小説「Amore eterno」~帰還!ミラージュアイランド~

故郷ミラージュアイランドへ向けて出航したミーティア号。

急成長したロゼに喜ぶ一方で、呪いに1人耐え苦しむスマラをガーリルは優しく包み込み、もっと頼れと論す。ガーリルの優しさに触れ、安心したスマラは涙を流し、互いの絆を深めたのだった。

~帰還!ミラージュアイランド~

スノウ「ミラージュアイランドが見えてきたな。」

ガーリル「65年振りの故郷…皆この愚かな王を迎えてくれるだろうか…?」

スノウ「大丈夫だガーリル、民にとっての王はお前だけなんだから…な?」

ガーリル「…ありがとうスノウ。」

ブルース「もうすぐ着くぞ…とは言っても今夜だけどな。」

ガーリル「それじゃ今夜一晩だけ船で泊まって明日降りる様になるな。」

ミラージュアイランドを見つめる彼らの瞳は、故郷に帰ってきた喜びと懐かしさで輝いていた。

一方、アクアの部屋にはスマラ、アルマ、ペルラが遊びに来ていた。

そーっとロゼに手を近づけるペルラだが…。

ロゼ「シャーッ!!」

ペルラ「ひぃっ!」

アクア「ロゼ!みんな恐くないのよ、あなたと仲良くなろうと思ってくれてるのに…。」

アルマ「相変わらず俺達には全く懐かないな…。」

スマラ「大丈夫だよ、お前を可愛いって思ってるんだから。」

ロゼ「グルル…。」

スマラが優しく声をかけるが、ロゼは唸り声を上げるばかり…

アルマ「そう言えば…頭の蕾が開いてきたな。」

アクア「とても綺麗よ、ロゼ。きっと美しい薔薇が咲くわ。」

ロゼ「クゥ。」

皆で楽しく会話をしていたその時、ドアを叩く音がした。

アクア「どうぞ。」

ガーラス「失礼します。」

アクア「ガーラス…どうなさったの?」

ガーラス「誠に勝手ながら、アクア様と少しお話をしたいと思いまして。今大丈夫でしょうか?」

アクア「ええ、大丈夫よ。ごめんねみんな、ロゼをお願い。」

そう言い残してアクアはガーラスと一緒に部屋を出て行ってしまった。

スマラ「あいつ一体何を…?」

アルマ「大丈夫、あの人に限って変な事はしないさ。」

スマラ「どういう事だアルマ、ガーラスと親しいのか?」

ペルラ「親しいも何も…あの人は、アルマと俺の剣術の師だ。」

スマラ「えっ!?知らなかったよ…。」

アルマ「王宮騎士になる為に、ペルラと俺は剣術を身につけようと必死に訓練したが…師もいない俺達に剣を扱えるはずも無くてな…。」

ペルラ「悔しい思いをしていたその時に、俺達の目の前に現れたのがガーラス様だ。彼は俺達に剣の扱い方を基礎から教えてくれた。そして、どんなに忙しい時も時間を見付けては俺達に稽古をつけてくれた。あらゆる方向から太刀打ち出来る様に、そして…主君を護れる様に…と。」

スマラ「そうだったのか…2人にとって、大事な人なんだな。ところで…。」

ペルラ「何だ?」

スマラ「話ぶった切って悪いが…アクアに頼まれたこいつをどうする?」

3人ともロゼの方を見て、何とも不機嫌そうな彼女の様子にゾクリ…と悪寒が走るのだった。

一方、甲板に連れられたアクアは…

ガーラス「申し訳ありません、急に連れ出してしまって。」

アクア「いいえ、大丈夫。それで…話って?」

すると、突然ガーラスはアクアの前にひざまずいた。

ガーラス「あまり話す機会が無かった故…遅くなってしまいましたが、今までの数々のご無礼、本当に申し訳ありませんでした…!」

アクア「そんな…お願いだから顔を上げて。私はもう怒ってないし、理由が分かったのだから責める理由など…!」

ガーラス「許して…頂けるのですか?」

アクア「勿論です。だって…私達は仲間…家族なのよ、ね?」

ガーラス「アクア様…心より、感謝致します…!」

その後も2人で話していたが…しばらくして話はガーリルの事に変わった。

アクア「ガーリルは…今までとても辛い思いを抱えてたのね…。」

ガーラス「ガルーダ様とエメラ様を失った時、ガーリル様はまだ幼く、私が親代わりになり育てました。いいつけを破り…封印の場に行ってしまったから…自分のせいだととても責めておられました…。そして毎晩の様にうなされ泣き崩れるガーリル様を見て、私自身もとても辛かったのを記憶してます。それから私は自分に出来る事全てを捧げてきたつもりです。あの方の成長、幸せが私の喜び、生き甲斐でしたから。」

アクア「とても強い絆で結ばれているのね…ガーリルとあなたは。」

ガーラス「ガーリル様は、普段はあまり口に出しませんが…とても優しいお方です。そして…アクア様の事をとても深く想っています。私が羨ましくなってしまう位に。」

そう言うとガーラスは、アクアに一礼して船の中へ戻って行き、残されたアクアはその場でしばらく1人考えるのだった…。

その後…部屋に戻ったアクアを待ち受けていたのは、不機嫌そうにスマラ達を睨むロゼと怯えているスマラ達であった…。

そして…待ちに待った夜が来た。

ブルース「到着したぞ、ミラージュアイランドに!」

マリン「遂に帰ってきたのね…みんなで一緒に!」

スノウ「今日はもう休んで、明日迎えに来させよう。」

そう言うと皆は休む為に各自部屋へ戻ったが…

スマラ「アクア、ちょっといいか?」

アクア「…うん。」

皆が部屋に戻り、甲板にはスマラとアクアの2人きり。

スマラ「ずっと悩んでたんだ…でも、ちゃんと今伝えたいと思って。…聞いてくれるか、アクア?」

アクア「はい。」

スマラ「アクア…俺…。」

言葉に詰まったスマラだったが、深く深呼吸すると、再び話し出すのだった…。

~To be continued…~