小説「夢結ぶ星りんご」(夢幻の歯車編)~覇王戴冠 Overlord~

再会の喜びも束の間、マホロアEXは体勢を立て直すとこちらを睨んできた

マホロアEX「幻を見破ッテ、助けに来たノカ…!」

マホロア「アレは…ボクの幻ジャ無いネ?」

アイシェ「あれは違う世界線のマホロアなの、あのクラウンもきっと…。」

マホロア「なるほどネェ…それナラ、再びブッ倒すマデ!」

そう言ってマホロアはレボリューションフレイムを放ったが、マホロアEXはそれをかわして…

マホロアEX「喰らエ!」

強力な魔力球を撃ってきた!

マホロア「リフバリア!」

右手でアイシェをしっかり抱き寄せながら、左手でリフバリアを張ってガードしたマホロア

するとマホロアEXはニヤリと笑って口を開いた。

マホロアEX「ボクがキミ達を、コノ世界に引き寄せタんダヨ。」

アイシェ「えっ…!?」

マホロア「何が目的なんダ!?」

マホロアEX「ボクはカービィ達に敗れ、姿を消しタ…ケド、アナザーディメンションで傷を癒やして力を蓄えてタ時に星の歯車の力を感じたんダヨォ。」

アイシェ「まさか…貴方も星の歯車を…!?」

マホロアEX「そう、星の歯車の力を使っテ…再びポップスターを、全宇宙を我が物にするのダ!」

マホロア「別世界の自分とはいえ、諦めが悪くテ呆れるネェ…ボクみたいに本当の夢を思い出した方が幸せダヨ?」

マホロアEX「ククク…頭までお花畑になっチャッタのカナァ?まるで知り合い「だった」愚か者なアイツみたいデ滑稽ダネェ。」

マホロア「…生憎アイツとは腐れ縁でネ、今でも何かと絡むコトが多いヨォ………ケド、今のキミの方がかつてのアイツよりもずっと「救いようの無い愚か者」デ滑稽ダケドネェ?」

鼻で笑うマホロアに対して、マホロアEXは一瞬ピクッとしたが、すぐに禍々しく光る紫の瞳を弓形に細め…

マホロアEX「クラウンの力と星の歯車の力が合わさればボクは無敵…その子もボクのモノにシテ、今度こそボクが!全宇宙ヲ統べる最強の王となるんダヨォ!」

そう言ってマホロアEXは肩を揺らして笑うが、マホロアは眉間に深い皺を寄せて、心底不快な顔をしている…

マホロア「…どうシテ、アイシェにもそんなに執着するんダ?」

マホロアEX「キミ達をコノ世界に引き寄せて以降、ボクはずっとキミ達の様子を見てイタ……そうシテいる内に、その子が内に秘めタ強い力に惹かれてしまっタんダヨォ。」

マホロア「覗き見なんテ、ホンット悪趣味ダネェ。」

マホロアEX「クククッ……ココでボクに倒されテ無様な姿を晒シタ後二、全てヲ手に入れて支配してイクのをマヌケ顔デ見てるがイイヨォ!」

そう言うとマホロアEXは、力を溜めて巨大な魔力球を作り出していく…

するとマホロアは、アイシェから離れると強力な魔力のバリアを張って閉じ込めた!

アイシェ「マホロア!?」

マホロア「アイシェ、危険ダカラそこに居てネ。ボクは絶対に負けナイヨ、必ず守るカラネ。」

アイシェ「マホロア…約束だよ。」

マホロア「ウン、約束スル。」

バリア越しにお互いに手を当てて見つめ合う2人…その様子を見ながらマホロアEXは魔力球を掲げて…

マホロアEX「よそ見をスルナ!」

そう叫んで、マホロアに向かって巨大な魔力球をぶつけた!

ドゴオォォォン!!

爆発音と共に辺りは煙に包まれ…晴れていくと、そこには大きなリフバリアで防いで無傷のマホロアが居た。

マホロア「今度はコッチから行かせテ貰うヨ!」

そう言うとマホロアは、ジェムリンゴボムやクアッドキルニードル、ブラックホール、マホロア砲で反撃していく!

マホロアEX「力を得る前のボクが習得していない技ヲ…どうやっテ…!

マホロア「ボクはネェ、キミと違っテ……やり直せたんダヨ!」

マホロアEXは驚きつつも強力な技を出してマホロアを襲うが、それらもリフバリアで防いだりレボリューションフレイムで燃やし…魔力を集中させるとウルトラソードを出した!

マホロアEX「ソレはウルトラソード…どうしテ!?」

ズバッ!!

ウルトラソードでマホロアEXに斬りつけたマホロア

するとマホロアEXはよろめきながらも妖しく輝き始め…

アイシェ「マホロア…!」

マホロア「コレで終わりジャなさそうダネェ…!」

警戒するマホロアと、バリアの中から心配するアイシェ…

するとマホロアEXの体が輝きながらもみるみる形を変え始めた!

マホロアEX「別世界のボク…が……カービィの技を使うなんテ……カービィ……カー………ビィ…ウアァァァーーーッ!!」

五本指は更に大きくなり、手袋を突き破って緑色の鋭い爪の様な手に変わり…2本の角も更に伸びてグニャリと曲がる

深紅の衣装は消滅して巨大な球体へと姿を変え、クラウンは歪な形をしながら茨の様に角に巻き付き、爪状の装飾が体を掴んで離さない

背中からは揺らめく翼を生やし、球体から裂ける様な口が現れて真っ赤な目玉がギョロリとこちらを覗く…マホロアソウルが姿を現した!

アイシェ「マホロアソウル…やっぱりこのマホロアも…!」

マホロア「クラウンの力に飲み込まれたみたいダネェ…我ながら愚かダヨ…!」

別世界の自分に溜息を吐くマホロア、しかし目の前のマホロアソウルは少し姿が違っていて…特徴的なマホロアの白く変化した目が無いのだ。

その姿は悍ましく、憎悪や執念…そして悲しみも感じて…

マホロアソウル「カー…ビィ……カービィ……。」

目の前のマホロアやアイシェを見つつも、まるで呪文の様にひたすらカービィの名前を呼んでいる。

アイシェ「カービィを呼んでる…。」

マホロア「目の前のボクを前にカービィを呼ぶなんテ、よっぽど余裕があるみたいダネェ!」

そう言いながらマホロアは魔力球を飛ばしたが…

バシッ!!

マホロアソウル「カァ…ビィ……カー…ビ…ィ…。」

かわす事も無く正面から魔力球を受けつつも、ひたすらにカービィの名前を呼び続けている。

マホロア「何なんダヨ…ずっとカービィばかり呼んデ気味が悪いヨォ…!」

目の前のマホロアソウルの様子に困惑するマホロアだったが、アイシェは悲しげな表情で口を開いた。

アイシェ「この世界のマホロアは、カービィと最後まで仲直り出来なくて…謝れなかったんだね…。」

マホロア「アイシェ?」

アイシェ「マホロアソウルから伝わってくるの…カービィと仲直りしたかったのにクラウンの力が強すぎて、それに抗えずに飲み込まれてしまった…憎悪と執念に囚われて、クラウンそのものになってしまった悲しみが…。」

生前、ゲームのスペシャルページでマホロアがクラウンそのものになってしまったと見た事がある

その時は、カービィが倒した事でマホロアの魂が解き放たれたのだ。

アイシェが出会ったマホロアはこうして元の姿を取り戻し、夢を叶えるべく生きているが…別世界のマホロアはその夢も忘れ、カービィとの友情も育めず…クラウンにソウルを啜られるだけの器と化してしまった事に、アイシェは心を痛めた。

マホロア「…ナラ、せめてボクが…ボク自身が終わらせてアゲルヨォ!」

そう決意すると、マホロアはレボリューションフレイムやキルニードルでマホロアソウルに攻撃していく!

すると…今まで攻撃を受けているだけだったマホロアソウルが手をかざし…

2つの魔法陣が現れた直後!

ズバァァァァァーーーーーー!!

何と2つのマホロア砲が撃ち出され、マホロアを襲った!

マホロア「ウワアァァッ!!」

アイシェ「マホロア!!」

咄嗟にリフバリアを出すも、受け止めきれずにマホロアは吹っ飛び…地面に叩きつけられた!

マホロア「グッ…何て攻撃してくるんダヨォ…!」

ゆっくりと起き上がり体勢を立て直すマホロアに、マホロアソウルは容赦無く次々と攻撃を仕掛けてくる!

ワープホールアタックにキルニードルを出した状態でマホロアの目の前にワープからの魔力球、アナザーディメンション…どれも強力な攻撃でマホロアを追い詰めていく。

アイシェ「(このままじゃマホロアが…!)」

不安を感じるアイシェだったが、マホロアは優しい笑みを見せて…

マホロア「アイシェ、ボクを信じテ。」

アイシェ「マホロア…!」

マホロア「アイシェが居てくれればボクは頑張れル、どんな敵が来ても負けないヨ。」

そう話すマホロアの黄色い瞳には何も迷いが無く、アイシェの心にも勇気が湧いてくる。

アイシェ「うん、マホロアは負けたりしない。」

マホロア「フフッ、ありがトウ。」

嬉しそうに笑うとマホロアは両手をかざし、足下からは大きな魔法陣が出現した!

魔法陣からは光が溢れてマホロアの体を包みこみ…次の瞬間、彼の体からは強い魔力のオーラが溢れていた。

To be continued…