プププランドでは、クリスマスの準備が進んでいたが…この日、アイシェはマルクの家に来ていた。
マルク「…で、マホロアに意地悪されてボクの所に来たのサ?」
アイシェ「だって…マホロアがサンタさんは居ないって言うんだもん!」
事の発端は、クリスマスプレゼントを楽しみにするアイシェにマホロアがサンタは居ないと言い、抗議するもイタズラな笑みを浮かべた彼に意地悪され…拗ねてローアをこっそり飛び出して来たと言う
マルク「だからって何でボクの所に来るのサ。」
アイシェ「カービィのお家だと、すぐに分かっちゃうもの。」
マルク「どうせ通信機チャームですぐバレるのサ。」
アイシェ「今日は置いてきたから大丈夫。」
まだ少しだけプンプンしているアイシェを見つつ、マルクはソファでゴロゴロして寛いでいたが…何かを思いついた様でニヤッと笑うと口を開いた。
マルク「なぁアイシェ、ボクと今から飲むのサ?」
アイシェ「え…でもまだ昼間だよ?」
マルク「時間なんて関係無いのサ。ほら、お前が飲めるカクテルもあるぜ。」
そう言いながら、マルクは棚の扉を開けてお酒のボトルとグラスを出し始めた。
アイシェ「(ちょっとだけならいいかな…。)」
後ろめたさはあったものの、少しだけなら…そう思ったアイシェはマルクと一緒に飲み始めた。
マルク「ほら、飲むのサ。」
アイシェ「ありがとう、頂きます…。」
そっとグラスに口を付けてゆっくり飲んでいくアイシェを見つつ、マルクはボトルにドバドバとワインを注ぐと一気に飲み干した。
マルク「キシシ、美味いのサ!」
アイシェ「マルク…そんなに勢いよく飲んだら酔っちゃうよ?」
マルク「こういうのは酔った方が楽しいのサ!アイシェもどんどん飲むのサ!」
アイシェ「あ、マルク…!」
楽しそうに飲みつつ、マルクはアイシェのグラスにカクテルを注いでいき…気がつくと半分飲んでいた。
マルク「大丈夫なのサ?」
アイシェ「ん…ふあぁ…。」
眠気に襲われたアイシェは、目を擦りつつゆらゆら揺れていて…マルクが抱き上げた。
マルク「お前ほんと酒に弱いのサ。」
アイシェ「んん…だって…ぇ……。」
ベッドに運ばれたアイシェだが、今にも寝てしまいそうで…マルクは隣に座ると頭を優しく撫でた。
マルク「アイシェ。」
アイシェ「ん…な…に…?」
マルク「こんなに無防備だと、危ないのサ?」
そう言ってアイシェの手首をやんわり掴み、顔を近づけて囁くマルクだが、彼女は相変わらず眠そうにトロンとした瞳を向けてくるだけで…
枕元の灯りのみの薄暗い寝室で、僅かな灯りに照らされるアイシェの青い瞳、赤く染まる頬、瑞々しい唇にマルクの紫の瞳は少しだけ小さくなり、ごく…と喉を鳴らした。
アイシェ「マル…ク…。」
マルク「…どうしたのサ?」
少しドキドキしつつマルクが返事をすると、ゆっくりと手を伸ばして彼の胸元のリボンをそっと握り…
アイシェ「も…ねむくて…だ…め…。」
その直後、アイシェはゆっくりと瞼を閉じ…規則正しい寝息が聞こえてきた。
マルク「はぁ…無防備過ぎるのサ、アイシェ。」
眠るアイシェに小さく溜息を吐きつつ、鉤爪でそっと頬を撫でると熱が伝わって来る。
マルクはアイシェの隣に横になり、頬杖をつきながら寝顔を眺めた。
アイシェ「すぅ…すぅ…。」
マルク「(友達じゃなかったら、とっくに食われてるのサ。)」
ふあぁ…とあくびをすると、鉤爪でアイシェの手を優しく握り…マルクもそのまま眠りについた。
あれからどれくらい眠っていたのだろう…マルクが目を覚まし、魔法で天井の扉を開けると夕暮れのオレンジの光が差してきた。
ゆっくり起き上がって伸びをしたマルクがアイシェの方を見ると、相変わらずぐっすりと眠っている
アイシェ「すぅ…すぅ…。」
マルク「アイシェ、起きるのサ。」
アイシェ「ん…んぅ…。」
少し身じろぎするものの、アイシェは全く起きる気配は無い。
マルク「早く起きないと、イタズラするのサ?」
ある人物の気配を察知したマルクは、イタズラな笑みを浮かべて舌舐めずりをして、アイシェの首に顔を近づけて大きく口を開けた。
大きく開いた口からは鋭い牙が覗き、アイシェの首に触れる寸前、マルクは背後からの気配に口を閉じるとそのまま口角を上げてゆっくりと振り返った。
マホロア「何してるんダヨ。」
マルク「やっとお迎えが来たのサ?」
視線の先にはマホロアが居て、黄色い瞳はギラギラと光りながら邪悪なオーラを纏い、右手にはバチバチと電気を放つ魔力球が浮かんでいる
マホロア「ボクが近づいてるノ、分かっテやってたダロ。」
マルク「キシシ、お前の反応が楽しみだったからな。」
マホロア「今アイシェにイタズラしタラ、この場で消し去るヨ?」
マルク「おっほっほっほ、嫉妬で狂う魔術師は怖いのサ。」
マホロア「全っ然思って無い癖ニ、よく言うヨォ。」
そう言いつつマホロアが魔力球を消すと、アイシェがもぞもぞと動いて目を覚ました。
アイシェ「ん…マルク…。」
マルク「ほら、お迎えなのサ。」
アイシェ「マホ…ロア…?」
まだ眠い様子でトロンとした目を向けるアイシェだが、マホロアは無言のまま近づいて来て…そのまま抱き上げた。
マルク「意地悪が過ぎると、アイシェに嫌われるのサ。」
マホロア「余計なお世話ダヨ、それより何でアイシェにお酒を飲ませたんダヨ。」
マルク「ただの気まぐれなのサ、それにお前が早く来るのを待ってたのサ。喧嘩は程々にして、さっさと連れ帰ってちょーよ。」
そう言ってマルクは部屋を出て行ってしまい、マホロアは視線をアイシェに向けた。
アイシェ「ん…どして…分かった…の……?」
ゆっくりと青い瞳をマホロアに向けて聞くアイシェだが、マホロアの心配そうに見つめる黄色い瞳が見える
マホロア「まずはローアに帰ロウ…話はそれカラダヨ。」
アイシェ「ん……。」
ゆっくり頷くと、アイシェの瞼はそのまま閉じて…規則正しい寝息が聞こえて来た。
眠るアイシェを連れてリビングへ向かうと、マルクが飲みかけのお酒をグラスに注いでいた。
マルク「また寝ちゃったのサ?」
マホロア「ウン、このまま連れて帰るヨ。」
マルク「手は出さない方がいいと思うのサ。」
マホロア「出さネーヨ。」
そう言い残してマホロアは帰って行き、マルクはグラスに入ったお酒を飲み干した。
その後…ローアに帰ったマホロアはアイシェを自分の部屋のベッドに寝かせ、そのまま隣に横になると頭を撫でた。
アイシェ「すぅ…すぅ…。」
マホロア「何もマルクの所デ飲むコト無いダロ。」
マルクが何もしないのは知っている…とはいえ2人で飲んでいたのは気に入らない…マホロアは眠るアイシェの唇をそっとなぞり、噛みつく様なキスをした。
アイシェ「ん…んぅ…。」
もぞもぞと動いて、アイシェがそっと目を覚ますと…マホロアと目が合った。
マホロア「マルクと2人デ飲むお酒は美味しいノ?」
アイシェ「ん…マホ…怒ってる…?」
まだ眠そうにトロンとした瞳を向けるアイシェ…その頬は赤く染まり、唇も瑞々しくて…マホロアはゴクリ…と生唾を飲んだ。
マホロア「チョットダケ怒ってるヨォ。」
ほんの少し低い声音で囁くと、アイシェに覆い被さり…そっと手を握ると頬に唇を這わせていく。
アイシェ「んん…マホロア…。」
マホロア「ボクが悪かったヨォ…アイシェの反応が可愛くテ、ついやり過ぎチャッタ……キミの言う通りサンタさんは居るヨ。」
アイシェ「ん…意地…悪…。」
マホロア「ゴメンネ、アイシェ…。」
熱い吐息が頬にかかり、少しくすぐったいのと同時にドキドキして…
アイシェ「マホロア…。」
相変わらずトロンとした瞳を向けるアイシェだが、それは眠気から来るものではなくて…頬を真っ赤に染めながらマホロアの手をそっと握り返した
マホロア「…今カラ、イイコトしチャウ…?」
そう話すマホロアの頬も赤く、吐き出される熱い吐息は興奮も混じっていて…アイシェはそっと頭を起こしてキスをした。
アイシェ「うん…いっぱい…愛して欲しい…。」
マホロア「アイシェ…大好きダヨ…。」
何度も熱く囁きながら、マホロアは再び頬に唇を這わせた。
To be continued…