小説「夢結ぶ星りんご」(ロボボ編)~父の意志を継いで~

マホロアがローアのパネルを操作してカービィを捜すと、星の夢の中の光景が映し出された

マホロア「コレは星の夢のコア…ボクらデ言う所ノ心臓部分ダ。」

アイシェ「コア…カービィがノヴァの内部に入り込んだ時に戦っていた場所と同じだね。」

マルク「こんな所まで再現してたとはな。」

カービィ「うっ……ここは…?」

ゆっくりと起き上がると、目の前には黒い物に包まれた、ハートの様な形の物がピンクや紫に禍々しく光りながら脈打つ様に動き出して…周りには3本の柱の様な物が現れた。

タランザ「コアが蠢いている…まさか、自我を持っているのね?」

スージー「(まさか…コアはあの人なの…?)」

マホロア達が見守る中、カービィは柱を破壊していくと…

ハルトマン「うあぁぁぁぁー!!」

爆発と共に、微かにハルトマンの叫び声が聞こえて来る!

スージー「やっぱり…あのコアが父なのね!」

アイシェ「えっ…!?」

スージー「柱はきっと父のメモリーで、壊す事で完全に消去されているんだわ…。」

アイシェ「そんな…!」

スージー「………覚悟は出来てるわ、このまま壊して。」

アイシェ「スージー!」

スージー「このままでは父も苦しむだけよ、それにこの星も壊れてしまう…そんなのは嫌だもの!」

全ての覚悟を決めたスージーはそう言ってモニターを眺めたが…

カービィ「ハルトマンなの?ねぇ…こんなのやめようよ!」

ハルトマン「……が……」

カービィ「えっ…?」

ハルトマン「誰が…何の為に作ったのか分からない…そんな物をワタシは何故…起動させてしまったのか…。」

カービィ「ハルトマン…!?」

ハルトマン「…そうだ…叶えたい夢があったはずだ………あぁ、だがマシンが夢など叶えてくれないというのは…もう…分かっていた…はずなのに……。」

スージー「っ………パパ……!!」

ハルトマン「…ワタシを…これを壊してくれ……そして…この…苦しみから…解放…して…おくれ……。」

それは僅かに残ったハルトマンの意思から微かに思い出された記憶で、彼の意志を受け取ったカービィはキリッとした表情になり…

カービィ「…分かった!」

彼の願い通り、カービィは迷わずに柱を壊していった

ハルトマンの叫びが微かに響く中、柱は4本、6本と壊す度に増えていき…柱同士が移動してぶつかり合ったりしながらカービィに襲いかかって来る!

全ての柱を壊すと、中央のコア部分の足場の柱らしき物がパタパタと倒れてコアが脈打ち、左右から激しいレーザービームを放つ!

すると最初に撃った場所から徐々に激しいレーザーの柱が下から上に突き上がり、それらをかわすと今度はコアが瞬間移動して両端にマホロアの魔力球の様な物体が現れて、かつてギャラクティック・ノヴァの核で戦った爆発する戦車型の敵を飛ばして来た。

かわしながら攻撃を続けていくと、今度は高速で瞬間移動しながらグルグルと回り…マルクが使う技と似た攻撃をしてくる

マルク「(ノヴァの力を吸収して、ソウル化した時のボクみたいな攻撃まで…!)」

かつての自分を見ている様で複雑な心境のマルクだったが、それでも目の前で戦うカービィから目を離す事は無かった。

カービィがコアへの攻撃を続けていくと、今度は突然赤と青の2つに割れて左右からカービィを挟む様に勢いよく迫って来て…ホバリングでかわすと合体し、広範囲に激しい爆発を起こす

激しい攻撃が続く中、カービィが反撃をしていくとコアは中央に戻り…

ドクン…ドクン…

大きく脈打ち始め、熱を帯びた様にどんどん赤く光っていき…

ギュウゥゥゥン!!

上、真ん中、下と激しい衝撃派を飛ばしてくる!

それらをギリギリでかわすと…最後は上下同時に飛ばして来て…

アイシェ「カービィ…!」

祈る気持ちで見守る中…カービィが最後の攻撃もかわした!

するとコアは脈打ちながら収縮して…

バアァァァンッ!!

コアを囲んでいた物がバラバラに砕け散り、コア自身も爆発と共に亀裂が入ってハルトマンの叫びと共にボロボロと崩れていく…

ハートの形をしたピンク色の中は青く…まるでハルトマンの涙の様で…

ハルトマン「ス……ザ…………」

最後に微かに聞こえた娘を呼ぶ声と共に、星の夢はまるでギャラクティック・ノヴァが滅びた時と同じ様に爆発しながら完全に滅びた。

星の夢の欠片が浮かぶ中、気を失っているカービィにバチバチと電気を放つ壊れかけのロボボアーマーが近寄り…そっとカービィを掴んでポップスターへ向かって放った

カービィは気を失ったまま帰って行き、それを見届けたロボボアーマーの目からはオイルが流れ…まるでカービィとの別れを惜しむ涙の様だった。

そしてカービィの死闘を見届けたマホロア達は…

マホロア「ヤッタネ、カービィ。」

タランザ「流石は勇者様なのね。」

マルク「ま、アイツなら大丈夫だと思ったけどな。」

スージー「パパ…。」

アイシェ「スージー…!」

スージー「アタシは大丈夫…でも、今はもう少し貴女に甘えさせて…。」

そう言うとスージーはをぎゅっと抱きしめて泣き出し…アイシェは何も言わずに彼女を抱きしめて背中を撫でた。

激しい戦いを終えて朝を迎えたポップスターに刺さっていたドリルは消えて星を囲う光が戻り…機械化された場所も次々と光と共に元通りの緑が広がり、完全に砂漠と工場化していたオレンジオーシャンも元の美しい海を取り戻した。

そして落ちてきたカービィをそっと受け止めたのは…

メタナイト「よく頑張ったな、カービィ。」

眠るカービィをそっと花畑に寝かせてメタナイトが飛び立つと、蝶が頭に止まってゆっくりと目を覚ました。

カービィ「んっ……ここは…?……わぁっ…!」

彼の目の前に広がるのは、いつもの緑豊かな光景で…自然と笑顔になる

そして気を失っていたデデデ達も…

デデデ「んっ……痛て…すっかり眠りこけちまったな……けど、この光景が戻ってるって事はカービィ達が頑張ったな。」

そう言いながら他のワドルディ達と日差しを浴びながら伸びをして…

スージーが泣き止んで落ち着いた頃、ソファで眠っていたバンワドも目を覚ました

バンワド「んっ…。」

アイシェ「バンワドくん。」

バンワド「アイシェ……カービィは…?」

アイシェ「もう大丈夫、全部元通りになったよ。」

バンワド「よかった…。」

2人は優しく笑い合い、取り戻した平和を喜び合った。

そよ風がカービィを優しく撫でた直後、大きな影がかかり…見上げると戦艦ハルバードの姿が!

甲板にはメタナイトの姿があり、空を飛んで戻って行く

カービィ「ありがとう、メタナイトーー!!」

笑顔で叫びながらお礼を言って手を振り、カービィはみんなの元へ走って行った。

デデデ達と再会し、ローアでマホロア達に出迎えられて喜びを分かち合い…

昼間…

アイシェ「もう行っちゃうの?」

スージー「えぇ、あの人のカンパニーを再建させないと。」

マホロア「ハァ…まだ懲りて無いノォ?」

スージー「違うわよ、もうあんな事はしないわ。今度は家族団らんの幸せな暮らしをご提供するの。」

タランザ「うん、それがいいのね。」

マルク「ま、せいぜい頑張ってちょーよ。」

カービィ「デデデ達は怪我してるから仕方ないけど、メタナイトは誘ったのにハルバードの方で忙しいって断られちゃった…。」

スージー「あの方にはご迷惑をかけたわ…だから逆に来て頂かなくていいのよ。」

カービィ「ん、そっか…。」

アイシェ「スージー、またここにも遊びに来てくれる?」

スージー「えぇ、約束するわ。今度来た時は…アタシと一緒にアイスクリームを食べてたくさんお話しましょうね、アイシェ。」

アイシェ「ふふっ…うん!」

約束を交わした2人はとても嬉しそうに笑い合う

カービィ「スージー、これを。」

そう言うとカービィは壊れた懐中時計をスージーに渡した。

スージー「これは父の…!」

カービィ「目が覚めたら、ボクの手にあったんだ…きっとハルトマンがキミに残したんだと思う。」

スージー「パパ………ありがとう星のカービィ、今度こそ行くわ。」

星の夢が滅びた事で、心を持たない悪の機械は全て消滅した…しかしリレインバーだけは何故か消えなかった。

彼女は再びアイシェと抱き合うと、リレインバーに乗り込み浮き上がり…

アイシェ「またね、スージー!」

みんなが手を振ったり見送る中、スージーはどんどん高度を上げていく

スージー「またね、アイシェ…星のカービィ………あとオマケの人達!」

マホロア「オイ、どういう意味ダヨ!」

マルク「やっぱりアイツは消しておくべきなのサ!」

タランザ「失礼過ぎなのね!」

怒るマホロア達だったが、スージーはそのまま宇宙へ飛び立って行った。

マホロア「全ク、せっかくの別れが台無しダヨォ…。」

ブツブツと文句を言うマホロアだったが、アイシェはふふっと笑って彼の手を取り…

アイシェ「帰ろう、マホロア。」

マホロア「アイシェ…ウン。」

彼女の優しい笑みに癒されたマホロアも優しく笑い、2人で手を繋ぎながらカービィ達と共に帰って行き…

平和が戻ったプププランドは、再び穏やかな時間を刻み始めた。

To be continued…