目を開けた一行の前に広がっていたのは、オアシスでも砂漠でも無かった。
デデデ「どこかに飛ばされたみてぇだな…けど別世界でも無さそうだ。」
ドロッチェ「世界はそのままで、別の場所に飛ばされたのか?」
不思議に思う一行だったが…
パアァァァ…カービィの持っている「星型のコンパス」が突然輝き始めた!
バンワド「カービィのコンパスが…!」
すると今度はアイシェにローアの声が聞こえて来て…
アイシェ「ローア…!」
マホロア「ローアの声が聞こえるノ?」
アイシェ「うん、この先にある星型の泉の近く…星の歯車と一緒に埋まってるって言ってるよ!」
ドロッチェ「いよいよお宝とのご対面だな!」
カービィ「コンパスから出てる光が方角を示してる!」
メタナイト「その光を頼りに進もう!」
一行は星型のコンパスが示す光の方角へ歩いて行き、草原を抜けると…そこには大きな星形の泉があった!
バンワド「星形の泉だ!」
デデデ「後は埋まってる場所だけだな!」
一行は再びコンパスの光に導かれて歩いて行き…少し歩いた場所で光は真下に伸びた。
マホロア「コノ真下に埋まってるみたいダネ。」
そう言うとマホロアは、ショルダーバッグからスコップを取り出した。
カービィ「わあっ、どうやってしまってたの?」
マホロア「コレは魔法のショルダーバッグなんダ、どんなに大きなモノもしまえるんダヨ。」
バンワド「すごいなぁ〜便利だね!」
マホロア「フフッ、重宝しテルヨォ!」
デデデ「よっし、掘るか!」
そう言うとデデデは、スコップを手にして地面を掘り始めた。
ドロッチェ「俺も手伝うぜ。」
鋭い爪を使ってドロッチェも堀り始め、メタナイトもスコップを手に一緒に掘っていく。
バンワドとカービィは掘る途中で出てくる石を運び、アイシェとマホロアは土をどかして掘りやすい様に手助けし、皆で協力しながら掘り進んでいくと…
日が暮れて星が出始めた頃、カツンと何か硬い物に当たる音がした。
デデデ「何かに当たったぞ!」
すると、地面がキラキラと輝き出した!
マホロア「星の歯車カモ!」
カービィが手でそっと土をどかし、光の部分に手を伸ばすと…
そこには眩い光を放つ、大きな星の歯車があった。
バンワド「これが星の歯車…!」
アイシェ「綺麗…!」
カービィ「これで願いが叶うんだね!」
嬉しそうに笑いながら、星の歯車を持ち上げたカービィ
すると…ローアの歯車がコトッと音を立てて落ちた。
マホロア「ローアの歯車も見つかったシ、コレデ解決ダネ!」
ドロッチェ「だが暗くなってしまったな…ここで野宿して、明日の朝戻るか。」
ローアの歯車とスコップをしまいながら話していたその時、星の歯車が一行を光で包みこみ…次に目を覚ますと港町にいた。
デデデ「どうやら歯車が俺様達をここまで運んでくれた様だな。」
メタナイト「不思議な力だな。」
マホロア「ローアが意思を持ってる様ニ、きっと星の歯車にも意思があるんダネ。」
カービィ「今夜は泊まって、明日出発しようよ。」
バンワド「そうだね、もうお腹もペコペコだし。」
ドロッチェ「よし、あのレストランで宴と行こうぜ!」
デデデ「おー楽しみだな!行くぞみんな!」
マホロア「全ク…ホントお気楽なんだカラ。」
そう言って溜息を吐きつつも、マホロアは嬉しそうに笑っている。
アイシェ「ふふっ、行こうマホロア。」
マホロア「ウン。」
その後は…レストランで再び大盛りの食べ物を頬張るカービィとデデデ、それを見ながらカレーを頬張るバンワド、またもやサラダのトマトをアイシェに譲るドロッチェと様子を見るメタナイト、怒るマホロアとを宥めつつもトマトを食べるアイシェの姿があった。
祝いの宴は遅くまで続き、今度こそ同じ宿の部屋を取れた一行はぐっすり眠って疲れを癒やし…
翌日一行を乗せた船は旅立ち、帰りの航海も順調に進みながら10日後に港町へ到着した。
デデデ「はぁ~~やっと帰って来たぜ!」
するとバンワドは工具箱を持って飛行機に向かい…
アイシェ「バンワドくん、何をするの?」
バンワド「帰る前に、飛行機の整備をするんだよ。」
慣れた手つきでしっかりと確認していくバンワドの作業をアイシェがじっと見ていると、カービィ達がやって来た。
カービィ「バンワド、飛行機の調子はどう?」
バンワド「バッチリだよ、後は操縦席を掃除して…完了!」
デデデ「よーし行くぞ!」
ドロッチェ「オレも一緒に行くぜ、最後まで見届けたいからな。」
一行を乗せた飛行機はプロペラをフル回転させながらゆっくりと浮き上がり、町へ向かって飛び始めた
森を越えて荒野を越えて飛行機はどんどん町に近づき…しばらくして到着した。
帰還を歓迎する町民達の歓声を受けながら、一行は町の真ん中にある寂れた噴水の前に来て…
カービィ「お願い、星の歯車…ボク達の町に再び水と緑を取り戻して欲しいんだ。」
そう話すと、星の歯車はキラキラと輝きながら浮き上がり…噴水の真ん中に突き刺さった!
すると噴水から光と共にチョロチョロと水が吹き出した。
マホロア「アレ…コレしか出ないノ?」
不思議に思ったマホロアだが…
シャアァァァーーー!!
水が勢いよく吹き上がり、キラキラと光が町中に降り注いだ
すると枯れていた地面は緑を取り戻して木々は青々と茂り、近辺の荒野も緑を取り戻していく!
アイシェ「すごい…町が綺麗になっていく!」
メタナイト「これが星の歯車の力…何という…!」
ドロッチェ「こいつは驚いたぜ…!」
バンワド「あっ、りんごの木に実がなってる!」
カービィ「わーい、あそこのりんご大好きなんだよね!」
デデデ「よかった…これで町は安心だな。」
そう話すデデデの目には涙が光り、少し恥ずかしそうに笑いつつ拭った。
マホロア「モウ大丈夫ダネ。」
アイシェ「うん。」
みんなが喜ぶ様子を見て、手を繋ぎながら優しく笑い合うマホロアとアイシェ
その後…デデデの主催で祝いの宴が開催され、町民達と交流しながら町の復活の喜びを分かち合った。
するとアイシェの肩がポンと優しく叩かれ…振り返ると最初に訪れた時に水を渡した、あの商人の姿があった。
商人「やぁ、どうも!」
アイシェ「商人さん!」
商人「あの時は本当にありがとうございました。」
アイシェ「どういたしまして。」
マホロア「キミの仕事もコレで大丈夫そうダネ。」
商人「えぇ、安心ですよ。そのお礼と言っては何ですが…これをお渡ししたいと思ったんです。」
そう言うと、商人は小さな鉢に植えられた苗をアイシェに差し出した。
アイシェ「これは…?」
商人「これは、育てた人の心に応じて様々な花を咲かせるという不思議な苗なんです。水不足の間も、この植物だけは枯らさない様にと育ててましたが…命の恩人である貴女に是非育てて頂きたいのです。」
アイシェ「私に…本当にいいんですか?」
商人「もちろんですよ、貴女になら安心して託せます。」
そう話す商人は優しい笑みを浮かべていて、アイシェも嬉しそうに笑みを浮かべてそっと受け取った。
アイシェ「ありがとうございます、大切に育てますね!」
商人「どういたしまして、私の方こそ本当にありがとうございました。貴女にこれからたくさんの幸せが訪れます様に!」
そう言うと商人は宴に戻って行き…
マホロア「ヨカッタネ、アイシェ。」
アイシェ「うん。」
マホロアと顔を見合わせて笑い合い、アイシェは受け取った苗を大切に抱きしめた。
To be continued…