣きそうな表情と声でそう話すマホロアは、アイシェにそのままキスをして抱きしめた。
アイシェ「私も怖い…マホロアがいつか……また目の前で消えてしまいそうで…。」
マホロア「ボクはアイシェとずっと一緒に居る…絶対に消えたりしないヨ!」
少しだけ声を荒げたマホロアは、アイシェにいきなり深く口づけて…そのまま押し倒して何度も深く口づけていく
アイシェ「んっ…ふぅ…。」
キスを止めるとマホロアはアイシェの顔をじっと見て…
マホロア「…アイツが起きタラ、改めて話をするヨ…その時アイシェに一緒に居て欲しいヨォ…。」
切なげな表情で言うマホロアに、アイシェは静かに頷き…お互いに手をぎゅっと握りあった
アイシェ「うん、ずっとマホロアの傍に居る。」
マホロア「アリガトウ、アイシェ。」
彼女の穏やかな表情と言葉にマホロアは安心した表情になり、再びアイシェに口づけた。
To be continued…