一方、はぐれてしまったアイシェは暗闇の中でマホロアを探していた。
アイシェ「マホロア…どこ…?」
辺り一面暗闇で、マホロアからの返事も気配も無く…恐怖が全身を襲う
すると…突然目の前に淡い光が現れて…次の瞬間ブーラーとキャパーが目の前に現れた!
ブーラー「キャハハハハ!」
キャパー「バァァ~!」
アイシェ「きゃあぁ…!」
驚いたアイシェはその場にしゃがみ込んで目をぎゅっと閉じてしまったが…ブーラーとキャパーは楽しそうな様子でアイシェの周りをクルクルと飛び回り…
突然、アイシェの耳元のリボンを口で咥えて…スルリと解いてしまった!
キャパー「ウヒヒヒヒッ!」
アイシェ「あっ…それはダメ…返して!」
困った様子でアイシェがお願いすると、リボンを咥えたブーラーと楽しそうな様子のキャパーはお互いの顔を見合わせると頷き、そのまま飛んで行ってしまった!
ブーラー「フフフフフッ!」
アイシェ「待って…それは本当にダメ!」
辺りは所々にほんのり明かりが付いて道が何とか分かる状態で…アイシェはそれを頼りに走り出した。
追いついたかと思えばキャパーにパスされて…再び追いつけば今度はブーマーにパスされるのを繰り返しながら逃げていく2人をアイシェは必死に追いかけた。
しばらく走って行くと、2人は突然動きを止めて振り返り…追いついて息を切らすアイシェをじっと見ている。
キャパー「ギヒヒッ。」
アイシェ「はぁ…はぁ…お願い…それは大切な宝物なの…返して…!」
泣きそうな顔でアイシェが言うと、2人はにっこりと笑い…アイシェの耳元にリボンを持って行くと丁寧に結んでくれた。
ブーマー「フフッ…遊んでくれてありがとう!」
キャパー「楽しかったよ、また遊ぼうね!」
アイシェ「えっ…?」
目をぱちぱちさせながら不思議に思うアイシェを見つつ、2人はスゥ…と消えてしまい、気がつくと森から出ていた。
キャパー「ギヒヒヒヒッ!」
ブーラー「キャハハハハッ!」
あの2人は遊びつつも自分を森から脱出させてくれたんだ…そう気づいたアイシェは満面の笑みで森に向かって手を振った。
アイシェ「ありがとう、またねー!」
そう言うと、森の奥からは嬉しそうな声が帰って来て…
マホロア「何で一緒に付いて来るんダヨ!」
マルク「お前がボクに付いて来てるのサ!」
マホロア「そんなワケネーダロ!ボクはずっとアイシェを探してるんだカラ!」
マホロアとマルクが喧嘩をしながら出てきた!
アイシェ「マホロア、マルク!」
マホロア「アイシェ!ヨカッタ、ボク心配したんダヨォ!」
マルク「一体どこに居たのサ?」
アイシェ「驚いて思わず逃げちゃったの…マホロアを探してたら、ブーラーとキャパーが出てきて私のリボンを解いて飛んで行っちゃって…でも遊びながら私を出口に案内して助けてくれたみたい。」
マホロア「そうだったんダネ…とにかく無事でヨカッタ。」
抱きしめて安心するマホロアを見て、アイシェもホッとしたが…
アイシェ「そう言えば…どうしてリボンを解かれた時に守護の魔術が発動しなかったんだろう?」
マホロア「アレはアイシェが危険を感じる程の「悪意」がある相手に触れられた時に発動するんダ、2人はアイシェと遊びたいっていう純粋な気持ちだったカラ発動しなかったんダネ。」
アイシェ「そうなんだね、ふふっ…また遊べたらいいな。」
耳元のリボンに触れつつ、アイシェは優しい笑みを浮かべた。
マルク「それにしても、ここは相変わらず面白い場所なのサ。」
マホロア「面白くネーヨ!元はと言えバ、マルクがアイシェを驚かせたのが原因ダロォ!」
楽しそうにキシシと笑いながら言うマルクだが、マホロアは目をつり上げて怒っている…
アイシェ「えっ!?」
マルク「アイシェの背中をなぞったのも、耳元で息を吹きかけたのもボクなのサ。キシシ、相変わらず最高の反応だったのサ!」
アイシェ「えぇ~もう…マルクったら…!」
マホロア「そのせいでボクはアイシェと間違えて…アァァ…思い出したくも無いヨォ!」
マルク「ボクだってあれは最悪だったのサ!」
アイシェ「え…何かあったの?」
暗闇での出来事を思い出して青ざめた顔をする2人だが、事情を知らないアイシェは目をぱちぱちさせている
マホロア「思い出したダケで悍ましいヨ……アイシェ〜ボクのほっぺにチューしてヨォ~!」
アイシェ「えぇ…恥ずかしいよ…後でね。」
マホロア「アウゥ…お預けかヨォ…マルク、テメーどっか行けヨ!」
マルク「何でボクがお前に指図されなきゃいけないのサ!」
マホロア「ボクとアイシェのイチャイチャタイムの邪魔スンナっテ意味に決まってんダロ、サッサと消エロ!」
頬をやんわりと押されて断られたマホロアは、むにっとされたまま嘆いてマルクに八つ当たりをして再び言い争いになったが…
アイシェ「2人共やめて…きっとそろそろバンワドくんの大太鼓の演奏が始まるから、みんなで行こうよ。」
そう言うとアイシェはマホロアの手とマルクの鉤爪を優しく取って歩き出した。
マホロア「アイシェ………そうダネ、今回は特別に許してヤルヨ。」
マルク「それはこっちのセリフなのサ、とにかく行くのサ。」
3人で仲良く手を繋ぎながら歩いて行くと、アイシェの予想通り…ちょうど演奏が始まる直前だった
カービィ「みんな、こっちこっちー!」
満面の笑みでカービィが手を振り、3人が向かって椅子に座ると…視線の先ではバンワドがバチを持ってスタンバイしていて…
デデデ「それじゃあ行くぞ、大太鼓に合わせてみんな踊れよ!」
合図と共にバンワドがデデデをイメージした赤い大太鼓を叩き始め、続いてワドルディ達も各々の楽器で演奏を始めた。
曲に合わせてみんなが自由に踊り、楽しんでいる様子が伝わってくる
アイシェ「バンワドくん、更に上手になってる。」
カービィ「毎日すごく頑張ってたもんね。」
アイシェ「うん。」
カービィ「ねぇ、ボク達も踊ろうよ!」
マホロア「そうダネ、いっぱい踊って楽しんじゃおうヨォ!」
マルク「アイシェ、行くのサ!」
アイシェ「ふふっ、うん!」
みんなで輪になり、音楽に合わせて踊り…
演奏が終わった後はバンワドと合流して再び屋台を巡った。
バンワド「わぁ~美味しいりんご飴だね!」
カービィ「あっちの焼きそばや綿飴、クレープも美味しいよ!」
バンワド「あははっ…カービィ、ボクはそんなに食べれないよ~!」
カービィ「えへへ…。」
アイシェ「はい、マホロア。」
マホロア「フフッ…ボク、アイシェに食べさせて欲しいナァ?」
そう言ってマフラーを下げて口を開けるマホロアに、アイシェは頬を少し赤く染めつつも優しく笑い…
アイシェ「ふふっ…はい、あーんして。」
マホロア「ア~ン…ンン~~~美味しいヨォ!」
たこ焼きを食べさせて貰えたマホロアは嬉しそうにニコニコしていて、アイシェも嬉しそうに笑う。
みんなでお祭りを満喫しながら食事をしつつ、最後はみんなで花火を眺めた
マホロア「ワァ…綺麗ダネ。」
アイシェ「マホロアと見るのは初めてだね。」
マホロア「ウン、ボクとっても嬉しいヨォ!」
2人でこの景色を見れる喜びに浸りながら夜空を彩る花火を見つつ、お互いにそっと手を伸ばしてぎゅっと握り合った。
To be continued…