小説「星夢煌めくPomme d’amour」(スタアラ編)~星誕ニル~

我ハ……真 破神エンデ·ニル…

滅ビノ…神……

蘇って更に強大な力を得た真 破神エンデ·ニルは、禍々しい闇を纏いながらカービィ達を見下ろしていて…

カービィ「行くよ、みんな!」

再びティンクルスターアライズに乗り、戦闘態勢に入るカービィ達だが…マホロアだけは絶望の表情を浮かべたまま、蘇ったエンデ・ニルを見つめている…

マホロア「アイシェ…アイ…シェ……。」

目の前で飲み込まれてしまった…また助ける事が…守る事が出来なかった……

黄色い瞳は光を失い、両手もだらんと力なく垂れていて…もう戦う意味すらも失っていたその時…

アイシェ『マホロア…!』

小さく、しかしはっきりとアイシェの声が聞こえて…彼女の魔力もしっかりと感じ取ったマホロアの瞳には再び光が宿り、ハッとした表情で辺りを見渡した。

マホロア「アイシェ…ドコに居るノ!?」

アイシェ『エンデ・ニルの中に居るよ…私の魔力で更に強くなってる…マホロア…ニルを止めて…!』

マホロア「アイシェ……分かっタ!」

タランザ「マホロア、アイシェの気配を感じたのね!?」

マホロア「ウン、アイシェはアイツの…真 破神エンデ・ニルの中に閉じ込められてるんダ!」

マルク「という事は、あのデカブツをまたひっくり返して内部に入ればいいんだな!」

カービィ「行こうみんな、アイシェを助けなきゃ!」

激しい戦いの直後にも関わらず、カービィ達は再びエンデ・ニルとの戦いを始めた。

先程と違って目玉は同時に出現していて、その攻撃もより激しく強くなっていたが…それぞれ一斉に目玉の場所を同時に攻撃して、エンデ・ニルの体力を削っていく

すると…エンデ・ニルは倒れてカービィ達は中へ吸い込まれた。

マホロア「アイシェ!」

スージー「どこにも居ないわ…!」

バンワド「まさか…あの殻の中に…!?」

バンワドの言葉に嫌な予感がしたマホロアが気を集中させると…殻の中から僅かだがアイシェの気配を感じた!

マホロア「バンワドの言う通りダ…アイシェはコノ中に居ル!」

カービィ「すぐに助けなきゃ!」

エンデ・ニルの中身もパワーアップしていて、強力な攻撃と悍ましい気がカービィ達を襲い、恐怖で支配しようとする…

メタナイト「集中力を切らすな、奴に取り込まれるぞ!」

湧きあがりそうになる恐怖を押し殺しながらカービィ達が殻を攻撃し続けると、先程とは違って殻がそのまま剥けて外に吐き出された!

マルク「くそっ、また吐き出されたのサ…!」

デデデ「けど殻は剥けた、もう一度中に入れば今度こそアイシェを…!」

体勢を立て直し、カービィ達は再びエンデ・ニルとの戦いを再開した

2本だった虹色の弓は4本に増え、連続で2回発射して来るなど激しさも増し…斧による叩きつけや衝撃派も速さと回数が増してより強力になっている

それでもカービィ達が攻撃を続けていると、最後の弱点がおでこに現れたが…その頭上に今度は翼を生やしたマスタークラウンが現れた!

カービィ「マスタークラウン…!?」

マホロア「どうシテ…アレはブッ壊したノニ…!」

動揺を隠せないカービィとマホロア…するとマスタークラウンの様な物体は消え、何と2つに分裂して無数のビームを同時に撃ってきた!

メタナイト「危ない!」

カービィ「わっ…!」

マルク「おわっ!」

タランザ「くっ…!」

ギリギリの所で避けたが、今度は3つに増えてビームの撃つ法則も変わり…最終的には4つになって円を囲う様に動きながら太く大きなビームを、カービィ達を追尾しながら撃ってきた!

メタナイト「マスタークラウンはマホロアが壊したはずだ、何故ここに…!?」

デデデ「理由は分からねぇが、破神だから力に飲まれる事も無く使役してるみてぇだな…!」

何とか逃げ切りながらも攻撃をしていくと、エンデ・ニルは咆哮と共に墜落して再び地面に倒れ、顔が外れて中へ吸い込まれた

中に入るとエンデ・ニルは先程とは色も変わり、真っ白な体に強いエネルギーが駆け巡っている…

しかしカービィ達を見ると攻撃態勢に入り、速く球数の多い弾幕を飛ばしてきたり、激しい雷の様なビームを撃ってきた。

マルク「ぐあっ!」

バンワド「あうっ…!」

メタナイト「マルク、バンワド!」

デデデ「こいつ…よくも!」

メタナイト「待て、大王!」

デデデ「ぐっ…がはぁ…っ…!」

激しい攻撃を受けて地面に叩きつけられたマルクとバンワド、それに怒ったデデデが飛び上がるも…ニルの攻撃を真正面から受けてそのまま地面に落ち、持っていたハンマーが音を立てて転がり…

スージー「きゃあっ!」

メタナイト「スージー!ぐっ…あぁぁ…!」

飛んで来た棘にスージーが襲われ、庇ったメタナイトと共に倒れた…。

タランザ「はぁ…はぁ…みんな…!」

魔法陣でバリアを貼るタランザも限界を迎えていて息は荒く、全員が満身創痍の状態だった…

カービィ「このままじゃアイシェが…!」

マホロア「アイシェ…!」

一方…アイシェはニルの中で意識を失っていたが、そっと目を覚ました。

アイシェ「マホロア…みんな…?」

再び目を閉じると…頭の中にマホロアやカービィ達が傷だらけの様子が伝わって来る…

すると、目の前に小さな小さな光が現れた。

その光は弱々しく、今にも消えてしまいそうで…そこから悲しい気持ちが伝わってきた

…それは星誕ニル…楽しい世界を知る事を夢見ていた…

ずっと昔…夢を見ていたんだ…

そこでは自由に飛んで、ご飯を食べてお昼寝もする…

そう…友と出会うあの夢を…!

けれど…苦しくてつらい感情が流れ込んできた…

痛くて悲しくて…蹂躙する事しか知らない…悪夢の様な…

負の感情は底なし沼の様に深く悲しくて…これはニルの悲しみなんだと気づいた。

すると…アイシェの頭の中にマホロア達の姿が浮かんで…

マホロア『アイシェ、愛してるヨ。』

カービィ『アイシェ、今日は何して遊ぶ?』

バンワド『今日はホットケーキを焼いたんだ、アイシェも一緒に食べよう!』

デデデ『おっ、今日も元気だな~アイシェ!』

メタナイト『またいつでも遊びに来てくれアイシェ、皆が楽しみに待っている…もちろん私も。』

マルク『キシシ、アイシェはホント揶揄い甲斐があるのサ!』

タランザ『今日はフロラルドからお花を摘んで来たの、アイシェにプレゼントなのね!』

スージー『アイシェ、またアタシと一緒にアイスを食べながらたくさんお話しましょうね。』

ドロッチェ『また会おう、アイシェ!』

アドレーヌ『アイシェちゃん、またお茶会しようね!』

リボン『アイシェちゃんと遊べるの、楽しみです~!』

アイシェ「(みんなの声が聞こえてくる…暖かい気持ちが伝わってくる……)ニル、あなたは1人じゃないよ。この暖かい愛を知って欲しい…そして…みんなと友達になろう?」

そう言うとアイシェは、ゆっくりと手を伸ばして光を抱きしめ…そっと目を閉じた。

To be continued…