夏が終わり秋を迎えたある日、アイシェはマホロアと共にテーマパークの案を練っていた。
マホロア「ミニゲームはアトラクションのメインになるカラ、扉のデザインは大事ダケド…デザインはどうしようカナァ…。」
口元に手を当てて悩んでいるマホロアを見て、アイシェは何かを思いついた様子でポンと手を叩いた
アイシェ「扉の枠をマホロアのフードにするのはどうかな?」
マホロア「エッ、ボクのフード?」
アイシェ「うん、こんな感じに…。」
そう言うと、アイシェは紙にペンでサラサラっとデザインを描き…マホロアはそれを見て目を輝かせた。
マホロア「ワァ~すっごく可愛いヨォ!後はこんな感じにすれば…コレでどうカナ?」
今度はマホロアが案を思いつき、扉の形や色を決めて実際に色を付けると…アイシェの目がキラキラと輝く
アイシェ「わぁ…素敵!」
マホロア「2人デ考えたデザイン…ボクすっごく嬉しいヨォ!」
アイシェ「ふふっ、私も嬉しい!」
とても嬉しそうなマホロアを見て、アイシェも嬉しそうに笑う
その後も2人は意見を出し合いながらデザインを決めていき、だいぶ纏まった所で今日の予定は終了した。
マホロア「2人で考えると早いネ、ソレにアイシェと一緒ダカラすごく楽しいヨォ。」
アイシェ「私もすごく楽しい、それに一緒にデザインを決められて嬉しいよ。」
マホロア「ヨカッタ、また一緒に考えて決めていこうネ。」
アイシェ「うん。」
外観は決まったので、後は細かい装飾やどのミニゲームを採用していくかを決めれば、いよいよ工事に取りかかれそうな所まで来た。もうすぐ夢が叶う、そう考えるだけで2人の心は弾んだ。
マホロア「ンンーーーーッ!」
アイシェ「お茶にする?」
伸びをしてソファで寛ぐマホロアに、キッチンからアイシェが声をかけた。
マホロア「ウン、ゆっくり楽しもうネェ~。」
ルンルン気分でマホロアがアイシェの居るキッチンへ向かおうとしたその時!
カービィ「マホロアー、アイシェー!」
ウィンッ…ローアの扉が開く音が聞こえ、パタパタと足音を響かせながらカービィが入って来た。
マホロア「ヤァ、カービィ!今日はどうしたんダイ?」
マルクが来た時には大抵は塩対応なのに対し、カービィが来た時は基本的にいつも満面の笑みで迎えるマホロアは、どこか彼に対しては甘くていつもとても嬉しそうにしている。
カービィ「果物狩りに行くんだけど、一緒に行かない?」
マホロア「果物狩り…ッテ?」
いつもの笑顔で誘うカービィに対し、マホロアは黄色い瞳をぱちぱちさせながらキョトンとしている…
今までそういった物に興味が無かったので、何の事なのか分かっていないのだ。
カービィ「あ、マホロアは知らないんだね。果物狩りは、秋の果物を収穫して回るんだよ。」
アイシェ「去年カービィとバンワドくん、大王さまとメタさん、マルクも一緒に行ったよね。」
マホロア「ソノ果物狩りっテ、ウィスピーに落として貰うノ?」
カービィ「ううん、今回は果樹園に行って、自分の手で収穫するんだよ。」
アイシェ「マホロア、せっかくだから一緒に行こうよ。」
マホロア「…ウン、行きタイ!」
初めて聞いた事に少しだけ迷いがあったマホロアだが、カービィの話とアイシェの誘いにワクワクした気持ちが湧いてきて…一緒に行く事になった。
カービィ「それじゃあ、ボクはマルクを誘ってくるねー!」
マホロア「エェ~マルクも居るのかヨォ…。」
アイシェ「みんなでやった方が早いし楽しいよ、あっ…でも喧嘩して果樹園をグチャグチャにしないでね。」
マホロア「ヤダナァ~そんなコトするワケ無いデショ!」
アイシェ「ふふっ、約束だよ。」
カービィ「それじゃあ果樹園で待ってるね!」
そう言い残してカービィは元気よく走って外へ出て行き、ワープスターに乗って飛んで行ってしまった。
そしてアイシェも髪を纏めてポニーテールに結ぶと、籠を持ってマホロアと共に外に出た。
マホロア「果樹園って言ってたケド、ドコにあるノ?」
アイシェ「あの山に「グルメット」っていう大果樹園があるの、そこで待ってるはずだよ。」
マホロア「なるほどネェ~ジャア早速向かうヨォ~!」
そう言うと、マホロアはアイシェを優しく抱き上げた。
アイシェ「きゃあっ!」
マホロア「フフッ、アイシェのその反応は相変わらずダネェ~可愛いヨォ。」
アイシェ「マホロアぁ…。」
頬を真っ赤に染めるアイシェを揶揄いつつ、マホロアはグルメットのある山へ飛んで行った。
しばらくしてグルメットに到着すると…様々な果物の木々と共に紅葉した美しい景色が広がっていて、カービィとバンワド、マルクと一緒にタランザの姿もあった。
マホロア「アレ、タランザも果物狩りに来たノ?」
タランザ「ワールドツリーのお世話を終えて帰ろうとしたら、ちょうどカービィとバンワドが通りかかって誘われたのね。」
マルク「待ちくたびれたのサ、さっさと始めるのサ。」
バンワド「それじゃあ、たくさん集めてね。」
マルク「任せるのサ~!」
そう言うとマルクは飛んで行き、柿の木を見つけると…
ズバッ!
鉤爪で柿の実を枝から器用に切り落として籠に落としていく。
アイシェ「マルク、相変わらず上手だね!」
マルク「キシシ、当然なのサ!」
パチパチと拍手をして褒めるアイシェに、マルクは得意げな顔をしていて…それを見たマホロアはやきもちを妬いて眉間に皺を寄せ…
マホロア「ボクだってソレくらい出来るヨォ!」
そう言って近くの梨の木に飛んで行くと魔法陣から小さな風を起こし、木や実を傷つけない様にしながら次々と籠に落とした。
アイシェ「すごーいマホロア!」
青い瞳をキラキラと輝かせて関心しているアイシェに、マホロアの黄色い瞳は弓形に細められて、マフラーの下では口が弧を描く
マホロア「エヘヘ~ボク、アイシェの為にモット頑張るヨォ!」
カービィ「ボク達も摘んで行こう!」
バンワド「うん!」
カービィとバンワドも栗やキウイフルーツを収穫し始め、アイシェもタランザと一緒にぶどうを収穫し始めた
タランザ「上手なのね~アイシェ!」
アイシェ「ふふっ、ありがとうタランザ!」
パチパチと拍手をしながら褒めてくれるタランザに、アイシェも頬を赤く染めつつも嬉しそうに笑った。
カービィ「今年のぶどうも大きいね!」
アイシェの摘んだぶどうを見て、カービィは目をキラキラさせて…
ふわっ…アイシェが収穫したぶどうからは、甘くて濃厚な良い香りがしてきて食欲を唆る。
アイシェ「良い香り…このまま食べてもいいけど、ぶどうジュースにしても美味しそう。」
タランザ「カップケーキに入れたり、タルトにするのもおすすめなのね。」
アイシェ「それも美味しそう、せっかくだからどっちも作ってみようかな。」
タランザ「アイシェの手作り、食べるのが楽しみなのね~!」
その後も、みんなで楽しく会話をしながら収穫していたが…
マルク「柿は終わったのサ~ほらほら、もっと収穫するのサ。」
アイシェ「ひゃっ…あはは…マルクっ…!」
籠がいっぱいになったマルクは、ぶどうを摘んでいたアイシェの脇腹をくすぐってちょっかいをかけ始めた。
マホロア「マルク、テメー何してんダヨ!」
タランザ「ちょっ…止めるのねマルク!」
マルク「ならタランザも…くすぐってやるのサ!」
タランザ「なっ…ちょっ…あひゃひゃひゃひゃ!」
聞いた事の無い笑い声を上げて、タランザはゲラゲラと笑っているが…すぐにまたアイシェの方へ戻って来て…
マルク「ほらほらアイシェ~早くしないとくすぐっちゃうのサ?」
アイシェ「ひゃ…マルクぅ…ダメだって…ばぁ…!」
カービィ「マルク、アイシェ困ってるよー!」
バンワド「邪魔しないで手伝ってよー!」
マルク「邪魔してるんじゃなくて、くすぐってるのサ~。」
屁理屈を言いつつ、イタズラな笑みを浮かべてアイシェをくすぐるマルクだったが…
マホロア「いい加減にしろヨ、クソピエロ!」
怒ったマホロアが降りて来て、マルクの頭上から拳骨を喰らわせた!
マルク「ぎゃっ!!マホロア、何する…」
マホロア「チョット黙っテロ、コノ馬鹿道化師!」
マルク「むぐぐっ…!」
口を開けたマルクに、マホロアは梨をいくつも詰め込んでしまい…マルクは口を閉じられなくなってしまった。
マホロア「アイシェ~コレデ邪魔者は居なくなったカラネェ!」
満面の笑みでブンブン手を振りながら梨の収穫を再開したマホロアに、アイシェは困った笑みを浮かべつつも手を振り返した。
その後、懲りてイタズラを止めたマルクはカービィ達の収穫を手伝い始め、みんなで周りの紅葉を楽しみつつあっという間に籠いっぱいの果物が集まった。
カービィ「これだけあれば充分だね、それじゃあデデデ城へ行こう!」
マホロア「ボク達は、籠をローアに置いてカラ向かうヨォ。」
カービィ「分かった、気をつけてねー!」
そう言うとカービィ達を乗せたワープスターは飛んで行き、その場にはマホロアとアイシェのみになった
アイシェ「楽しかったね、マホロア。」
マホロア「ウン、とっても楽しかったヨ。」
そう言うとマホロアはマフラーを下げてアイシェにキスをして…アイシェは頬を真っ赤に染めながらはにかんだ。
その後…2人はローアに戻って果物の入った籠を食物の保存庫室へ置き、デデデ城へ向かった。
バンワド「マホロア、アイシェー!」
マホロア「バンワド!アレ…ミンナはどうしたノ?」
バンワド「キッチンで、パーティーの料理を準備してるよ。」
アイシェ「私も手伝うよ。」
マホロア「ボクも手伝うヨォ、何でも言ってネ。」
バンワド「ありがとう2人共。」
彼の案内で2人はキッチンへ向かい、カービィ達と共に作っていたデデデ大王やメタナイトと合流し、果物を切ったりお菓子にしたりと楽しい料理の時間を過ごした後、出来上がった料理を大きなテーブルに並べてみんなで食べ始めた。
アイシェ「頂きます…わぁ、美味しい!」
タランザの作った梨のタルトを食べたアイシェは、瞳をキラキラと輝かせた。
タランザ「ありがとうなのね、アイシェの作ったぶどうのタルトも、とっても美味しいのね!」
アイシェ「ふふっ、ありがとうタランザ!」
マルク「お~このモンブラン美味いのサ!」
カービィ「バンワドとボクが作ったんだよ。」
マホロア「ンン~大王とメタナイトの作った、キウイフルーツのケーキも美味しいヨォ!」
メタナイト「それは良かった、それにマホロアが作ったぶどうのカップケーキもとても美味い。」
デデデ「マホロアお前、料理も上手なんだな。」
マホロア「エヘヘ…アイシェと一緒に作ってカラ、上達したんダヨォ。」
頬を赤く染めて照れつつも嬉しそうに笑うマホロアは、耳がピコピコと動いている。
アイシェ「みんなで作って、一緒に食べると美味しいね!」
満面の笑みでそう話すアイシェに、全員が優しい笑みを浮かべながら頷き…楽しいパーティーの時間を満喫したのだった。
To be continued…