小説「夢結ぶ星りんご」(ロボボ編)~データは奇跡に敵わない~

星の夢はカービィ達をギョロリと見つめ、攻撃をしてきた!

様々なパターンで攻撃してくる「メガビット・ショット」や2本のロケットを放つ「ギガバイト・ロケット」、ハートの形をしたレーザー装置「テラバイト・ハート」等の猛攻に紛れて星の夢自身が襲いかかってくるのをかわしつつ、飛ばしてくる装置を壊してキャプチャーしながらエネルギーを溜めて、強力な「プラネットバスター」で反撃していく

ある程度ダメージを与えると、ハート型のバリアを張りながら巨大なICキューブが3つ迫って来て…

メタナイト「そのキューブも攻撃してキャプチャー出来るはずだ!」

カービィ「分かった!」

攻撃を当て続けると、メタナイトの言う通り壊れてキャプチャー出来たのでプラネットバスターで迎え撃ちながらハート型のバリアも壊していった。

一方…ローアに到着したマホロア達は、モニターに映し出されたカービィ達の戦いを見守っていた。

マホロア「カービィが押してるケド、攻撃が激しいネ…!」

アイシェ「(カービィ…!)」

ぎゅっと手を握って祈るアイシェを、マホロアは優しく抱き寄せて…

マホロア「大丈夫ダヨ、必ずカービィが倒してくれるカラ。」

アイシェ「マホロア……うん、そうだよね。」

マホロア「サテ…キミにはマダ聞きたい事があるんダヨネェ。」

スージー「…後は何を知りたいのよ?」

強力な魔法陣でスージーを拘束しながら、マホロアは彼女の前に来て…

マホロア「星の夢とホログラフ防衛システムズが生み出しタ、ホログラムのボス達…データはドコで入手したんダイ?」

スージー「…あれは…星の夢は父が何処かの惑星から入手したんだと思うわ……ホログラフ防衛システムズのデータは…アタシが色んな世界と通じた時にデータを入手した物よ。」

マホロア「なるほどネ、ソレでスフィアローパーのデータもあったのカ…。」

スージー「他にも天空の守り神として崇められていた石像や、太鼓の昔から生きるドラゴン…雲のモンスターのデータも入手したわ。」

タランザ「天空の……そう言えばキミはワールドツリーの花からもデータを採っていたの、あれもまさか…!?」

スージー「星の夢が解析した結果、1000年にも及ぶ様々な生物のデータが含まれていて謎が絶えなかった…けど蜂の様な不思議な姿の剣士が生まれたと聞いてるわ。」

タランザ「(あの人が……あの姿なのか……。)」

アイシェ「タランザ…!」

悲しげに白い瞳を伏せたタランザに、アイシェがそっと寄り添って手を握った

タランザ「…ありがとう、アイシェ……クローンであって彼女自身では無いのね、だから大丈夫。」

そう言って頭を優しく撫でて抱きしめたタランザに、アイシェも安心して抱き返した。

スージー「他にも…正体不明のとても強い力を持ったデータもあると聞いていたわ、けど解析不足だったから再現までは出来なさそうだったけどね。」

アイシェ「強い力?」

スージー「アタシも少し聞いた程度だから詳しくは知らないけど、闇の様な属性…不気味な赤い1つ目の生物…という事までは分かっていたみたいよ。」

アイシェ「それは…まさか……!」

マホロア「…アイシェ、知ってるんダネ?」

アイシェ「うん…。」

彼女の脳裏に浮かんだ者…それは「ダークマター」

かつて虹の島々から虹を奪い封印し、デデデ大王に憑依したが…カービィが仲間達と集めた「虹の雫」によって生み出された「虹の剣」で彼と激闘を繰り広げた末に倒された闇の一族の者…

一体どこからそんなデータを…青い瞳を伏せて自身の体をぎゅっと抱きしめるアイシェを、マホロアが近づいて力強く抱き寄せた。

マホロア「無理に話さなくてイイヨ、ボクが付いてるカラネ。」

アイシェ「うん…ありがとうマホロア…。」

ぎゅっと抱きしめながら胸に顔を埋めるアイシェに、マホロアもしっかりと抱きしめながらマントで彼女の体を包み込んだ。

スージー「アイシェ…貴女は一体何者なの…?」

アイシェ「スージー…。」

マホロア「キミがソコまで知る権利は無いヨ。」

そう言ってマホロアはアイシェを庇ったが、スージーは更に食い下がり…

スージー「…アタシは貴女を攫った時、気を失っている間にデータを採らせて貰ったの。」

アイシェ「えっ…!?」

驚きでアイシェの青い瞳は見開かれ、すかさずマホロアもタランザも魔法陣を出す態勢に入る。

そして傍でスージーを見張っていたマルクも…

マルク「…そのデータで何をするつもりだったのサ?まぁ、聞く前に今すぐここで八つ裂きにしてもいいけどな。」

鉤爪をゴキッと鳴らして、鋭く変化した紫の瞳を向けるマルクだが…

スージー「クローンを作ろうとか、そういう意図は一切無いわ…ただ、アイシェは今まで見てきたどの種族にも当て嵌まらない…だから不思議だったのよ。」

アイシェ「私が…当て嵌まらない…?」

スージー「…種族で言えば妖精族に近いみたいだけれど、羽も無ければ戦う力も魔力も持たない…それに貴女からはあらゆる惑星全てのデータを照らし合わせても何も得られなかった…一致する物が無かったの。」

アイシェ「もしかしてそれは……私が…。」

マホロア「アイシェ…!」

スージー「思い当たる事があるのなら教えてアイシェ…アタシは貴女の事を聞いても、誰にも口外しない…データに使用しないと約束するわ。」

マホロア「ソンナの信用出来ないヨ。」

スージー「本当よ、アイシェはアタシの…たった1人の友達ですもの。」

そう話す彼女の瞳は真剣で、嘘を吐いている様子では無くて…それを見たアイシェはゆっくりと口を開いた。

アイシェ「…マホロア、私の事…スージーに話すよ。」

マホロア「アイシェ、デモ……!」

アイシェ「大丈夫、スージーは嘘を吐いてない…何故かそう感じるの。」

マホロア「…分かっタ。ケド、もし約束を破った時は分かってるヨネ?」

そう言ってマホロアは手からレボリューションフレイムを出したが…スージーは真剣な表情のまま頷き、2人のやり取りを見届けたアイシェは自分の「生前の記憶」をスージーに話した。

アイシェ「これが私の記憶…そして正体不明のとても強い力は、闇の一族「ダークマター」の事だと思う。」

スージー「アイシェ…貴女は何て奇跡を超えて……今回の事も予知夢である程度は察知して、その強いデータの正体まで…!」

アイシェ「…もしかしたら私は、この世界の者では無いのかもしれない…でも…それでもここが今の私が生きてる世界なの。」

マホロア「アイシェはココの世界の住民ダヨ、ゲームでは無い本物のボク達に出会っテ…今こうして傍に居るんダカラ。」

そう話すマホロアは真剣な表情で、マルクとタランザも優しい笑みを浮かべてアイシェを見ている

それだけでもアイシェの心は穏やかになり、自然と笑みも零れて…

アイシェ「ありがとう。」

スージー「(アイシェ、貴女は何て強い心の持ち主なの…でもそんな貴女だから、アタシの心も動かしてくれたのね。)」

彼女の様子を見ていたスージーは、その勇気と決意に胸を打たれた。

マホロア「…モウ拘束の必要は無さそうダネ。」

そう言って、マホロアはスージーの体を拘束していた魔法陣を消した

スージー「…ありがとう。」

マホロア「勘違いしないデ欲しいネ、ボクはアイシェの為にやったダケダヨ。」

スージー「(全く…素直じゃ無いわね。)」

フンと鼻を鳴らすマホロアに、スージーは内心溜息を吐きつつも感謝していた。

To be continued…