小説「星夢煌めくPomme d’amour」(スタアラ編)~救われた命と引き換えに…~

マホロア達の上に、キラキラとした暖かい光が降りて来て体を包み込み、傷や疲れが癒えていく…

カービィ「この光は…?」

不思議に思うカービィ…すると、倒れていたマルク達も次々と目を覚ました。

マルク「うっ…これは…まさか…。」

マホロア「…アイシェ…アイシェの魔力ダ…。」

カービィ「アイシェがボク達を癒してくれた…助けてくれたんだね。」

そっと両手を前に出したカービィの元に、暖かい光が当たっては消えて…どんどん力が湧いてくる。

アイシェ『みんな…。』

バンワド「…アイシェの声が聞こえてくる。」

アイシェ『みんな…星誕ニルを…助けて…。』

タランザ「星誕…ニル…?」

アイシェ『ニルは空を飛んでご飯を食べてお昼寝をする…友と出会う夢を見ていたのに…負の感情が流れ込んできて苦しくて悲しんでる…。』

カービィ「ニルが…そんな悲しい思いを…!」

アイシェ『私…ニルを助けたい…願いを叶えてあげたいの…お願い…私と一緒に…ニルを…。』

マホロア「アイシェ…!」

マルク「アイシェ…お前こんな時まで優しいのサ。」

スージー「それがアイシェなのよ、彼女の優しさでアタシ達は救われたんですもの。」

タランザ「アイシェが傷と疲れを癒やして勇気を与えてくれたの、だからボク達はアイシェと一緒にニルも救うのね。」

デデデ「そうだな…ニルの願いを叶えて、アイシェと一緒に帰るぞ。」

バンワド「帰ったら、またみんなで一緒にご飯を食べようね、アイシェ。」

メタナイト「アイシェ、我々はいつでも其方と共にいる。」

カービィ「アイシェが待ってる…行こう、マホロア。」

マホロア「ウン、アイシェ…今行くカラネ。」

全員が顔を見合わせて頷くと、再びニルと対峙した!

ニルは相変わらず激しい攻撃と共に、4体に分裂して笑顔で鋭い棘を伸ばしてきたりした

デデデ「いい顔で笑うじゃねぇか。でもな…そんな棘を出さなくたって、一緒に飯食ったり他愛のねぇ話をしてるだけでも楽しくて笑顔になれるんだぜ。」

そう言ってデデデのハンマーがニルに当たると、次は跳ね回りながら押し潰そうとしてきた

メタナイト「力比べなら、いつでも受けて立つぞ。」

ニルの攻撃を避けつつ、メタナイトのギャラクシアによる剣が攻撃を弾き返す

シューターカッターの様な物をたくさん飛ばしてくれば…

マルク「おっ、ボクの攻撃を真似てるのサ?なら一緒にイタズラも出来そうなのサ。」

タランザ「一緒にお花を愛でるのも悪くないのね。」

マルクの魔法とタランザの花を使った魔術がニルを包む

鏡の様なエネルギー体を出して、ビームを跳ね返しながら攻撃したり、ダークマターの様な形態になって無数のビームを放ってくるニルだが…

バンワド「そんな怖いビームを出さないで…みんなと一緒に遊ぼうよ、そして美味しいおやつを食べるんだ。」

スージー「とっても美味しいアイスクリーム、食べさせてあげるわよ。」

バンワドの槍とスージーのレーザー、リレインバーの攻撃がビームをかわしつつ炸裂する

最後はニル自身がエネルギーを凝縮したブラックホールの様な姿になり、たくさんの星を飛ばしながら炎を纏って突進してきた。

アイシェ「(怖がらないで…ニル…もう大丈夫…貴方は…1人じゃ…ないよ…。)」

ニルの中に取り込まれているアイシェは、そっと寄り添い優しく言葉をかけて…最後の力を振り絞ってニルの「心」に魔力を注ぎ…温もりで包み込む

カービィ「ねぇ…太陽ってとっても暖かくてお昼寝にぴったりなんだよ、それに星はとってもキラキラしてて綺麗なんだ。」

マホロア「キミにもソンナ素敵な世界を見せてアゲルヨ。」

そう言ってマホロアはウルトラソードでニルを斬り、カービィが突く突く棒で攻撃すると…

ニルは様々な表情をしながら爆発を繰り返し…最後はカービィの様な表情をしながら、たくさんの色とりどりな星を散らして眩い光を放ち消滅した。

アイシェ『よか……った…………。』

ニルの大きな体は消え、浮かんでいた光からアイシェの声が聞こえてきた直後

アイシェは光からそっと落ちて来て…

マホロア「アイシェ!」

浮かび上がったマホロアがアイシェを受け止め、そのままゆっくりと着地して…カービィ達はニルが消えた宇宙を見上げていた。

カービィ「ニル…消えちゃったね…。」

メタナイト「だが、今度こそ楽しい場所へ辿り着けるだろう。」

デデデ「そうだな。」

バンワド「後はアイシェが目を覚ますだけだね。」

そう言ってマホロアの方を見たカービィ達だが…

マホロア「アイシェ…?」

彼の腕の中でアイシェは目を閉じたままで…目覚める気配は無い

そして変化はそれだけでは無くて…カービィの様にほんのりピンクな頬も白く、体は冷たくて…眠っている様な表情なのに…息をしていなかった。

マルク「おい…アイシェ…嘘だろ?」

何度も揺さぶるマルクだが、アイシェは目を覚まさず…マホロアがそっと手を握りしめても、その手は動かない。

マホロア「ネェ…嘘ダロ…アイシェ……だって約束したヨ…必ずミンナで戻るっテ……起きてヨ…起きてヨォ…アイシェッ!!

大きな声でアイシェを揺さぶるマホロアだが、それでもアイシェが目を覚ます事は無かった。

タランザ「そんな…アイシェ…!!」

スージー「どうして…どうしてなのアイシェ…ッ!!」

メタナイト「まさか…魔力でニルや私達を救おうとして…!!」

デデデ「アイシェ…お前が命を落とす事無いじゃねぇか…!!」

バンワド「嫌だ…嫌だよアイシェ!!」

カービィ「アイシェ…目を開けてよ!!」

マホロア「アイシェ…アイシェェェ……ッ!!ウッ…ウアァァァァ………ッ……!!」

マホロアはアイシェを強く抱きしめ、その黄色い瞳からはボロボロと大粒の涙が溢れてきて…アイシェの頬に零れ落ちていく…

メタナイトとデデデは俯いて拳を握り締め…カービィ達も泣きながら俯いた…

マルク「クソッ…クソッ…何で…何でこうなるのサッ!!」

泣きながらマルクは翼を何度も地面に叩きつけ、皆は深い悲しみに包まれ…

アイシェ『私、この世界に生まれ変われて、とっても幸せだよ。きっと神様が願いを叶えてくれたんだね。』

かつてアイシェが心から嬉しそうに、幸せそうに言っていたのを思い出したマホロアは、ぎゅっと目を瞑った。

マホロア「アイシェ…アイシェ……ッ……!!」

神様なんテ信じて無いケド……

もし居るのナラ…今ダケは願わせてヨ……

アイシェが帰って来るのナラ…ボクはモウ…意地悪しないしイタズラもしない…嘘も吐かないカラ……

ダカラ……ッ……

モウ一度……アイシェを助けテ!!

To be continued…