小説「夢結ぶ星りんご」(夢幻の歯車編)~甘い蜜の誓い~

夜…ローアに戻った2人は、カービィ達を招いてアップルパイをごちそうした。

カービィ「すごく美味しい!」

バンワド「こんなに美味しいアップルパイは初めてだよ!」

アイシェ「ふふっ、ありがとう。」

デデデ「こりゃ大したもんだ!」

メタナイト「これは…もう他のアップルパイでは満足出来ないな…。」

ドロッチェ「メタナイトは甘い物に目がないもんな。」

マホロア「(コノ世界のメタナイトも、甘い物好きは同じなんだネェ…。)」

楽しい時間はあっという間に終わり、見送る為に外に出ると…

カービィ「見て、すごく綺麗だよ!」

そう言って夜空を見上げるカービィに、デデデ達も同じく見上げた。

アイシェ「綺麗…。」

バンワド「みんなで見れるのも、今日が最後なんだね…。」

マホロア「ウン、明日の朝には旅立つカラネ…。」

デデデ「元の世界に戻っても、ここの事を忘れんなよ。」

マホロア「忘れ無いヨ、ダッテ………大切な友達ダモン。」

メタナイト「其方達に出会えたよかった…ありがとうアイシェ、マホロア。」

アイシェ「私達こそ…ありがとうメタさん。」

ドロッチェ「アイシェ、キミはいつもオレ達を優しく癒して照らしてくれた…これからもその輝きを失わないでくれよ。」

アイシェ「ドロッチェ…うん、約束する。」

バンワド「ボク、2人と一緒に旅が出来てよかった…大切な思い出になったよ。」

アイシェ「私も同じだよ、本当にありがとうバンワドくん。」

カービィ「もしまた会えたら…こうやって星を見ようね。」

マホロア「ウン。」

アイシェ「約束だよ。」

カービィ「うん、約束する。」

一行はしばらく輝く星空を眺め、カービィ達は町へ戻り…マホロアとアイシェもローアに戻って眠りについた。

翌朝…普段の衣装に戻ったマホロアと、買って貰ったワンピースに身を包んだアイシェはローアの調整をしていた。

マホロア「ヨシ、ローアの準備はバッチリダヨ。」

アイシェ「うん…。」

分かっていても、やっぱり別れは寂しくて…マホロアはアイシェを抱きしめた。

マホロア「寂しいヨネ…ケド行かなキャ…。」

アイシェ「うん、そうだよね…。」

マホロアと抱き合い、アイシェがローアに乗り込もうとしたその時!

カービィ「アイシェ、マホロア!!」

息を切らしてカービィが走ってきて、遅れてデデデ達も走ってきた!

アイシェ「カービィ、みんな…!」

マホロア「どうシテ…!?」

カービィ「だって友達だもん、ちゃんとお見送りするよ。」

アイシェ「カービィ…!」

青い瞳からは涙が零れ落ち、アイシェはそのままカービィと抱き合った。

カービィ「アイシェ…どんなに離れていても、ボク達はずっと友達だよ!」

アイシェ「うん…!」

泣いているアイシェの涙をカービィの手が優しく拭い、彼女の手にそっと星のコンパスを乗せた。

カービィ「そのコンパス、アイシェに貰って欲しいんだ。」

アイシェ「カービィ、ありがとう…!」

カービィ「元気でねアイシェ、マホロア!」

マホロア「ありがトウ、カービィもミンナも元気デネ!」

バンワド「うん!」

アイシェ「みんな、ありがとう!」

2人はローアに乗り込み…マホロアはパネルを操作して行き先を決め…

ゆっくりと2人を乗せたローアが浮かび上がって、ディメンションホールを開いた。

カービィ「またね、2人共ー!!」

みんなが手を振る中、ローアは勢いよくディメンションホールに飛び込んで…そのまま消えた。

バンワド「行っちゃっいましたね、町長。」

デデデ「あぁ、寂しくなるぜ…けど2人にも帰る家があるからな。」

メタナイト「今度こそ、元の世界へ戻れるといいのだが。」

ドロッチェ「あの2人なら、きっと大丈夫さ。」

カービィ「アイシェ、マホロア…元気でね!」

青空を見上げてそう呟いたカービィの頬を、優しい風が吹き抜けて行った。

一方、ローアの方ではマホロアが行く予定だった星の名前を入力して、行き先を決定していた。

マホロア「コレで大丈夫、夕方には到着するカラそれまでゆっくりお茶デモしようヨ。」

アイシェ「うん。」

お茶とクッキーを用意して、2人だけの楽しいお茶の時間を過ごし…ローアは予定通り、目的の星へと着いた。

マホロア「ココ、アイシェに見せたくテすごく楽しみだったんダヨォ!」

そう言ってとても嬉しそうなマホロアに、アイシェも自然と笑みが零れる

アイシェ「ふふっ、どんな星なの?」

マホロア「降りるマデのお楽しみダヨ、行こうアイシェ。」

アイシェ「うん。」

優しく差し出されたマホロアの手を取り、アイシェはローアから降りると…

そこには色とりどりの花畑が広がり、遠くでは夕陽が沈みかけて夜空から星が覗き始めていた。

花が好きなアイシェの為にと、マホロアが旅の前からずっと連れてきたいと思っていた場所であり、予想通りアイシェは青い瞳をキラキラ輝かせながら花畑を眺めている

マホロア「一番綺麗な時間に着いたヨォ!」

アイシェ「すごく綺麗…!」

目の前の花畑は、オレンジ色の夕陽に照らされていて…うっとりしながら眺めるアイシェだったが、マホロアは黄色い瞳を弓形に細めて口を開いた

マホロア「コノ後、モット綺麗になるヨ。」

すると、夕陽は完全に沈み…輝く星達と満月が星空を飾り、花畑はキラキラと輝き始めた。

アイシェ「わぁっ…!」

驚きで青い瞳を見開くアイシェを見て、マホロアは嬉しそうに笑う

マホロア「綺麗デショ?」

アイシェ「うん、すごく綺麗!」

そっと花畑に座り、近くの花に触れると…キラキラと輝く小さな光がたくさん浮かびあがり、アイシェの周りを飛んでいる。

マホロア「フフッ、気に入って貰たみたいダネ。」

アイシェ「ありがとうマホロア、とっても素敵な場所だね。」

マホロア「コノ星に咲く花達はネ、ほぼ永遠に咲き誇るんダ。」

アイシェ「すごい…永遠に近い命を持ってるの?」

マホロア「そういうコトになるネ、コノ花の蜜を飲むと…とても長い時を過ごせるっテ伝説もあるヨ。」

アイシェ「お花の力を分けて貰えるって事なのかな。」

そう話しながら、アイシェは再び花にそっと触れると、花は再び光を放ち、キラキラと飛び回る。

マホロア「…試してみるカイ?」

そう言うとマホロアは、近くの花を優しく摘み取った

すると…摘み取られた部分がほんのり輝き、新しい花が咲いた。

アイシェ「花が…!」

マホロア「例え花が命を終えても、その場所カラすぐに新しい花が咲く…コノ花畑は決して枯れナイんダヨォ。」

そう言いながら、マホロアは摘み取った花を裏返しにしてキュッとつまむと…透明な花の蜜がポタポタと零れ落ちていく

蜜が零れる場所をちゅっと吸って蜜を飲み、それでも零れ続ける蜜を口に含むと…アイシェを抱き寄せて、そのままキスをした。

マホロアの舌が唇を割って入ってきたと同時に、トロリと甘い蜜の香りが口内に広がる

アイシェが蜜を飲み込んだのを確認すると、マホロアは残った蜜を飲み込み…そのまま深いキスをした

美しい夜空の下で熱く甘く深いキスをする2人…しばらく堪能してキスを止めると、ちゅっとリップ音がした。

アイシェ「この蜜の力で長い時を過ごせるなら…マホロアとずっと一緒に色んな景色を見たい。」

マホロア「ウン、ボクも同じダヨ…ミンナと一緒に楽しく過ごしなガラ、アイシェとの思い出をたくさん作るんダ。」

アイシェ「約束だよ、マホロア。」

マホロア「約束するヨ、アイシェ。」

2人はそっと寄り添いながらお互いの手を繋ぎ…約束のキスをして夜空を眺めた。

To be continued…