小説「夢結ぶ星りんご」(ロボボ編)~絶望と希望~

アイシェ「この星の…資源…どういう事…?」

必死に声を絞り出したアイシェに、スージーは優しい笑みを浮かべたままで…

スージー「この星は自然豊かなエネルギーの宝庫…それを使わずに自然のままにしているなんて、もったいないですわ。」

アイシェ「でも…でもこの星はそれで生活出来てる…こんな事しなくても幸せに暮らしてるの…。」

スージー「うふふ…それをワタクシ達がもっと幸せで便利な生活にして差し上げますわ。」

そう言うとスージーは更にアイシェに近づいて来て…

アイシェ「や…やだ…来ないで…!」

怯えるアイシェは後ずさりするが、スージーはどんどん迫って来て…壁際に追いやられてしまったアイシェは大粒の涙を流しながら目をぎゅっと瞑って縮こまってしまう

すると、スージーはそっとアイシェの頭に触れて…アイシェは一瞬ビクッとした。

スージー「そんなに怯えて泣かないでアイシェ…ワタクシは貴女と仲良くなりたいのよ。」

そう言いながら頭を撫でるスージーの手つきはとても優しくて…恐る恐る顔を上げると、彼女と目が合った。

アイシェ「ひっく…仲……良く…?」

いきなり侵略され連れ去られた上、目的を語られて…それでいて自分と仲良くなりたいだなんて…アイシェは混乱して言葉が出てこない…

それを察したスージーはアイシェの涙をそっと拭い…

スージー「今すぐには無理ね、ゆっくりと考えて貰えればいいですわ。あの剣士様と約束したもの…貴女には手出しはしないし、させませんわ。」

アイシェ「(剣士様…メタさんの事…!?)」

スージー「ワタクシは一旦仕事に戻ります、今は1時ね…3時になったらまた来ますわ。それまでにはアイシェのお部屋を準備しておきますわね。」

そう言うとスージーはアイシェから離れ、部屋を出て行った。

アイシェ「ぐすっ…ひっく…メタ…さん…マホロアぁ…!」

絶望して泣いているアイシェだったが、ふと通信機チャームの事を思い出した

あの衝撃で壊れていなければ、もしかしたらマホロアと繋がるかもしれない…そう思ったアイシェは通信機チャームを開いた

どうかマホロアに届いて…泣きながらも祈る気持ちでアイシェがぎゅっと目を瞑ると…

マホロア『アイシェ!?』

通信機の向こうからマホロアの声が聞こえてきた!

アイシェ「ぐすっ…マホロア…マホロアぁ…!!」

マホロア『アイシェ、大丈夫カイ!?』

アイシェ「ひっく…うん…大…丈夫…!」

マホロア『無事でヨカッタ…!』

マルク『アイシェ!』

ひとまず安心したマホロアだったが、マルクが横から割り込んできて…

アイシェ「マルク…ぐすっ…無事だった…のね…!」

マルク『ボク達は大丈夫なのサ、それよりアイ…』

マホロア『チョット黙っテロ、馬鹿ピエロ!』

ゴンッ!

怒ったマホロアはグーでマルクの頭を叩いた!

マルク『痛てっ!』

叩かれたマルクは翼の鉤爪で叩かれた場所を摩りつつ、一旦マホロアの隣から離れた

マホロア『泣いてるねアイシェ…奴等に何かされタノ?』

アイシェ「うう…ん…酷い事はされてない…けど…夢で見た女性…に…会って話したの…。」

マホロア『名前は分かったカイ?』

アイシェ「彼女の名前は…スージー…秘書って言って…た…。」

マホロア『ハルトマンワークスカンパニーの秘書スージー…コイツカァ…。(やっぱりアノ女だったカ、髪の色が違ったカラ気づかなかったヨ…。)』

モニターで情報を入力して調べたマホロアは、彼女の顔を見てプププ王国に居た頃に見た人物だと確信した。

アイシェ「マホロア…彼女は…スージーは…」

徐々に落ち着きを取り戻して泣き止んだアイシェは、スージーとの会話をマホロアに話した。

マホロア『便利で幸せな生活ダッテ?侵略して勝手にコンナ状況にしておいテ、よく言ったモンダネェ、ソレなのにアイシェと仲良くしたいトカ、何を企んでいるんダヨ!』

アイシェ「スージーは一旦仕事に戻って、3時になったらまた来るって言ってた…それまでには私のお部屋を準備しておくとも…。」

マホロア『少なくともアイシェ自身にハ、本当に危害を加えるつもりは無さそうダナ…とはいえ油断は出来ないネ。』

アイシェ「うん…それとマホロア、メタさんが…。」

マホロア「ウン、ローアがボク達の所に来て全部教えてクレタヨ…メタナイトも一緒に連れ去られテル…。」

アイシェ「メタさん…私のせいで…!」

マホロア「アイシェは何も悪くないヨ、メタナイトは約束通りキミを護ろうとしてタ…ダカラ自分を責めないデ。」

アイシェ「マホロア……ありがとう…。」

話を共有しつつマホロアは慰めてくれて…彼の声だけでもアイシェは心が落ち着いて元気が出てくる

マホロア『どういたしましテ。』

アイシェ「私…ここで出来る限りの情報を集めてみるよ。」

マホロア『分かっタ、デモ約束してアイシェ…絶対に無理はしちゃダメダヨ。』

アイシェ「うん、約束する。」

マホロア『アイシェ、ボクが必ず助けに行くカラネ。』

アイシェ「マホロア…うん、待ってる。……足音がするから通信を終わるね。」

マホロア『分かっタ、また連絡が出来そうな時に連絡シテ。』

アイシェ「うん。」

そう言ってアイシェは通信を終わり、そっとベッドに横たわると身を小さくして目を閉じた。

通信機の向こうから聞こえたマホロアの声は相変わらず優しくて、必ず助けに行くという言葉はアイシェの心に希望を生んだ

足音はじきに小さくなり…きっとロボットが見回りをしていたのだと安心して緊張の糸が切れたせいか、アイシェはそのまま眠りについた。

一方マホロアは…

マホロア「アイシェの無事が確認出来たのト、スージーの事が分かったのは大きいネ。」

マルク「そのスージーっていう女は、お前がパラレルワールドに居た頃に見たっていう侵略者と同じなのサ?」

マホロア「髪の色や服装こそ違うケドネ…完全に一致したヨ。向こうでの名前は「アナザースージー」…何かしらの理由で闇落ちシタなれの果てダロウネ。」

マルク「なるほどな。」

マホロア「後はタランザがカービィ達と無事に合流してるとイイケド…。」

そう呟くマホロアと同じ頃、カービィとバンワドは不思議な木に追いかけられていた!

カービィ「わぁぁぁぁーーー!!」

バンワド「な、何なのあれーー!?」

進んでいたら、奥からワドルディ達が逃げて来て…何事かと思ったのも束の間、巨大な木の様な機械の様な…何とも言えない不思議な者が追いかけて来て今に至る…

口からミサイルを吐いたり、飛び上がって足代わりの4本のドリルで攻撃してきたりするのをかわして逃げつつ、合間に攻撃をしてみたが…全くビクともしない

カービィ「攻撃しても効いてなさそう…!」

バンワド「今はこのまま逃げ切ろう、カービィ!」

カービィ「分かった!」

攻撃を諦め、ひたすらに走った2人はパイプを見つけ、そこに潜り込んで逃げ切ったのだった。

To be continued…