小説「夢結ぶ星りんご」~不気味の森の肝試し~

カービィ「ボク、バンワドの様子を見てくるねー!」

マホロア「また後でネェ~!」

先に食べ終えたカービィは満面の笑みで2人に手を振ると走って行き、2人でお祭り用に設置されたベンチに座って仲良くりんご飴を食べていると…

マルク「ヘイヘーイ、楽しんでるのサ?」

空からマルクが飛んで来て、2人の前に降り立った。

アイシェ「うん、とっても楽しいよ!」

マルク「それ…りんご飴なのサ?」

アイシェ「うん、あっちの屋台にりんご飴があるの。」

そう言ってアイシェは残り少ないりんご飴をちまちまと囓っていたが…

マルク「それ貰うのサ。」

そう言うとマルクはアイシェに近づいて…

ガブッ!アイシェのりんご飴を一口で食べてしまった!

アイシェ「あっ!」

マホロア「チョッ…何してんダヨ!」

マルク「ん、美味いのサ。」

アイシェ「もー、私が食べてたのに!」

マルク「さっさと食べないのが悪いのサ。」

マホロア「マルク、テメーよりによってアイシェのりんご飴を食いやがっテェェ…!!」

ビキビキするマホロアだが、マルクは全く気にする様子も無く舌舐めずりをしていて…

マルク「それよりも、不気味の森に肝試しに行こうぜ!」

マホロア「話を変えるなクソピエロ!」

マルク「いつまでも怒ってんじゃねーよ、こういうのは楽しんだもん勝ちなのサ。とにかく待ってるから来るのサ!」

それだけ言うと、マルクは魔法でボールを出して玉乗りしながら行ってしまった。

アイシェ「行っちゃった…。」

マホロア「ったくホントにアイツはヨォ…アイシェ、ボクのりんご飴をあげるヨ。」

アイシェ「え、いいの?」

マホロア「ウン、それにアイシェと一緒に1つのりんご飴を分け合うなんてサイコーダヨォ!」

そう言うと、マホロアは残り少ないりんご飴をアイシェに差し出した。

アイシェ「ふふっ、ありがとうマホロア。」

マホロア「どういたしましテ。(エヘヘ、アイシェと間接キスしチャッテル………マルク、気づいてる様子は全然無かったナァ…もし気づいてやってタラ生かしておかネーケド。)」

そんな事を考えつつ、先程と同じ様にちまちまと食べていくアイシェを優しく見守るのだった。

食べ終えた後、マルクが言っていた不気味の森へ向かったが…姿は無かった。

アイシェ「あれ、マルク居ないね。」

マホロア「きっと1人デ先に入ったんダヨ、ボク達は一緒に行こうネェ~。」

アイシェ「マホロア、嬉しそうだね。」

マホロア「アイシェと一緒ダカラダヨォ~!(暗闇デ2人きり…オバケに驚いたアイシェがボクに抱きついて来テ、優しくリードしてアゲレバ…ククク、アイシェはボクにモ~ット夢中になっちゃうネ!)」

アイシェ「……………。」

暗闇にゴクリ…と息を飲むアイシェ…実はオバケが苦手で、誘われて来たはいいものの内心ドキドキしていた…フロラルドでの冒険でもオバケ屋敷があったが、真っ暗では無かっただけまだ耐えられたのだ

一方のマホロアは全く気づいている様子は無く、アイシェの手を優しく取って歩き始めた。

マホロア「大丈夫、アイシェ?」

ぎゅっ…手を繋ぎつつ、マントも握るアイシェを心配した様子で見るマホロアだが…

アイシェ「う…うん…。」

本当は怖くて堪らず…アイシェはぎゅっと目を瞑ってしまう。

するとマホロアは気づいた様で、そっとアイシェの顔を覗き込んで口を開いた

マホロア「アイシェ…もしかしてオバケが苦手ナノ?」

アイシェ「うん…。」

マホロア「フフッ…可愛いネェ。大丈夫、ボクが付いてるヨ。」

そう言って抱き寄せてくれたマホロアの温もりと共に、リズムよく刻まれる心音が聞こえて来て…アイシェは安心した。

アイシェ「ありがとうマホロア、温かい。」

マホロア「どういたしましテ。真っ暗ダカラ、ゆっくり歩いて行こうネ。」

アイシェ「うん。」

2人で手を繋ぎながら、ゆっくり歩いて行くと…

ギャスパー「ヒョオォォォ~!」

アイシェ「きゃあぁっ!!」

突然出てきたギャスパーに、アイシェは驚いて軽く悲鳴を上げながらマホロアに抱きついた!

マホロア「大丈夫ダヨォ~ボクが傍に居るカラネェ~!」

抱きつかれたマホロアは瞳を弓形に細め、とても嬉しそうな様子だが…アイシェは驚きと怖さでドキドキしている。

アイシェ「うぅ…まだ出口は無さそう…。」

マホロア「フフッ、アイシェはホントに怖がりさんダネェ~何ならボクが抱っこして連れてってアゲルヨォ?」

そう言ってマホロアは、アイシェの腰を撫で始めた

アイシェ「マホロアぁ…!」

頬を真っ赤に染めて困った様子のアイシェだったが…

つつつーっ…突然背中を触られて、アイシェの体はビクンと跳ね上がった!

マホロア「ンン~ソンナに可愛い反応されチャッタラ、ボク我慢出来なくなっちゃうヨォ?」

アイシェ「だって…マホロアが突然背中を指でなぞるからぁ…!」

相変わらず頬を真っ赤にしたまま細やかな抗議をするアイシェだが、マホロアは瞳をぱちぱちさせていて…

マホロア「エ?ボクやって無いヨ?」

アイシェ「もう…また嘘吐いて…。」

マホロア「ホントダヨォ!」

アイシェ「えっ…それじゃあ今のは…?」

マホロア「ギャスパーの仕業…では無さそうダヨネェ?」

不思議に思う2人…すると今度はアイシェの耳元でフゥ~っと熱い吐息がかけられた!

アイシェ「きゃあぁぁぁぁぁーーーー!!」

驚いたアイシェは目を瞑ってそのまま走って行ってしまい…暗闇の中にはマホロアのみが取り残されたが、気づかずにアイシェを抱き寄せようとしていて…

マホロア「大丈夫ダヨォ、ボクが守るカラネッ!」

むにゅっ…抱き寄せたマホロアに柔らかい感触が広がり、アイシェの胸だと思うと瞳は弓形に細められる。

しかし、マホロアがアイシェだと思い込んでいる人物の正体は…

マルク「(今日はやけに積極的だな…もしかして、ボクをマホロアと勘違いしてるのサ?)」

さっきアイシェの背中を鉤爪で優しく触り、耳元で息を吹きかけて脅かしていたのはマルクだったのだ!

しかしマルクもアイシェが逃げて行ってしまった事に気づいておらず、彼女が抱きついているのだと勘違いしている

不思議に思うマルクだったが、マホロアはアイシェだと思い込んだまま体を撫で始めて…

マホロア「アイシェ、ホントに可愛いネェ…大好きダヨォ。」

そう言ってアイシェ…だと思い込んでおでこにちゅっとキスをしたが…

マルク「うひゃっ…何するのサ、アイシェ!?」

マホロア「エ、マルクが居るノ!?」

驚いたマホロアが小さなレボリューションフレイムを出して辺りを照らすと…そこにはマルクの姿があった!

マルク「ちょっ…何してるのサ!?」

マホロア「フザけんなクソピエロ!何でテメーがボクに抱きついてんダヨ!!」

マルク「お前が抱き寄せたのサ!気持ちわりー事してんじゃねーよ!!」

マホロア「ソレはコッチのセリフダヨォ!アイシェはドコに行ったノ!?」

マルク「きっとお前が嫌で逃げていったのサ!」

マホロア「ハァ~?馬鹿なのはその帽子ダケにしろヨ!」

マルク「ボクは馬鹿じゃないのサ、寧ろお前の頭が馬鹿なのサ!」

マホロア「そんなワケネーダロ!ボクの頭はテメーよりもずっと詰まってるヨォ!」

マルク「スカスカの間違いだろ!」

マホロア「ソレはテメーダロォ!」

ギャアギャア喧嘩をする2人だったが、マルクはハッとして一気に青ざめた顔をして…

マルク「ちょっと待つのサ!」

マホロア「テメーなんて最初カラ待ってネーヨ!」

マルク「お前…さっきボクの頬にキスしたのサ?」

マホロア「……………ウワアァァァァァァーーーーー最悪ダヨォ!!よりによってコンナ奴に…ボクお婿に行けなくなっチャウ!!」

アイシェのおでこだと思っていたのはマルクの頬だった事実にマホロアは驚愕し、青ざめた顔を両手で覆って嘆いている。

マルク「ぎゃーーーー最っ悪なのサ!お前今すぐ消えろ!!」

そう言うとマルクは鉤爪でマホロアを掴むと地面に叩き付けて…

ドゴオォォォン!!

マホロア「グホアァァーーーーーッ!!」

大きな音と共に、マホロアは頭から地面にめり込んだ!

マルク「ふぅ…今回はこれで許してやるのサ……今度やったら、お前マジで消してやるから覚悟するのサ!」

マホロア「何でこんな目に遭うんダヨォ…!?」

悪寒に襲われながらも気持ちを落ち着かせているマルクに対し、マホロアは地面に埋もれたまま、ピクピクしながらそう呟いたのだった…。

To be continued…