驚きを隠せないマホロアだったが、モニターをしっかりと見ながらゆっくりと口を開いた。
マホロア「ローア…キミの声が聞こえるなんテ……イヤ…それよりアイシェのコトを教えテ…。」
『アイシェはフラン・キッス、フラン・ルージュと名乗る者達に連れて行かれました…。』
そう言うと、ローアは中庭で起きた出来事を全て話してくれた。
アイシェがマホロアと通信している最中に、フラン・キッスが来たので通信を切り…攻撃しようとした自分をアイシェが止めた事…
危機を感知したマルクとタランザが助けに来て、途中から来たフラン・ルージュも相手に激闘を繰り広げ、命懸けでアイシェを守ろうとしていた事…
2人を守る為に、自ら共に行くと言い…ドリームロッドを自分の陰に隠し、それをカービィに渡す様にマルクに伝えた事…
ローアから話を聞いたマホロアは、拳を握り締めて俯いた…
マホロア「…マルクもタランザも一生懸命戦っタ…アイシェも2人を守る為…ボク達の為にドリームロッドを託して自ら…なのにボクは…ッ……!!」
『マスター、カービィ達と一緒にアイシェを助けに行きましょう。』
マホロア「ローア…!」
『アイシェはカービィ達を…マスターを信じています。』
アイシェ「私は大丈夫、星の危機だもん…みんなで力を合わせなきゃ。」
本当は不安で怖くて…寂しくて堪らないのに、アイシェはそんな自分の気持ちを抑え込んでまで送り出してくれた…そして今度は2人を助ける為に自らを犠牲にして、ドリームロッドを…希望を自分達に託してくれた
今の自分に出来る事は、敵地に乗り込んでこの星を救い…彼女を助け出す事
マホロアは自分の部屋に向かい、ボロボロになった服を脱いで着替えると再び操縦室へ戻って来た。
マホロア「ローア、ボク行ってくるヨ。」
そう言い残すと、マホロアは外へ向かったが…
『マスター、私もお供致します。』
マホロア「エッ?」
ローアはそう言った直後に輝いて光となって、そのままマホロアの中に吸い込まれた。
『私の力を使って下さい。』
マホロア「ローアの…力…?」
『必要な時に、私を呼んで下さい。私はいつでもマスターと共にあります。』
そう話すと、ローアの声は消えた。
マホロア「…ありがトウ、ローア。」
心なしか胸がポカポカ温かい…それはローアから授かった力と、アイシェへの想いが自分に勇気をくれたからだと思ったマホロアは、自分の両手を見るとぐっと握り締め…カービィ達の元へと向かった。
カービィ「…………。」
メタナイト「行くぞ、カービィ。」
バンワド「やっぱりもう少しだけ待っても…?」
デデデ「アイシェを助ける為にも行くしかねぇ、それに今のマホロアの気持ちを考えたら無理強いは出来ないからな…。」
カービィ「マホロア…。」
小さく呟いたカービィがワープスターに乗ろうとしたその時!
マホロア「カービィ、ミンナ!」
カービィ「マホロア!」
声のした方を振り向くと、マホロアが少し息を切らして立っていた。
マホロア「ボクも行くヨ!」
メタナイト「だがマホロア、其方は今…!」
マホロア「モウ大丈夫、アイシェは今も頑張っテル…ボク達を待ってるカラ!」
カービィ「うん、一緒に行こう!」
そう言って手を差し伸べたカービィに、マホロアも嬉しそうに笑みを浮かべてそっと手を取った。
すると…
タランザ「マホロア!」
更に遅れてタランザもやって来た。
マホロア「タランザ…!」
タランザ「ボクも行くのね。」
マホロア「タランザ、キミも酷い怪我ヲ…!」
タランザ「ボクはまだ動けるのね、これはアイシェを守れなかったボク達の責任…だから今度こそ守るのね。」
責任を感じているタランザはそう言うが、マホロアはタランザの手をそっと取って口を開いた。
マホロア「タランザ…ゴメン………キミ達はアイシェを守ろうと一生懸命戦ってクレタのに…ボクは感情的になって酷いコトを言ってしまっタ…。」
タランザ「マホロア…!」
マホロア「気持ちはすごく嬉しいヨ…ケド、今は怪我を治すコトに専念シテ。治っタラ、また力を貸して欲しいんダ。」
タランザ「…分かったの、でも怪我が治ったら必ず駆けつけるのね。」
マホロア「ウン。」
デデデ「バンワド、お前も残ってマルクとタランザを看てやってくれないか?」
バンワド「大王様…!」
デデデ「俺様は2人に助けられた、だから代わりになっちまうが…お前に2人を助けて貰いたい。」
バンワド「分かりました、2人が回復したらボクも必ず追いかけます。」
デデデ「あぁ、頼りにしてるぜバンワド。」
バンワド「はい、大王様…どうかご無事で!」
デデデ「ありがとな!」
そう言って、デデデはバンワドの頭をポンポンと撫でた。
メタナイト「では行こう。」
カービィ「うん、アイシェを…この星を助けないとね!」
タランザ「マホロア…最後にもう1つ、これだけ伝えておきたいのね。」
マホロア「どうしたノ、タランザ?」
タランザ「アイシェから…」
こうして…タランザから話を聞いたマホロアは、カービィ達と共にワープスターに乗って再び要塞へと向かった。
その道中、マホロアはタランザから聞いた話について考えていた
マホロア『アイシェが魔力を持っているっテ?』
タランザ『アイシェが大王様の怪我を手当てしていた時…強い魔力の気配を感じたのね。』
マホロア『守護の魔術を掛けてたカラ、ボクの魔力ジャ…?』
タランザ『マホロアの魔力とは明らかに違ったのね…マルクも同じく感じていたの、間違いなくアイシェ自身から感じたのね。』
前にマルクの家に泊まりに行った時にもアイシェは魔力の光が見えている様子で、彼もそんな話をしていた…その後書物を読み漁って調べてみたものの手掛かりに繋がる情報は得られず、今までもマホロアがアイシェ自身から魔力を感じた事は無かった。
その時、マホロアの脳裏をある言葉が過った
その子が内に秘めタ強い力に惹かれてしまっタんダヨォ
星の歯車の冒険をしていた時に別世界の自身が言っていた言葉…あの時はアイシェが持つ芯の強さと優しさの事を言っているのだと思っていた
だが仮にアイシェが魔力を持つのなら、自分よりも強く長くマスタークラウンの影響を受けて増幅した魔力を持つ彼が、アイシェの中に眠る魔力を感知しても不思議では無い
そしてアイシェに強い魔力の素質があるのなら、敵はそれに気づいて連れ去った可能性が高く、万が一無自覚にその魔力が暴走したらアイシェ自身も危ない…
強い不安を覚えつつ、マホロアはカービィ達と共に要塞へと到着した。
同じ頃…アイシェはフラン・キッスによって部屋に閉じ込められていた
キッス「ウフフ…貴女はワタクシの自慢のコレクションになりますわ。」
アイシェ「っ………!」
目の前には彼女と自分の2人きりで緊張が走る中、フラン・キッスは不敵な笑みを浮かべて近づいて来た。
To be continued…