小説「夢結ぶ星りんご」~2人きりの旅行へ~

夏真っ盛りの暑い日…マホロアに旅行に誘われたアイシェは、彼と一緒に大量の食料をローアに運んでいた。

アイシェ「これくらいで大丈夫?」

マホロア「ウン、充分ダヨ。」

生前こそゲームでは色んな世界を旅するカービィ達を見てきたが、この世界に生まれ変わってからポップスターを出たのはハルカンドラへ向かった時とお花見の時のみ…旅行自体は2週間程の予定だが、どんな世界が待っているのだろうと考えるだけで楽しくて、アイシェの心は躍る。

その後も忘れ物が無い様に、入念にチェックしながら準備を進め…ついに当日を迎えた。

カービィ「楽しんできてね!」

バンワド「気をつけてね!」

デデデ「無事に帰って来るんだぞ。」

メタナイト「其方達の旅が順調である事を祈っている。」

アイシェ「みんな、ありがとう!」

マルク「お土産と旅の話を楽しみにしてるのサ!」

アイシェ「ふふっ、も~マルクったら。」

タランザ「マホロア、アイシェをしっかり守るのね。」

マホロア「当たり前ダロ、ボクが居れば安全ダヨォ!」

マルク「お前だから一番危険なのサ。」

マホロア「ハァ~どういう意味ダヨ?」

マルク「キシシ、そのままの意味なのサ。」

タランザ「止めるのね、とにかく…楽しんでおいでアイシェ。」

アイシェ「うん、ありがとうタランザ。」

皆に見送られながら、2人はローアに入って行き…高く飛び上がってポップスターを旅立った。

カービィ「マホロア、アイシェ…帰って来たらたくさんお話をきかせてね。」

そう言いながら、カービィは青空を見上げた。

ローアは目的地に向かってゆっくりと進んでいて、その間マホロアはパネルを操作しながら軌道がズレない様に慎重に調整をしていた。

マホロア「コレをこうシテ…ヨシ、後はローアが目的地マデ行ってくれるヨォ。」

調整を終えたマホロアが振り向くと、アイシェは窓から宇宙を眺めていて…あの時と同じ様に青い瞳を輝かせている。

アイシェ「わぁ~綺麗!」

マホロア「フフッ、前もこんな風に喜んでたネ。」

アイシェ「すごく綺麗なんだもの。」

そう話すアイシェは嬉しそうで、マホロアの口元も自然と緩む

マホロア「アイシェも綺麗ダヨ。」

そう言ってマフラーを下ろし、アイシェにキスをすると…その頬は一気に赤く染まり、マホロアに体を預けた。

しばらく眺めた後に、マホロアは椅子に座ると小さな袋を取り出し…テーブルに置かれたキラキラと光る小さな宝石の様な物を詰め始めた。

アイシェ「マホロア、これは?」

マホロア「他の星で買い物をする為のお金ダヨ。」

アイシェ「お金?」

マホロア「ソッカ…ポップスターには通貨が無いカラ、知らないヨネ。他の星では欲しい物があっタラ、コノお金を払う必要があるんダ。」

アイシェ「そうなの?」

マホロア「ウン、勝手に持って行っタラ怒られチャウヨ。」

アイシェ「大変…気をつけなきゃ。」

マホロア「ボクがお金を持ってるカラ、欲しいのがあったら言ってネ。」

アイシェ「うん、ありがとうマホロア。」

マホロア「どういたしましテ。」

目的地に着くのは翌日の予定だったので、この日はお茶をしたりしながらのんびりと過ごし、夜…アイシェはマホロアの誘いでカクテルを飲む事に。

マホロアが用意したりんごのカクテルは、度数が低くて飲みやすいと言う

アイシェ「甘い香り…頂きます。」

香りを楽しみつつ、アイシェがそっと口づけて飲んでみると…口内にりんごとお酒の甘い香りが広がった。

マホロア「どうカナ?」

アイシェ「すごく美味しい!それに全然グラグラしない。」

青い瞳をキラキラ輝かせて喜ぶアイシェに、マホロアも黄色い瞳を弓形に細めて嬉しそうに笑う

マホロア「ヨカッタ!コレなら2人デお酒を楽しめるネ。」

そう言いながら、マホロアもりんごワインを飲み干した。

2人は楽しくお話しながらも飲む手は止まらず…気がつくとお互いに一本分飲んでしまっていた

アイシェ「ん…んん…。」

眠たくなった目を擦りつつ、水を飲んで部屋へ向かおうとしたアイシェだが…ふらついてまともに歩けず、マホロアが抱き上げた。

マホロア「アイシェ、大丈夫カイ?」

アイシェ「ん…だい…じょぶ…。」

マホロア「フフッ、可愛いナァ。」

ぼーっとしているアイシェを部屋に連れ行き、ベッドに寝かせると…マホロアはそのまま彼女の上に跨がった。

アイシェ「マホ…ロア…?」

頬を真っ赤に染めて、トロンとした青い瞳が自分を見上げていて…マホロアはゴクリと生唾を飲んで舌舐めずりをする

マホロア「フフッ…フフフ…アイシェ…こんなに無防備だと、食べられチャウヨォ?」

そう言うと、マホロアはアイシェの頬にちゅっとキスをして…そのまま首筋に唇を這わせていく

アイシェ「はぁ…マホ…ロ…ア…。」

マホロア「可愛い声…モット聞かせテ。」

アイシェ「ん…うぅ…。」

マホロア「アイシェ…愛してるヨ。」

耳元で囁きながら、そっとアイシェのパジャマのボタンに手を掛けたが…

アイシェ「すぅ…すぅ…。」

返ってきたのは規則正しい寝息で…マホロアが顔を上げてアイシェを見ると、既に夢の世界へ旅立っていた。

マホロア「フフッ…お酒を飲めたケド、飲み過ぎると眠くなっチャウみたいダネェ。」

そう言って笑いながらアイシェの唇を指でなぞると…

アイシェ「ん…マホ…ロア…大好き…。」

寝言でもそんな可愛い事を言ってくれるアイシェに、マホロアはドキドキしながらも穏やかな笑みを浮かべ…

マホロア「ボクも大好きダヨ、おやすみアイシェ。」

そう言ってマホロアは隣に横になり、魔法で布団を掛けるとアイシェを抱きしめてじきに眠りにつき…部屋の中にはぐっすりと眠る2人を優しく撫でる様に、ローアの優しい風が吹いていた。

To be continued…