クリスマスを終え、年末の準備や大掃除に入ったプププランド
大晦日の前日、アイシェもマホロアと一緒に、ローアを綺麗に掃除していた。
とはいえアイシェがいつも綺麗にしてくれているので、さほど時間はかからずあっという間に終わった。
マホロア「フゥ…中はピッカピカになったネェ。後は外を綺麗に洗えバ終わりダヨォ。」
アイシェ「ふふっ、ローアも喜んでるよ。」
マホロア「ソレはヨカッタヨォ~!デモ…そろそろボクもローアの声が聞きたいナァ…。」
アイシェ「マホロアも、いつか必ず聞こえる様になるよ。」
そう言って優しく笑うアイシェが愛おしくて、マホロアも優しい笑みを浮かべてぎゅっと抱きしめた。
マホロア「アリガトウ、アイシェ。」
アイシェ「どういたしまして。」
マホロア「サテ…ローアを綺麗にしてアゲないトネッ!」
アイシェ「ふふっ…うん!」
外に出るとホースで水を掛け、タオルで丁寧に拭いていけば…ローアの船体は更に美しく輝いた。
2時間程作業をして、ローアの掃除を終えた頃にはお昼を過ぎていた。
マホロア「アイシェ、お昼にしようヨ。」
アイシェ「うん。」
温かい野菜のコンソメスープにオムライスを食べていると、ローアの扉が開いてマルクとタランザが入って来た。
マルク「マルク参上なのサー。」
タランザ「マルク、お邪魔しますが先なのね!」
マルク「そんなの必要ないのサ。」
タランザ「も~キミは本当にいい加減なんだから…。」
アイシェ「マルク、タランザ、いらっしゃい。」
マホロア「チョット、ボク達のラブラブなお昼ご飯を邪魔しないでヨネェ~。」
マルク「なら、邪魔しない様にボクも食べるのサ。」
マホロア「何でそうなるんダヨ!邪魔しない様にサッサと帰れっテ言ってんノ!」
アイシェ「マホロア、そんな事言わないで…マルクとタランザもオムライス食べる?」
マルク「特盛りでお願いするのサ。」
マホロア「チッ、図々しいクソピエロダヨォ!」
タランザ「ありがたく頂くのね。」
アイシェ「うん、ちょっと待っててね。」
そう言うとアイシェは食べかけのオムライスとスープを残して席を立ち、キッチンで料理を始めた。
マルク「…ちょっと一口。」
マホロア「させネーヨ!」
バチンッ!アイシェの食べかけにそろーっと鉤爪を伸ばしたマルクだが、マホロアが手で叩いた。
マルク「叩く事ねーだろ…。」
マホロア「余計なコトしてないデ、大人しく待ってろヨ。」
そう言い残すと、マホロアは保温の魔法を掛けて席を立ち、アイシェの元へ手伝いに行ってしまった。
マルク「……………。」
タランザ「どうしたのね、マルク?」
突然黙ってしまったマルクを不思議に思うタランザだが、当の本人は頬杖をつきながらキッチンで仲良く調理するアイシェとマホロアを見ていて…
マルク「アイツ…すげーイイ顔してるのサ。」
タランザ「えっ?」
マルク「相変わらず性格は悪いけど、アイシェに対してあんなに優しい顔してるのサ。」
タランザ「確かに…昔のマホロアはあんな顔なんてしなかったからね。」
マルク「他人に心を開く事も無ければ、興味を持つ事も無かったのサ。」
2人の知るマホロアは、嘘で塗り固められた偽りの笑顔…その裏に潜む深く暗いドロドロとした野望…
「虚言の魔術師」その別名の通り、虚言で人々を惑わす冷酷な魔術師…それがマホロアだった
それが今はすっかり鳴りを潜め、友達も愛する人も出来て…素の感情を出す事が増えてきた。
タランザ「カービィやアイシェの存在が、マホロアを大きく変えてくれたのね。」
マルク「アイシェと関わってから、ボク達も変わったのサ。」
タランザ「でも、後悔はしてないでしょ?」
マルク「するはずが無いのサ、あんなに反応が面白い奴は居ねーからな。」
タランザ「(フフッ、素直じゃないのね。)」
マルクとタランザは穏やかな笑みを浮かべ、キッチンで料理する2人を優しく見守るのだった。
その後、美味しそうなオムライスが完成して…
アイシェ「はい、お待たせ。」
マルク「おー、美味そうなのサ!」
タランザ「とっても綺麗なオムライスなのね!」
マホロア「ボクとアイシェが心を込めて作ったんダカラ、ありがたく食えヨ!」
ふわふわのタマゴと美味しそうなケチャップライスの香りが食欲を掻き立て、マルクは舌舐めずりをすると特盛りのオムライスにスプーンを刺し、豪快に掬うとそのまま口にした。
マルク「ん~美味いのサ!」
マホロア「当然ダヨォ!」
ガツガツと食べるマルクに得意げなマホロアを見つつ、タランザもスプーンを手に取ると丁寧に口へ運んだ。
アイシェ「どうかな?」
タランザ「うん、トマトの酸味とタマゴの甘みがマッチしてて、とっても美味しいのね!」
アイシェ「よかった!」
マホロア「ホラ、スープも飲みナヨ。」
そう言ってマホロアはスープの入った容器を2人の前に丁寧に置いて行き…アイシェと共に再び席に着いて食事を再開した。
4人で会話をしながらのお昼ごはんは盛り上がり、2人は本来の目的であった「年末の挨拶」をすると帰って行った。
大晦日、みんなに挨拶を終えたマホロアとアイシェはローアで過ごし…
どこからか鐘の音が響く中、新しい年を迎えた。
アイシェ「マホロア、これからもよろしくね。」
マホロア「ボクこそよろしくネ、アイシェ。」
ぎゅっとアイシェを抱きしめたマホロアだが、その手は徐々に下に下ろされて腰や太ももを撫で始めて…
アイシェ「ま…マホロアぁ…!」
マホロア「フフッ…可愛いヨォ、アイシェ。」
恥ずかしがるアイシェの反応を楽しみつつ、マホロアはアイシェを抱き上げて…そのまま自分の部屋へと向かった。
To be continued…