小説「星夢煌めくPomme d’amour」(スタアラ編)~降り注ぐ異変~

ポップスターから遙か遠くの不気味な星……真っ白なローブと衣装に身を包んだ男がゆっくりと祭壇らしき場所に向かっていた。

ローブの裾は金色の帯、そこには古代文字らしき模様が刻まれていて…その顔は伺い知る事は出来ず、小さく丸い金色に光る瞳が見えているのみ…

袖の長い衣装からは手も見えず「不気味」な風貌を醸し出していて…おでこの部分にも何かの印の様な物がある。

石で出来た階段を上がり、その先にある不気味な祭壇に向かうと…そこには紫の禍々しい「巨大なハート」の形をした宝石が淡い白のバリアに包まれていて…ハートの飾りが付いた4本の鋭い槍がそれを貫く様に刺さっている

祭壇に辿り着いた男が両手を振り上げると、足下から大きな魔法陣が現れていくつもの輪となって禍々しいそれを包み、覆っていたバリアが砕け散った!

禍々しい巨大なハートの宝石は妖しく煌めくと、紫の煙を噴きながら勢いよく真上に飛んで行き…

パアァァァァァンッ!!

眩い光と共に爆発を起こし、無数の光が銀河中に飛び散った!

いくつかの光はポップスターにも向かって行き、プププランドにも降り注いでいく!

ゴゴゴゴゴゴゴ…!!

不気味な音を立てながら光は禍々しいオーラを纏って降ってきて…

メタナイト「これは…何事だ!?」

ギャラクシアの手入れをしていたメタナイトは、その轟音に気がついて空を見上げた。

その光はデデデ城にも迫っていて…

デデデ「今日もいい天気だな~。」

ワドルディ「大王様、お茶をお持ちしました。」

部下のワドルディと共に空を見ていたデデデの元に、他のワドルディが紅茶とミルク、お菓子を持ってきた。

デデデ「ん、ご苦労……ってあれは何だ!?避けろーーーー!!」

ワドルディ「わにゃあぁぁぁぁぁ!?」

そう言うと、デデデはワドルディ達と共に落ちてきた「闇のハート」を間一髪の所で避けた!

ドゴオォォォォン!!

轟音と共にハートは石で出来た床を壊してめり込み…闇の様に暗く禍々しく光ながら、黒い煙を纏っている。

デデデ「何だこれは?…っ…………!?」

そのハートを見た瞬間、デデデは体が金縛りの様に動かなくなり…その体は紫の禍々しいオーラを纏いながら、その瞳はハートに釘付けになった。

その禍々しい光は散歩中だったマホロアとアイシェの元にも迫っていて…

マホロア「ハァ…ハァ…何ダヨコレェ!?」

迫り来る光をかわしながら、マホロアはアイシェの手を引いて必死に走った!

アイシェ「はぁ…はぁ…マホロア…!」

マホロア「ハァ…ハァ…モウ少しでローアに着くカラ、それマデの辛抱ダヨ…!」

アイシェ「はぁ…っ…うん…!」

必死に走り、ローアが遠くに見えてきたその時!

ゴゴゴゴゴゴゴ…!!

大きな禍々しい光が、2人に向かって降ってきた!

マホロア「アイシェ!」

アイシェ「マホロア…!」

ぎゅっ…マホロアはアイシェを強く抱きしめ、精一杯の抵抗で全魔力を集中させて大きなリフバリアを張った。

バキ…パリンッ…リフバリアはヒビが入り、次々と割られていく…

マホロア「クッ…何て強い力ダヨ…ッ…!!」

魔力を注ぎ続けるマホロアだが、リフバリアは限界を迎えていて…これ以上は持ち堪えられない…。

せめてアイシェだけでも…そう思いながらアイシェを抱きしめる手に更に力を入れたマホロア…すると!

パアァァァンッ!

リフバリアが割れて禍々しい光が迫り、目を瞑ってアイシェを庇う様に抱きしめたマホロアだったが…いつまで待っても何も起きない。

ゆっくりと目を開けると大きな影があり…そこにはローアの姿が!

アイシェ「ローア…!」

マホロア「ローア…ボク達を守ってクレタ…ノ…?」

アイシェ「……うん、ローアは私達を助けに来たって。」

マホロア「ありがトウ、ローア…助かったヨ。」

ローアからの声が聞こえてきたアイシェがそう伝えると、マホロアはそっと左手で船体を撫でて感謝して、それに応える様にローアのオールもゆっくりと動いた。

アイシェ「マホロア、もしかしたらみんなも…。」

マホロア「何かしらノ影響は受けている可能性が高いネ…デモ、何か異変があるナラ、アイシェが予知夢を見るハズジャ…?」

アイシェ「うん、でも予知夢は何も見てないの…今まで見てたのにどうして…。」

そう話すアイシェは不安な表情をしていて…マホロアも今までとは違う状況に動揺を隠せないでいた。

一方…眠っていたカービィの元にも光が降り注いできたが…それは今までの様な禍々しい闇のハートでは無く、小さなハートを纏う綺麗な濃いピンク色のハートだった!

そのハートは眠るカービィにぶつかると、小さな煌めきと共にポシュンと消えていき…小さな光がカービィの体を包み込んでキラキラ輝いた。

カービィ「んっ…あれ…何か当たった様な…?」

目が覚めたカービィが辺りをキョロキョロ見渡していると…

ワドルディ「わにゃ!わにゃっ!」

さくらんぼやバナナ、他にも沢山の食料を持ったワドルディ達が目の前の道を駆けて行く。

ワドルディ達が向かうデデデ城の上空には、紫の禍々しい光を放つ黒雲があって…

カービィ「あれは一体…デデデ達に何かあったのかも!?」

驚いたカービィは起き上がってデデデ城へと走り出した。

同じ頃…マホロアとアイシェは、傍を浮きながら付いて来るローアと共にデデデ城へと向かっていた。

アイシェ「お城に不気味な雲が…大王さま達が無事だといいけど…。」

マホロア「きっと大丈夫ダヨ。すぐにこのコトを大王達と共有シテ、カービィとも合流しなキャ。」

そんな話をしながら歩いていると…前方にバンワドの後ろ姿が見えた。

アイシェ「バンワドくん!」

マホロア「ヨカッタ、無事だったんダネ!」

安堵した2人はバンワドの元に駆け寄ったが…振り返る事も無く槍を握りしめている。

アイシェ「バンワドくん?」

バンワド「…………倒す。」

アイシェ「えっ?」

マホロア「アイシェ、危ナイ!!」

アイシェ「きゃあっ!」

バンワドが振り返った瞬間、彼の異変に気がついたマホロアはアイシェの手首を掴んで抱き寄せ…

アイシェが居た場所には、バンワドの槍が刺さった!

マホロア「バンワド…何のつもりダヨ!!」

アイシェ「バンワドくん…!?」

驚きを隠せない2人だが、槍を抜いたバンワドがゆっくりと顔を上げると…その瞳は虚ろで、禍々しい光を宿していた。

To be continued…