小説「夢結ぶ星りんご」~ちょっとしたお仕置きを~

夜中、マホロアは目が覚めた

いつもならそのまま寝てしまうのだが、この時は何故か気になって…隣で眠るアイシェを起こさない様にそっと起き上がって部屋を後にした。

慣れた手つきでいつもの様にローアのパネルを操作して軌道の再確認をしたが、特に変わった事は無い

マホロア「順調に向かってるネ、フアァ…。」

安心して大きなあくびをしつつ、部屋に戻ろうとしたマホロアだが…

アイシェ「マホロア…。」

ふと目が覚めたアイシェは、隣にマホロアが居なかったので心配して起きて来てしまった。

マホロア「ゴメンネ、チョット気になったカラ軌道確認をしてたんダ。」

アイシェ「ん…そうなの…?」

眠い目を擦りつつ答えるアイシェだが、強い眠気でボーッとしていて…マホロアは優しい笑みを浮かべると、アイシェを優しく抱き上げた。

マホロア「まだ夜中ダヨ、部屋に戻ってモウ一度ボクと一緒に寝ようネ。」

アイシェ「う…ん…。」

トロンとした目でかろうじて返事をしたアイシェだが、部屋に着いてベッドに下ろされた頃には既に眠っていて…抱き寄せてキスをすると、マホロアもじきに眠りについた

その後は朝までぐっすりと眠っていた様で、目が覚めると時計は朝の7時を示していた。

マホロア「おはよう、アイシェ。」

寝起きのアイシェがゆっくりと起き上がって目を擦ると、既に起きていたマホロアは実験用の服を着ていて…

アイシェ「おはよう、マホロア…あれ…魔法の研究をするの?」

マホロア「ウン、昨日買った材料デ作りたい薬があるんダ。」

アイシェ「気をつけてね。」

マホロア「アリガトウ。ア、ご飯作ってあるカラネェ。」

そう言ってマホロアはアイシェの頬にキスをすると自分の部屋に入って行き、アイシェは着替えた後にリビングへ向かい作ってあった朝ご飯を食べ、その後は昨日買って貰ったワンピースを洗濯して干したり掃除をした。

一通り終えて、ソファに座りながらマホロアが置いて行ったマントを羽織ると…

ふわっ…お日様の香りと共にマホロアの香りもして、アイシェを安心させてくれる。

アイシェ「マホロア、何の薬を作ってるんだろう?」

本を読んだり絵を描いたりしながら過ごしていたアイシェだが…ソファでマホロアの顔の形をしたクッションを抱きしめると、その柔らかさにリラックスして…じきに眠ってしまった。

しばらくして、実験を終えたマホロアがリビングへ向かうと…

マホロア「アイシェ、寝ちゃってるノ?」

アイシェ「すぅ…すぅ…。」

ソファで自分の顔の形のクッションを抱きしめ、自分のマントを羽織って眠る恋人の姿にマホロアの表情は緩みきっていて…

マホロア「可愛いナァ…フフッ、起きてアイシェ。」

優しく声を掛けながら頬を撫でると、アイシェはゆっくりと目を覚ました。

アイシェ「マホロア…あれ、私もしかして寝ちゃってた…?」

マホロア「ウン、チョー可愛い寝顔だったヨォ。」

アイシェ「恥ずかしい…。」

頬を真っ赤に染めて恥ずかしがりつつも、優しい笑みを浮かべるアイシェにマホロアはちゅっとキスをした。

マホロア「フフッ、ボクのマントは安心するカナ?」

アイシェ「うん、すごく安心する。」

マホロア「嬉しいヨォ~。」

そう話すマホロアは上機嫌で、満面の笑みを浮かべている。

すると、アイシェはふと…デデデの部屋着とバンワドのバンダナを借りた時の事を思いだした。

アイシェ「前に大王さまの服とバンワドくんのバンダナを借りた時も、お日様の香りがしたの…太陽ってみんなを安心させてくれるんだね、マホロ…」

そう話しながらマホロアの方を見たアイシェだが、マホロアは明らかに不機嫌な顔をしていて…何なら背後からズゴゴゴ…と真っ黒なオーラを漂わせている。

マホロア「アイシェェェ……!」

アイシェ「ま、マホロア!?」

マホロア「キミの恋人は誰ダイ?」

アイシェ「えっ…マホロアだよ。」

マホロア「ボクが居なガラ、他の男の服を着た話なんテしちゃうんダァ~?」

アイシェ「え…えぇ…?」

全く状況が理解出来ないアイシェは、どうしてマホロアが怒っているのかも分からず…その様子はマホロアの嫉妬心という名の火に油を注いでしまう

マホロア「アイシェ、抵抗ないノ?」

アイシェ「抵抗?」

キョトンとしているアイシェに、マホロアの嫉妬心は更に加速したが…今まで不機嫌だったのから一転して、妖しい笑みを浮かべている。

マホロア「クククッ、アイシェはチョット世間知らずな部分があるカラネェ…イイ機会だしココで教えてアゲルヨォ、恋人が他の男の服なんて着てタラどうなっちゃうか、ネェ?」

ソウ言うと、マホロアはアイシェにそっと覆い被さってマフラーを下げると…

露わになった彼の口元は、アイシェの小さな口にかぶりつく様に甘いキスをした。

アイシェ「マホ…ロア…?」

頬を真っ赤に染めたアイシェが自分を見上げていて、マホロアはそれだけで優越感を得たが、同時にこの無防備な可愛いお姫様にどの様にして分からせてやろうかと思考を巡らせていた。

マホロア「アイシェ、他の男の服を着るっていうのはネ…裸のキミにボク以外の男が触れているのと同じなんダヨ?」

かなり大袈裟な表現なのはマホロアも分かっていたが、こうでもしないとアイシェは気づかないと判断しての事だった

そして彼の思惑通り、アイシェはとても驚いた様子で…

アイシェ「えぇ…そうなの…!?」

彼女の反応に真剣な表情で相槌を打ちつつも、その腹の中ではイタズラ心が膨れ上がっていて…

マホロア「そうダヨォ…例えば、こんな風にネ…。」

そう言うと、マホロアはアイシェの首元のリボンをスルリと解き…少しだけボタンを外すと露わになった首筋に唇を這わせた。

アイシェ「んっ…マホロア…。」

マホロア「他にもこんな風に触られちゃってるんダヨォ…。」

すると今度は、服越しに胸を優しく掴んでふにふにと揉んでみたり、スカートの中に手を入れて…パンティの生地を指に引っ掛けて少しだけ引っ張ったりした。

アイシェ「ま…マホロアぁ…!」

恥ずかしさに頬を真っ赤にしながらささやかな抵抗をするアイシェに、マホロアは今にも笑い出したくなるのを我慢しながら黄色い瞳をウルウルさせる。

マホロア「アイシェの綺麗な体が、ボク以外の男に触れられるなんテ…耐えられないヨォッ!」

アイシェ「マホ…ロ…ア…。」

わざとらしくそう言ったが、チラリとアイシェ見ると…今にも泣きそうな顔をしていて、マホロアは驚いた顔をした。

マホロア「アイシェ…?」

アイシェ「ごめ…なさ…私…そんな大変な事って知らなくて…!あの時…服がびしょ濡れになっちゃって…それで大王さまとバンワドくんが貸してくれて…でも…本当にごめんなさい…!」

ショックで震えながらも声を絞り出して謝るアイシェに、マホロアの心は罪悪感に襲われた…

少しばかり脅かして反省させるつもりが、ここまで効いてしまうなんて…予想外の展開にマホロアは困惑しつつもアイシェの頬を撫でて深いキスをした。

マホロア「今度は気をつけてネ…他の男の服を着ているなんテ…気が狂いそうだったんダカラ。」

アイシェ「うん…ごめんなさいマホロア…。」

眉根も耳も下がり、しょんぼりしてしまうアイシェをマホロアはぎゅっと抱きしめ…

マホロア「分かってくれたならイイんダ、愛してるヨ…アイシェ。」

そう言ってもう一度深いキスをすると、アイシェはようやく安心した表情を見せた。

アイシェ「私も愛してるよ、マホロア。」

マホロア「(流石にやり過ぎたナァ…デモ懲りたみたいダシ、とりあえずはイッカ…。)」

マホロアはアイシェの言葉に満足したと同時に、次に脅かす時はもう少し加減しようと思うのだった。

To be continued…