スージー「きゃあっ!!」
悲鳴を上げた直後、リレインバーの腕が外れ落ちて…
ドカァァン!!
大きな爆発と共にリレインバーは粉々に壊れて、スージーは爆発で飛ばされて床に落ちた!
カービィ「ボク達の勝ちだよ!」
バンワド「観念して、アイシェとメタナイトを開放しろ!そしてこの星から出て行くんだ!」
2人がスージーを睨みつけると、ゆっくりと起き上がって服を叩き…
スージー「フッ…こんな事で観念しないわよ!」
さっきと口調が変わったと思ったのも束の間、スージーはリモコンでロボット兵を運んでいたプロペラ付きの機械を呼び出して、それに掴まって飛んで行ってしまった!
カービィ「待って、アイシェとメタナイトを返してよ!」
スージー「アイシェはワタクシが責任を持ってお世話しますわ、あーはっはっはっはっはっ!」
高笑いと共にスージーは飛び去ってしまい、その場にはカービィとバンワドの2人が残された…
カービィ「行っちゃった…アイシェ…!」
バンワド「大丈夫、必ずマホロア達が助け出してくれるよ。ボク達もこのドリルを壊さなきゃだから、先に進もう。」
カービィ「バンワド……うん、そうだね。」
バンワドに励まされて元気を取り戻したカービィは、彼と共に次のエリア「ギガントグラウンド」に足を踏み入れた。
バンワド「オニオンオーシャンが砂漠に…!」
カービィ「きっと海の資源を取り尽くされたんだ…でもきっとカンパニーを追い払えば元に戻るよ!」
バンワド「そうだね、その為にも急がなきゃ!」
カービィ「うん!」
綺麗な夕焼けの見えるオニオンオーシャンは、機械化の末に砂漠と工場へと変わり果てていて…アイシェとよく見ていたあの景色はどこにも無かった…
あの美しい景色をもう一度、そう思いながら2人は進み…ロボボアーマーで火を噴く鳥の様な形の機械をかわしたり、かつての旅でブルブルスターにあった様な怪しい地下遺跡の工場を進んだりしながらボスへの道を急いだ
ラボではまさかのカブーラーが「コア・カブーラー」となって行く手を阻んだが、ジェットモードのロボボアーマーで応戦して撃ち落とす事に成功した。
同じ頃…アイシェは部屋でマホロアと通信で話をしていた。
マホロア『カービィとバンワドはスージーと対峙したみたいダケド、無事に返り討ちにしたヨ。』
アイシェ「よかった、でもこの先は更に激しい罠や攻撃が…。」
マホロア『そうダネ…デモ、2人ならどんな困難モ乗り越えられるデショ?』
アイシェ「ふふっ…そうだね。」
マホロア『やっと笑ってくれたネ、アイシェ。』
アイシェ「えっ?」
マホロア『ずっと心配だったんダヨ…もちろん今ダッテ心配してるケド…。』
アイシェ「マホロア…ありがとう。もう大丈夫、マホロアが必ず来てくれるって信じてるからね。」
マホロア『アイシェ…ボクこそアリガトウダヨ、コンナに信頼してクレテるんダカラしっかり策を練らないトネ。』
アイシェ「マホロア…。」
マホロア「アイシェ…。」
2人は再び触れられないキスをして…
ピンポーン!
アイシェ「あ、スージーが来たから切るね。」
そう言ってアイシェは通信を切り…
マホロア「アイシェ…待っててネ。」
強い決意を表す様に、マホロアの黄色い瞳は輝いていて…再びハルトマンに関する記述に目を通し始めた。
アイシェ「どうぞ。」
スージー「お待たせ、アイシェ…。」
返事をすると、扉が開いてスージーが入って来たが…どことなく元気が無い
アイシェ「スージー…どうかしたの?」
彼女の様子が心配なアイシェが声をかけると、少し驚いた表情をした。
スージー「ワタクシを心配して下さるの…?」
アイシェ「うん…だってつらそうだもの。」
そう言うとアイシェは近づいて、スージーの背中に手を伸ばすと…そっと触れた。
スージー「アイシェ…!」
アイシェ「こうするとね、気持ちが落ち着くんだよ。」
優しい手つきで背中を撫でてくれるアイシェに、スージーの体は震え出して…
スージー「…こんな風に人の温もりを感じたの…久しぶりだわ……っ……!」
ポタッ…ポタッ…
俯いたスージーの水色の瞳からは涙が零れ落ちて、床を濡らしていく…
アイシェ「落ち着くまでこうしてるね。」
スージー「っ…あり…がとう…ありがとう…アイシェ…!」
カービィに負けた悔しさも、社長に怒られた事もアイシェの手の温もりと優しさが癒してくれて…スージーは両手で顔を覆ってしばらく泣いていて…漸く泣き止むと、アイシェの頭を優しく撫でた。
アイシェ「落ち着いた?」
スージー「えぇ、ありがとうアイシェ。……ワタクシ、アイシェの事をもっと知りたいですわ。」
アイシェ「私の事を…?」
ピリリリリ…
スージー「…タイミングが悪いですわね、またすぐ戻って来ますわ…そしたら貴女の事を教えて、アイシェ。」
そう言うとスージーは部屋を出て行き…
アイシェ「スージー…。」
彼女の瞳を見て、アイシェは確信した
スージーもフロラルドの時のタランザと同じ…何か深く苦しい事情を抱えているのだと…。
一方のカービィ達はボスの場所へ辿り着き、内部に侵入して奥へと進むと…
スージー「お~お~偉大なハールトマン~永遠にー果てなくー栄えよ~!」
カービィ「スージー!」
背を向けてノリノリで歌っていたスージーを見つけたカービィ達に気づいたスージーは振り返り…
スージー「おっと、大変失礼致しました。我らがカンパニーの素晴らしい社歌「銀河に名立たるハルトマン」ついつい口ずさんでしまいましたわ。」
カービィ「社歌…!(アイシェが言ってた歌ってこの事だったんだ!)」
スージー「さて、またお会いしましたわね。うふふっ…あの剣士様は本当に素敵な方ですわね!」
バンワド「メタナイトに何をした!?」
スージー「せっかくお会いできたのですから、ちょっぴり全身改造して…我が社のセキュリティマシンとさせて頂きました。」
すると奥から姿を現したのは、紺色の小さなロボット…
カービィ「ま…まさか…!」
驚く2人に、スージーは不敵な笑みを浮かべて…
スージー「お気に召して頂けるかしら?プロダクトNo.M-7110「メタナイトボーグ」よ。」
バンワド「そんな…メタナイト!」
カービィ「メタナイト、ボクだよ!」
メタナイト「……………。」
呼びかけるものの、メタナイトが返事をする事は無く…
スージー「お行きなさい!」
そう言い残して、スージーは再び去り…カービィはメタナイトボーグと対峙した!
カービィ「メタナイト、しっかりして!」
バンワド「ボク達が分からないの、メタナイト!?」
メタナイト「……………。」
何度呼びかけてもメタナイトが反応する事は無く、無慈悲に襲いかかって来る…
肩に取り付けられた砲台からミサイルを飛ばし、手に持った宝剣ギャラクシアで激しい攻撃を繰り出すメタナイトに、カービィは中々隙を見い出せない…
同じ頃、スージーはアイシェの元に戻っていた。
スージー「さっきはごめんなさい…本当にありがとう、アイシェ。」
アイシェ「どういたしまして。」
スージー「…改めて、貴女の事を教えて…アイシェ。」
アイシェ「とは言っても、私のどんな事を教えれば…。」
スージー「そうね…まずは、貴女のそのリボンの事が知りたいわ。」
アイシェ「え、このリボン…?」
スージー「ワタクシのこの髪飾り、大切な宝物なの…もしかしたら貴女もそうなのかしら?」
アイシェ「…うん、とても大切な宝物だよ。」
スージー「ふふっ、あの剣士様から頂いたの?」
優しい笑みを浮かべながら聞くスージーだったが、アイシェは首を横に振り…
アイシェ「その…恋人から…プレゼントされた物で…。」
そう言って頬を真っ赤に染めて俯いてしまったアイシェに、スージーは驚いて水色の瞳を小さくした。
To be continued…