小説「星夢煌めくPomme d’amour」(スタアラ編)~マホロアの迷い~

デデデ「よし…俺様も一緒に行くぜ。」

そう言って立ち上がったデデデだが、ふらついてしまい…再びその場に座り込んだ。

バンワド「大王様!」

デデデ「悪いなバンワド…。」

カービィ「デデデ、さっきの戦いのダメージが…!」

デデデ「クソッ…情けねぇ…!」

そう言って拳を握り締めるデデデに、バンワドは優しく寄り添う。

マホロア「(何なんダ…コノ胸騒ぎハ…!)」

カービィ「マホロア、どうしたの?」

落ち着かない様子のマホロアに、カービィが声をかけると…一瞬だけピクッとしたが、すぐにいつもの笑顔で振り向いた。

マホロア「何デモないヨォ…チョット疲れチャッタダケ。」

これ以上カービィに心配をかけたくない…そんな思いから嘘を吐いてしまったマホロアだが、カービィは気づいていて…

カービィ「友達でしょ、嘘は無しだよ。」

マホロア「カービィ……何でか分からないケド、すごく嫌な予感がするんダ…今すぐアイシェに会いタイ…。」

カービィ「うん、一旦戻ろう。」

優しくぎゅっと手を握ってくれるカービィの温もりに、マホロアは安心して…その瞳からじんわりと熱い感覚がする…

デデデをワドルディ達に任せて、カービィ、バンワドと一緒に外に出たマホロアだが…いつもの見慣れた夕暮れにも強い不安を覚えた

マホロア「ウゥ…怖いヨォ…!」

カービィ「マホロア!」

バンワド「マホロア、大丈夫?」

押し潰されそうな不安から、その場に突っ伏してしまったマホロアを心配するカービィとバンワド…

すると…

ア…ロア……!

カービィ「あれ…声が聞こえない?」

マホロア「エ…?」

突っ伏したまま返事をするマホロアだったが…

ロア…マホロア…!

バンワド「ほんとだ、マホロアを呼んでる?」

マホロア「ボク…?」

バンワドの反応に、相変わらず突っ伏したまま返事をするマホロアだったが…

アイシェ「マホロアーー!」

今度は近くで、はっきりとアイシェの声が聞こえた!

マホロア「コノ声ハ…アイシェ!?」

ガバっと起き上がり声のする方を見ると、遠くにアイシェの姿が見える!

アイシェ「マホロアー!」

マホロア「アイシェ~!」

さっきまでの不安はどこへやら…目をキラキラと今までに無いくらい輝かせながら、自分の胸に飛び込んで来るであろう…という期待を込めつつ、アイシェを受け止めようと両手を広げるマホロアだが…

アイシェ「マホロアー!!みんなー!!」

タランザ「応援に来たのね~!!」

よく見ると、アイシェは空から降りて来て…タランザによってお姫様抱っこをされていた。

それにもう1人…

マルク「ボクも居るのサ!!」

煌めきの翼を広げて飛んで来るマルクの姿も見えて…マホロアの表情は嫉妬によって一瞬で眉間に皺が寄り、ビキッと引きつって不機嫌な顔になった。

そんな事は知る由も無く…アイシェはタランザの腕からふわりと地面に降り立ち、マホロアとカービィの元に駆け寄った。

アイシェ「お城の雲が消えたから、ローアから降りて来たの…大王さまは?」

カービィ「操られてたけど、ウィスピーと同じく正気に戻ったよ。」

バンワド「怪我をしてるから、ワドルディ達に大王様をお願いしたんだ。」

アイシェ「そうだったのね、大王さまだけじゃなくウィスピーまで…!」

心配するアイシェと会話するカービィ達とは対照的に、俯いてプルプルしていたマホロアだが…バッと顔を上げるとアイシェをぎゅーっと抱きしめてスリスリした。

マホロア「アイシェ~~~~ボクとーーーっても不安デ寂しかったヨォ!」

アイシェ「マホロア…うん、私も寂しかったよ。」

マホロア「寂しい思いさせてゴメンネェー!モウ大丈夫ダカラ安心して欲しいヨォ!」

アイシェ「ふふっ…うん。」

お互いに抱きしめ合って再会を喜ぶ2人だが…落ち着いたマホロアは、アイシェが何かを持っている事に気がついた。

マホロア「アイシェ、ソレは何ダイ?」

アイシェ「あ、これはね…ドリームロッドっていうの。」

そう言うと、アイシェはローアがドリーム神殿を見つけた事、中で不思議な声が聞こえてきてドリームロッドで願ったら、マルクが呼び出された事を伝えた。

マホロア「カービィの元に落ちてきたフレンズハートと同じ感じデ、ドリーム神殿が現れたのカナァ…いずれにしろこのドリームロッドがあれば心強いネ。それにしてもネェ…。」

そう言うと、マホロアはマルクをジトっと見た。

マルク「何なのサ。」

マホロア「よりによってマルクが呼び出されるなんテネェ~、モット役に立つのも居るハズなのにドリームロッドもウッカリさんダヨォ。」

マルク「ボクが呼び出されると問題があるのサ?」

マホロア「マルクが足引っ張っテ、問題しか起きないんジャないノォ~?」

マルク「そんな訳無いのサ、ボクが居れば百人力なのサ。」

マホロア「不安でしかネーヨ。」

マルク「なら、ここでボクの力を試してみるのサ?」

マホロア「イイ度胸ダヨォ、せいぜいボクの力の前にひれ伏すがイイヨォ。」

アイシェ「やめて2人共、今はそんな事してる場合じゃないでしょ…!」

タランザ「アイシェの言う通りなのね、それにマルクはあのディ…」

マルク「わーーー余計な事言うなタランザ!」

そう言ってマルクは、タランザの口を鉤爪で塞いだ。

マホロア「ハァ?何があったんダヨ?」

マルク「何でも無いのサ!とにかく…この騒動の原因を探しに行くんだろ?」

タランザ「アイシェが予知夢を見ていないのと、禍々しい闇のハート…今回の敵は明らかに今までとは訳が違うのね。」

アイシェ「このままだと、きっとポップスターも…それだけは絶対に止めなきゃ。」

マルク「マホロア、お前はどうするのサ。」

カービィ「その事なんだけど……マホロアが良ければボクは一緒に来て欲しい、力を貸して欲しいんだ。」

マホロア「カービィ…!」

その言葉に、マホロアの心は揺れた…

『ローアが完成しタラ 、キミと遠くへ一緒に旅に出たいナ。』

カービィがローアのパーツを集めてくれていた頃…マホロアは彼にそんな話をした事があった。

当時は嘘がほとんどだったが、旅をしたいと言ったのは本当の気持ちもあって…帰って来た後も、いつか機会があれば…そう思っていた。

クラウンの件で助けてくれたカービィを、いつの日か今度は自分が助けたい…そう思っていたマホロアにとって彼の言葉はとても嬉しくて、やっと彼を助ける事が出来る…そう思う反面、アイシェが心配なのも事実で…

カービィ達と旅をするか、残ってアイシェを傍で守るのか…迷うマホロアは俯いて握り締めた拳に力を込める…

すると、温かい感覚がして…気づいたらアイシェが自分の手を優しく握っていた。

アイシェ「…行って来て、マホロア。」

その言葉に、マホロアは黄色い瞳を大きくして驚いた。

To be continued…