小説「星夢煌めくPomme d’amour」(スタアラ編)~狙われたアイシェ~

カービィ「ありがとう、またねー!」

翌朝、準備を終えたカービィ達はポンとコンにお礼を言って住処を後にすると、要塞へと足を踏み入れた。

禍々しい気配が漂う要塞内には、操られた住民の他にも今回の侵略者達の部下と思われる戦闘員の姿もあった

「ジャハルビート」と名乗る彼等は、手に持った長い棒を自在に振りながら攻撃をしてきたが…これらをかわしてカービィが吸い込んだ事によって、新たなコピー能力「スティック」を習得した。

カービィ達が戦う一方で、プププランドの方にも異変が起きていて…

タランザ「ジャハルビートって言う奴等、ものすごい数が侵攻してきてるのね…!」

マルク「倒してもキリが無いのサ…!」

プププランドの上空を飛びながらジャハルビートの相手をするタランザとマルクだが、次々と召喚されてキリが無い…

デデデもお城の前でジャハルビートを蹴散らしている中、アイシェは中庭で待機するローアの傍で、ドリームロッドを手に空を見上げていた

アイシェ「マホロア…みんな…。」

無事を祈るアイシェ、すると上空を見た事の無い姿の人物が飛んで来て…近くに降り立った。

アイシェはそっと廊下の窓から外を見ると…その人物がジャハルビートと話をしている

???「ここからは強い魔力を感じますわ、この城の主も含めて捕らえなさい。」

ジャハルビート「はっ!」

アイシェ「(強い魔力…タランザとマルクの事…?それにこのままだと大王さまも危ない…!)」

???「あの方の儀式の邪魔だけは避けなくては…。」

そう言ってジャハルビートを送り出した人物…黒い衣装に裾は青く、長い青髪をなびかせている

アイシェ「儀式…何の事か分からないけど、マホロアに伝えなくちゃ!」

急いでその場を後にしたアイシェは中庭に戻り、通信機でマホロアに連絡をした。

マホロア『アイシェ?』

アイシェ「マホロア、大変なの!」

マホロア『どうしたノ!?』

アイシェ「敵がお城に来てて…タランザ達が倒してるけどすごい数で…!』

マホロア『エッ!?』

アイシェ「それに今、黒い衣装に青い髪の女性が来て、強い魔力を感じる…あの方の儀式って言ってたの…!」

マホロア『強い魔力…儀式…一体何のコトなんダ…!』

アイシェ「分からない…でも儀式の邪…」

???「強い魔力を感じるのはここですわね。」

アイシェ「っ…ごめんなさいマホロア、また後で…!」

そう言うとアイシェは通信を切ってしまった!

マホロア「アイシェ、アイシェ!?」

カービィ「一旦デデデ城に戻ろう、嫌な予感がするんだ!」

マホロア「ウン!」

すぐにカービィがワープスターを呼び、4人が乗るとそのままプププランドへ向かって飛び立った!

一方…アイシェはローアの陰に隠れたが、青い髪の人物はローアに近づいて来た。

???「何て美しい船…ワタクシのコレクションに加えようかしら?」

そう言って手をかざすと、冷気を纏って氷柱が現れ…ローアはゆっくりとオールを動かして戦闘態勢に入ったが…

アイシェ「お願いローア、攻撃しないで…!」

今ここでローアが攻撃すれば、お城ごと吹き飛んでしまう…それを危惧したアイシェはローアを止めて出て来た。

???「あら…貴女は?」

アイシェ「やめて…この船を傷付けないで…!」

恐怖をぐっと堪えてそう懇願するアイシェを、その人物はじっと見ていて…ゆっくりと口を開いた。

???「強い魔力の正体…貴女ですわね。」

アイシェ「えっ…?」

強い魔力…一体どういう事なのか?不思議に思うアイシェにゆっくりと近づきながら、その人物は再び口を開いた。

???「美しい少女ですわね……ワタクシの部屋に飾って置きたいくらいですわ。」

アイシェ「貴女は誰…どうして…こんな事をするの…?」

キッス「ワタクシの名はフラン・キッス…我が主の為に様々な星に散らばった「ジャマハート」を集めていますわ。」

アイシェ「ジャマ…ハート…?」

フラン・キッス「ワタクシ達はあれが必要ですが、強い力を持つ者を手先として使う目的も果たさなければなりません。貴女は強い魔力を持っていますわね、その魔力を頂いた後にワタクシのコレクションにして差し上げますわ。」

アイシェ「魔力……私は持ってない…。」

フラン「フフッ…ご冗談はやめて下さいな、こんなに強い魔力を持っているのに。」

怯えるアイシェだが、フラン・キッスは不敵な笑みを浮かべるばかりで、再びゆっくりとアイシェに近づく…

アイシェ「っ…やだ…来ないで…!」

フラン・キッス「フフフッ…。」

恐怖で後ずさりするアイシェだが、相手はどんどん近づいて来る…

アイシェ「(マホロア…!)」

するとアイシェのリボンが淡く光り…

マルク「アイシェ!」

タランザ「アイシェから離れるのね!」

彼女の危機を察知したタランザとマルクが、アイシェの元へ飛んで来た!

キッス「まぁ…邪魔者が現れましたわね。」

マルク「ボク達にとっては、そっちが邪魔者なのサ!」

タランザ「アイシェには触れさせないの、覚悟するのね!」

キッス「ワタクシの邪魔をするのなら、容赦しませんわ。」

そう言ってフラン・キッスが手をかざすと…周りに強い冷気が現れて、氷の斧が現れた!

フラン・キッスは手に持った氷の斧を軽々と振り回したり、氷の塊を投げる等の激しい攻撃をしてくる

それらをかわしつつも、タランザとマルクは連携してタランザボウルやシャドウアッパーを繰り出す。

するとフラン・キッスは体勢を崩し、斧が手から弾かれた!

タランザ「今なのね!」

マルク「いくのサ!」

愛しのワールドツリーとアローアローが同時に放たれ、フラン・キッスに向かって行ったが…

ゴオォォォッ!!

突如、上空から激しい炎が飛んで来て…小さなワールドツリーは焼かれてしまい、アローアローも弾かれてしまった!

上空を見ると、フラン・キッスと似た服装の赤い髪をした人物が燃えさかる剣を持って、こちらを睨んでいた。

???「よくもアタシのキッスちゃんを…許さない!」

タランザ「誰なのね!」

キッス「ルージュさん…!」

ルージュ「キッスちゃん、大丈夫!?」

キッス「えぇ…大丈夫ですから、炎は近づけないで下さいな…。」

彼女の手を取ってゆっくりと立ち上がったフラン・キッスは、再び斧を手に取るとタランザ達を見た。

ルージュ「アタシはフラン・ルージュ!キッスちゃんを傷付ける奴はやっつけてやるんだから!」

キッス「ルージュさん、ワタクシあの子を連れて帰りたいんです。」

そう言って、フラン・キッスはアイシェを見た。

アイシェ「っ……!」

ルージュ「キッスちゃんが気に入ったなら、連れ帰るしかないわね!」

そう言うと、フラン·ルージュも炎の剣を構えて戦闘態勢に入った。

To be continued…