小説「星夢煌めくPomme d’amour」(スタアラ編)~氷華のフラン・キッス~

逃げ場はどこにも無く…アイシェはひたすらに後ずさりをしたが、あっという間に壁に追い詰められてしまった。

キッス「…一瞬で楽になりますわ。」

そう言ってフラン・キッスが手元から冷気を出してアイシェに近づき…

アイシェ「(マホロア………!!)」

目をぎゅっと瞑ったアイシェにそっと手を差し伸べたが…

バチッ!!

大きな音が響いて、フラン・キッスの手を弾いた!

キッス「何ですの…!?」

驚いたフラン・キッスの視線の先では、大きな魔法陣がアイシェを守っている。

アイシェ「(守護の魔術……前よりも大きくて強い…!)」

前にフロラルドに行った時に、マホロアが守護の魔術を強化してくれたおかげで…そう思うアイシェにフラン・キッスは手から冷気を消して距離を取ると魔法陣は消えて、光となってリボンに消えていった。

キッス「何て強い魔法陣…これ以上は近づけないですわね…。」

アイシェ「(マホロア、ありがとう…。)」

心の中でマホロアに感謝するアイシェだが、フラン・キッスは残念そうな様子で…

キッス「貴女をコレクションにするのは諦めた方が良さそうですわね…とはいえ、こんなに強い魔力を持った方を手放すのも惜しいですわ…………とりあえず今は退きます。」

そう言うとフラン・キッスは部屋を出て行き、アイシェはその場にゆっくりと座り込んだ。

アイシェ「マホロア…。」

ケープの裏ポケットにしまっていた通信機チャームを取り出して、胸元でぎゅっと握るアイシェ…それに応えるかの様に、リボンは淡く光っていた。

一方…守護の魔術が発動した事で、マホロアはアイシェの居場所を特定していた。

マホロア「アイシェはコノ奥に居るヨ!」

デデデ「守護の魔術が発動したという事は、何かされたのか?」

マホロア「あれカラ守護の魔術は更にパワーアップしたんダ、相手はアイシェに触れるコトすら出来ないヨ。」

メタナイト「つまり、発動した事でアイシェの無事も確認出来た…という事になるな。」

マホロア「とはいえ、今後何ヲされるか分からないカラネ…急ぐヨ!」

カービィ「うん、早くアイシェを助け出して平和を取り戻そう!」

要塞の中は複雑な地形や危険な棘地帯等がカービィ達を襲うが、力を合わせて進んで行き…

時には大きな岩が道を塞いでいたが…

『マスター、私を呼んで下さい。』

マホロア「ローア…力を貸しテ!」

そう叫ぶと、マホロアは両手を上に掲げ…『コーリングローア』でローアを召喚した。

カービィ「すごい、ローアだ!」

デデデ「けど随分小せぇな…。」

メタナイト「大丈夫なのか…?」

マホロア「大丈夫…ミンナ、ローアに乗っテ!」

彼の言う通りカービィ達が乗ると、ローアは大きくなり…

『今です、マスター!』

マホロア「行くヨォ!」

そう言うと、マホロアは「トベマホローア」を繰り出し、ローアはカービィ達を優しい光りで守りながら硬いブロックを破壊した!

カービィ「すごい…すごいよマホロア、ローア!」

メタナイト「この様な技を…いつの間に習得したのだ?」

マホロア「実ハお城を出発スル前…ローアの声が聞こえる様になったんダ。」

デデデ「アイシェだけじゃなくて、お前も意思疎通が可能になったのか?」

マホロア「ウン、それでローアが力を貸してくれるコトになったんダヨ。」

メタナイト「アイシェを守りたいというマホロアの強い思いに、ローアが応えてくれたのか。」

デデデ「ローアも居るなら心強いな。」

カービィ「ありがとう、ローア!」

マホロア「…フフッ、ローアはどういたしましテって言ってるヨ。」

カービィ「えへへっ!」

嬉しそうに笑うカービィに、マホロア達も自然と笑顔になり…再び道を進んだ。

時には鍵を持つウォンキィを、新たな技「フレンズ吊り橋」で扉まで導いたりしつつも進み…

長い回廊を進んだ先で、禍々しい闇のハートを見つけた!

デデデ「あのハートは!」

マホロア「ついに追い詰めたヨォ!」

メタナイト「今度こそ破壊せねば!」

そう言って斬りかかろうとしたメタナイトだったが…

上空から人影が現れて、闇のハートをサッと奪い取り…そのまま懐に隠してしまった!

カービィ「あっ!」

メタナイト「誰だ!」

カービィ達の視線の先に居るのは、青い髪に黒い衣装の女性…

マホロア「(まさかアイシェを攫っタ…!?)」

最後にアイシェと通信した時に聞いた特徴と一致している事に気づいたマホロアが、バチバチと魔力球を出して構え始めると…

???「…ジャマハローア。」

カービィ「えっ…?」

キッス「フフッ、これは我々の星の挨拶ですわ。ワタクシは暗黒要塞ジャマハルダを指揮する三魔官が1人、フラン・キッス…。」

マホロア「(ローアが教えてくれた奴の1人ダ!)」

今すぐにでも攻撃をしたい衝動を抑えつつも、マホロアが様子を見ていると…フラン・キッスは再び口を開いた。

キッス「…この宇宙に散った闇の心「ジャマハート」が集いし時……ワタクシ達の悲願がついに…叶う。」

メタナイト「ジャマハート…悲願だと?」

デデデ「何の悲願か知らねぇが、お前達の思い通りにはさせねぇぞ!」

マホロア「アイシェを攫ったのはテメーだな、返して貰うヨ!」

カービィ「アイシェにもこの星にも、手出しさせないよ!」

キッス「あら…あの子の知り合いですのね。無駄な殺生はしたくありませんが、邪魔立てするのであれば……ワタクシ…この氷華の三魔官フラン・キッスが、氷漬けにして差し上げますわ!」

そう言うと、フラン・キッスは氷の斧を取り出した!

こうして…カービィ達とフラン・キッスによる戦いの火蓋が切って落とされた!

フラン・キッスは手に持った斧を振り回した後に突進して来たり、そのまま振り上げて真下に攻撃してきたりとどれも強力な技ばかり

それらをかわして攻撃していたカービィ達だが…氷の塊を飛ばした直後…

マホロア「危ナイ、大王!」

デデデ「ぐっ…うわぁっ!!」

気づいたマホロアが声を掛けたが、氷の塊に足を取られ…直後にフラン・キッスが巨大化した斧を放って凍ってしまった!

メタナイト「大王…くっ!」

カービィ「デデデ!」

マホロア「今、助けるヨ!」

すぐに駆けつけたマホロアがレボリューションフレイムで氷を溶かし、デデデは復活した。

デデデ「すまねぇマホロア、ありがとな!」

マホロア「どういたしましテ!」

キッス「諦めなさい!」

そう言って再び氷の塊を飛ばしてきたが…

メタナイト「そうはさせない!」

カキンッ、ガキンッ!

メタナイトがギャラクシアで氷の塊を斬り、カービィがスティック、マホロアがレボリューションフレイムで攻撃をする!

キッス「くっ…あぁ…!」

そして最後はデデデが大ジャンプをして…

デデデ「喰らえぇぇぇぇーーーーー!!」

そう叫んで、強力な「鬼殺しデデデハンマー」を炸裂させた!

キッス「きゃあぁぁぁーーーーーーーー!」

止めの一撃を受けたフラン・キッスはジャマハートを落として吹っ飛び、地面に叩きつけられた!

カービィ「やった!」

デデデ「よし、倒せたな!」

マホロア「早速アイシェの所に案内させテ…」

メタナイト「待て、ジャマハートが…!」

ジャマハートはゆっくり浮かび上がると禍々しいオーラを出していて…

キッス「くっ…!」

起き上がったフラン・キッスはサッとジャマハートを再び奪い取ると、その場を飛び去った!

マホロア「待テ!!」

カービィ「追いかけよう!」

逃げたフラン・キッスを追い、カービィ達は更に奥へと進んで行った。

To be continued…