小説「夢結ぶ星りんご」~夏の思い出を新たに刻む~

2人が向かうと、カービィとバンワドが気づいて手を振ってきた。

カービィ「アイシェー、マホロアー!」

アイシェ「お待たせー!」

バンワド「みんなでフロートに乗ろうよー!」

タランザはマルクの水遊びに付き合っていたが、彼の底無しの体力に力尽きて砂浜で倒れていて…

マルク「行くのサ!」

彼の用意した大きな星型のフロートにカービィ、バンワド、アイシェとマホロアが乗ると、紐を掴んだマルクが勢いよく海面を飛び…

ザバアァァァァーーーーー!!

大きな水しぶきをあげながら、フロートはマルクに引かれて高速で泳いでいる。

カービィ「わぁぁぁぁーーー!」

バンワド「ちょっ…マルク…!」

アイシェ「マホロア…!」

ぎゅっ…アイシェは目をぎゅっと瞑ってマホロアに抱きつき、その柔らかい胸の膨らみが体に密着してむにゅっと形を変える

マホロア「(アァァ…また欲情しちゃいソォ…!)大丈夫ダヨォ~ボクが付いてるカラネッ!マルク、もう少しスピードを落としテヨ!」

マルク「ん、何か言ったのサ?」

そう言ってマルクが急停止したものだから…

フロートはそのまま勢いよくひっくり返って宙を舞い…

カービィ「うわあぁぁぁぁーーー!!」

バンワド「ま、マルクーーー!!」

アイシェ「きゃあぁぁぁーーー!!」

マホロア「何で急に止まるんダヨォォォーーー!!」

ザッバーーーン!!

カービィ達は叫びながら、そのまま海に投げ出された。

マルク「ギャーハッハッハ!何やってるのサ!!」

唯一無事なマルクは浮いたまま腹を抱えて笑っているが、ゴボゴボと海の中から泡が出てきて…

カービィ「ぶはぁっ!ちょっとマルクーー!」

バンワド「はぁ…はぁ…よかった…生きてる…!」

アイシェ「ごほっ…ごほっ!マルク、急に止まらないでよぉ…!」

咽せているアイシェがそう言うも、マルクはニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべていて…

マルク「ボクは何か言われたから止まったのサ、だからボクの意志じゃないのサ。」

アイシェ「もーまたそんな事言って…。」

屁理屈を言って笑うマルクにアイシェが困っていると…

ザバアァァ…びしょ濡れのマホロアが姿を現したが、俯いてプルプルしていて…

マホロア「コンノ……ッ……馬鹿ピエロガアァァァァッ!!」

辺り一体にマホロアの怒号が響いた…

マルク「キシシ、何キレてるのサ?」

マホロア「言わなくテモ分かってんダロ!!」

マホロアが怒っている理由を知らないはずが無いのに、マルクはわざと意地悪な笑みを浮かべたまま煽り…マホロアは目をつり上げて、湯気を出しながらカンカンに怒っている。

マルク「だからボクは「何か言ったのサ?」って聞いただろ?」

マホロア「テメー、ホントは聞こえてたダロ!?」

マルク「何も聞こえてないのサ、お前がずぶ濡れなのはイイ気味だと思ってるけどな。」

マホロア「モウ今日という今日ハ許サネー、このクソピエロ!!」

ビキビキしながら怒るマホロアに対し、マルクは相変わらずニヤニヤしていて…

マルク「なら仕返しをしてみればいいのサ!」

そう言って突然アイシェの元に降りて、そのまま彼女を抱き上げた!

アイシェ「きゃあっ…マルク!?」

マホロア「チョッ…何してんダヨ!!」

マルク「ホラホラ、鬼さんこっちなのサー!」

完全にマホロアを揶揄っているマルクは、アイシェを抱き抱えたまま海の上を逃げ出して…

マホロア「アイシェを離せヨ、クソ道化師!」

マルク「返して欲しかったら、ボクを捕まえるのサー!」

アイシェ「もう、いつから鬼ごっこになったの?」

マルク「今からなのサ。」

怒ったマホロアはマルクを追いかけて、2人で上空をビュンビュン飛んでいる…

一方、元に戻したフロートに乗ってそれを見ているカービィとバンワドは…

バンワド「もう…2人共相変わらずだね。」

カービィ「でも、マホロア楽しそう。」

怒っているマホロアだが、どこか楽しそうにしていると感じたカービィは止める事はせず、そのまま行く末を眺めていた。

しばらく追いかけっこをしていたマホロアとマルクだが…

マルクに追いついて手を伸ばしたマホロアがアイシェの手を握り、そのままマルクの翼を掴んだ

マルク「わっ、止めるのサ!」

マホロア「早くアイシェを離せヨォ!」

2人が揉み合ってる間にマルクの翼が開いてしまい…

アイシェ「きゃあっ!」

マホロア「オット!」

アイシェと手を繋いでいたマホロアによってそのまま抱き寄せられた。

アイシェ「ありがとう、マホロア。」

マホロア「どういたしましテ。サテ…マルク、テメー覚悟しろヨォ!!」

マルク「おっほっほっほ、ボクは簡単にはやられないのサ!」

今度はマホロアがアイシェを抱き抱えながら、マルクを魔力球で攻撃し始めた!

アイシェ「マホロア、やめて…!」

マホロア「この馬鹿ピエロは、1回コラしめてやらないとダメダヨ!」

マルク「キシシ、やってみればいいのサ~イカサマタマゴ!」

アイシェ「マルクもやめて…!」

相変わらず挑発してくるマルクにビキビキするマホロア…アイシェが止めようとしているが、2人はしばらく上空で攻撃し合っていて…

カービィ「ちょっと2人共、アイシェが危ないよ!」

バンワド「喧嘩しないでよー!」

タランザ「んっ…何の騒ぎなの………ってアイシェ!?この馬鹿2人、いい加減にするのねっ!!」

復活したタランザが2人の様子を見て驚き、急いで飛んで来てスーパータランザボウルで制裁を加え…

マルク「ぐはっ!」

マホロア「グホォッ!」

ボチャン!!

アイシェ「きゃあぁっ!」

タランザ「アイシェ、大丈夫なのね?」

アイシェ「タランザ、ありがとう…!」

2人はそのまま海に落ち、一緒に落ちたアイシェは海に落ちる寸前にタランザによって救出されたのだった。

その後タランザに叱られて反省した2人は、落ち着いた所でみんなでお昼ごはんを食べ、再び遊んだ後にみんなで仲良くお昼寝して…起きてからはスイカ割りをした。

カービィ「美味しいね、アイシェ!」

アイシェ「うん!」

みんなで仲良くスイカを食べていたが…

マルク「知ってるのサ?種をちゃんと吐き出さないと、お腹から芽が出るのサ。こうニョキニョキってな…そして最後にはスイカが出来るらしいぜ。」

アイシェ「えぇっ、そうなの!?」

バンワド「えーーどうしよう!」

カービィ「ボク丸呑みしちゃう時あるのにー!?」

マルク「嘘なのサ。」

アイシェ「えぇーーもうっ、マルクの嘘吐き!」

バンワド「びっくりしたー!」

カービィ「嘘でよかったー!」

マルク「キシシ、いい反応なのサ!」

安心するカービィ達に、マルクはイタズラが成功したと満足気に笑い、それを無言でスイカを食べながら見ていたタランザとマホロアは…

タランザ「…カービィ達ならともかく、まさかアイシェも信じるとは意外だったのね。」

マホロア「アイシェ、時々チョット天然というカ…マァ、ソコも可愛いカラ大好きダケドネェ。」

ボソッと小声で話していたが、どことなく微笑ましい光景に2人の口元は優しい笑みを浮かべていた。

こうして…充実した時間を過ごして日が暮れ始めた頃、カービィ達と別れ…

マホロア「アイシェ、アノ場所へ行こうカ。」

アイシェ「うん。」

抱き抱えられながら彼と共に1年前のあの場所へ向かい、ゆっくりと降り立つと2人でヤシの木の前に座り、寄り添いながら波の音を聞いて夕陽を眺め…お互いに手を握った。

マホロア「綺麗ダネ。」

アイシェ「うん。」

マホロア「ボク…アイシェが好きだっテ自覚したノ、ココで遊んだ時なんダヨ。」

アイシェ「え、そうなの?」

マホロア「ウン、手袋ダケが無事だって2人デ笑い合ったデショ?アノ時に気づいたんダ。」

アイシェ「そうだったのね。ふふっ、嬉しい。」

マホロア「アイシェは、いつボクが好きっテ気づいたノ?」

アイシェ「私はホワイトウェハースでかまくらを作って、眠る前にマホロアに抱きしめられてた時だよ。」

マホロア「エッ、アノ時だったノ?」

アイシェ「うん。マルクに告白された時に…マホロアの姿が強く浮かんで…あの時はどうしてか分からなかったけど、後でその理由も「マホロアが好きだから」って気づいたの。」

マホロア「フフッ…ソンナ早い内カラ、既に両思いだったんダネ。」

アイシェ「ふふっ、そうだね。」

マホロア「ホントはネ…一目惚れだったんダヨ。」

アイシェ「えっ…初対面の時?」

マホロア「ウン、気づいたノハ海デ遊んだ時ダケド、アイシェを一目見た瞬間カラ惹かれていたんダ。ボク達、最初カラ結ばれる運命だったんダネ。」

アイシェ「嬉しい…すごく嬉しい。」

そう言ってアイシェはマホロアに抱きついて胸に顔を埋め、マホロアも優しい笑みを浮かべながらアイシェを抱きしめた。

しばらく眺めていると、突然アイシェが立ち上がって海の方へ行き…

パシャッ!砂浜の方へ海水を掛けた。

マホロア「アイシェ?」

何をしているのか?マホロアが目をパチパチさせていると…

アイシェ「1年前の続き!」

そんな事を言って無邪気に笑うアイシェが可愛くて、マホロアの頬も自然と緩む

マホロア「アハハッ…行くヨッ!」

アイシェ「きゃっ…ふふっ、お返し!」

手で掬ってアイシェにかけると、嬉しそうに笑いながら反撃してきて…じきに追いかけっこになり、追うマホロアにアイシェが水を掛けながら逃げる

そして最後は、マホロアがアイシェの手首を掴んで抱き寄せた。

マホロア「捕まえタヨォ~アイシェ。」

アイシェ「ふふっ、捕まっちゃった。」

2人はそのまま倒れ込み、態勢的にはマホロアがアイシェを押し倒していて…

打ち寄せる波に浸されながら、マホロアはアイシェの頬を撫でて…その唇にキスをした。

夕陽は沈み、空には星が輝き出して周りも少しずつ冷えてきた中でもそのキスは熱くて…2人は何度も何度もキスを繰り返した。

そしてゆっくりと起き上がると、アイシェを優しく抱き上げ…

マホロア「ローアに帰ろう、お風呂に入ってご飯にしようネ。その後にゆっくりお楽しみも…ネェ?」

耳元で熱く囁くと、アイシェの体はピクンと反応して…その頬は真っ赤に染まりながらも小さく頷く。

アイシェ「今日は泡のお風呂がいいなぁ。」

マホロア「フフッ、アイシェがお気に入りの薔薇の香りデ用意してアゲルヨォ。」

そんな話をしながら、2人はローアへと戻って行った。

To be continued…