その後…ビートが持って来た食器にアイシェが食べ物を分けて、仲良く食べ始めた。
その時間はとても和やかで…痛みも苦しみも忘れてしまう程だった。
パルル「ごちそう様、こんなに楽しい食事をしたのはいつだったか……。」
キッス「そうですわね…またハイネス様とこんな風に…。」
ルージュ「大丈夫よ、ハイネス様の…我々の悲願が達成されればきっと。」
パルル「…では、我々は行こう……また後で来る。」
そう言うと、パルルは2人と共に部屋を出て行き…その場にはアイシェとビートが残された。
ビート「…アイシェ。」
アイシェ「どうしたの、ビート?」
ポツリ…と呟く様に名前を呼ぶビートにアイシェが優しく接すると、ゆっくりと口を開いた。
ビート「アイシェの星は…どんな所なんですか?」
アイシェ「えっ…ポップスターの事?」
ビート「私は今まで他の星を見た事がありませんでした…けど、要塞ジャマハルダと共にあの星に降り立った時、とても眩しくて不思議な気持ちを感じたんです。今も貴女とこうして話して食事を共にして…胸の辺りが温かく感じる…これが何なのか知りたいんです。」
アイシェ「それは…心が幸せを感じてるんだよ。」
ビート「心が…幸せを感じてる?」
アイシェ「ポップスターはね…」
そう言うと、アイシェはポップスターの事…プププランドの事…住民達の事を話した。
ビート「アイシェのその優しさや温かさは、ポップスターで育まれたものなんですね。…こことは全然違う…。」
アイシェ「ビート……ハイネスについて教えて…一体何をしている人なの…それにパルル達は…。」
ビート「……実は詳しくは私にも分かりません…今まで我々は魔神官ハイネス様を信じてここまで来ました。ですが…今、私は心が揺らいでいる…このままで良いのか…と。」
アイシェ「ビート…。」
ビート「…今日はもうお休み下さい、アイシェ。」
アイシェ「うん…。」
ビート「それでは…。」
少し名残惜しそうにしつつもビートは部屋を出て行き、アイシェも傍のベッドに入り…そのまま瞼を閉じて眠りについた。
それぞれの場所で一夜を過ごし…
翌日、マホロア達は惑星フォルアースを進み始めた。
急な坂や足場が続くエリアを抜けて行くと、強力なバリアが貼られていたが…フッと消えた。
メタナイト「光が消えたな。」
スージー「禍々しい気配も消えたわね。」
マホロア「コノ辺の強い力も感じないカラ、奴等の本拠地のバリアを解除出来たんジャないカナ。」
デデデ「スージーの予想が当たってたみてぇだな。」
カービィ「このまま次の星も行こう。」
ワープスターに乗り次の星「小惑星フォルナ」へ向かったカービィ達は、ここでも順調に進んで行ったが…
ジャマハートを見つけたが飛び去って行き、代わりにコロコロと転がって来たのは…さくらんぼ。
マホロア「さくらんぼ…どうシテ?」
スージー「気をつけて、この先に強い反応があるわ。」
機械を見ながら警戒を促すスージーに、カービィ達にも緊張が走る。
デデデ「行くぜ、準備はいいか?」
マホロア「バッチリダヨ。」
メタナイト「いつでも大丈夫だ。」
カービィ「行こう!」
気を引き締めたカービィ達が進んで行くと、奥に居たのは赤色に染まった葉に季節外れの桜を咲かせた大きな樹木…
すると、樹木が大きく揺れ出して…顔が出現した!
ユグドラルウッズ「ワシはユグドラルウッズ、この地を荒らす者共は…許さん!」
そう言うと、ユグドラルウッズは攻撃をしてきた!
基本的な攻撃はウィスピーと同じものの、速さや攻撃力はこちらの方が高くカービィ達を翻弄する。
スージー「アタシ達はこんな所で足止めされてる場合じゃないのよ!」
マホロア「行くヨ、スージー!」
合図と共にマホロアがレボリューションフレイムを放つと、スージーの持っているH.W.C.製レーザーガンは炎を纏い、メラーガスージーとなった!
スージー「マホロアとアタシの合わせ技で…駆除致しますわ!」
上下に火炎放射を撃ちながら、落ちてくるさくらんぼを焼くスージーだったが…
カービィ「危ない、ゴルドーが!」
そう叫んだカービィの視線の先には、スージーの頭上にゴルドーが迫っていた!
スージー「きゃあぁっ!」
カキンッ!
ゴルドーが当たる寸前にメタナイトがスージーを抱き寄せ、ギャラクシアで弾き返した!
メタナイト「怪我は無いか?」
スージー「え……えぇ…ありがとう…!」
メタナイト「其方が頑張っているのは分かっているが、無理はするな。」
それだけ言うと、メタナイトはスージーから離れてユグドラルウッズに向かって行き…スージーは少しの間、その場で頬を真っ赤に染めて立ち尽くしていた…。
その後…ユグドラルウッズを撃破し、ここのバリアも解除された。
再びワープスターに乗ったカービィ達は、遙か先の星を囲うバリアが減っている事に気がついた。
マホロア「バリアが順調に減っテル…どんどん行コウ。」
デデデ「次はどの星だ?」
スージー「ここからだとあの星「惑星ミスティーン」が近いわね。」
メタナイト「見た感じ、海の星の様だな。」
カービィ「どんな場所でもボク達は進むよ、アイシェとポップスターを助けないとだからね。」
カービィの言葉に、マホロア達も強く頷き…一行は惑星ミスティーンへと降り立った!
一方で…アイシェはビートと共に食事を終えていた。
ビート「一緒に食べると心が暖かくなります…これもポップスターでは日常なんですね。」
アイシェ「うん、とっても暖かくて幸せな日常だよ。」
ビート「……アイシェ。」
アイシェ「どうしたの?」
ビート「…ここに居る間、貴女は私が守ります。」
アイシェ「ビート…!」
ビート「それが今……私の中で湧きあがった気持ちなんです。」
それだけ言うと、ビートは食器を持って部屋を出て行き…
アイシェ「…ありがとう…ビート…。」
ビートに感謝するアイシェだが、同時に自分を守り深手を負ったマルクとタランザが今どうなっているのかという心配…そしてマホロアが恋しくて…青い瞳をそっと伏せ、寂しげな表情で通信機チャームをぎゅっと握り締めた。
To be continued…