小説「Aiming for the ground Octo」~戦う(守る)決意~

ざくろ「うっ…え…あぁぁ…ひっく…ひっ…ぐ……!!」

タキ「…………っ……………!!」

大粒の涙を流しながらその場で泣き崩れるざくろ…

タキも自分が助けてあげられなかった強い罪悪感に襲われ…ざくろに声を掛けられず、その場に立ち尽くした…

しかし、その時ふと頭の中で思い出された事があった。

それは昔…自分がつらくて泣いてしまっていた時に、まめみが傍に寄り添って背中を優しく撫でていてくれた事…

彼女の手の温もりと優しい手つきに心がとても落ち着いたのは、今でもはっきりと覚えている…

タキはそっとざくろに近づいて傍に膝を付き、彼女の背中をそっと優しく撫でた。

ピクッ…最初は小さく震えたざくろだったが…

ざくろ「タ…キ…タキ…あぁぁぁぁん…!!」

自分の胸に抱きついて大泣きするざくろに、タキは驚いてしまったが…

タキ「…落ち着くまでずっとこうしてるよ。」

そう言って、ざくろが泣き止むまでずっと背中を撫で続けたのだった。

しばらくしてざくろが落ち着き…彼女はサマーニャから託されたオクタシューターを見つめて口を開いた。

ざくろ「タキ…あたし…たた…う…。」

タキ「え…?」

ざくろ「せ…ぱい…なかまたち…のため…あたしも…たた…か…う!」

タキ「ざくろ…!」

ざくろ「おねがいタキ…つれ…てて…!」

辿々しいイカの言葉で強い決意を伝えるざくろの赤い瞳を真っ直ぐに見て、タキも口を開いた。

タキ「…俺の背中を、預けていいかい?」

ざくろ「うん…まか…て…!」

タキ「分かった、頼んだよざくろ!」

ざくろ「うん!」

タキ「とりあえず…まずはこの部屋から出よう…話はそれから…」

ガタンッ…!タキが話し終える前に、彼が最初に調べようとした机から大きな音がした。

ざくろ「な…に…?」

タキ「何も居ないみたいだけど…。」

不思議に思う2人がブキを構えつつもゆっくり机に近づくと…

そこにはとても小さなタコスタンプが居て…怯えた様子でプルプルしていた。

ざくろ「この…こ…。」

タキ「これは…ミニタコスタンプ…それにしても随分小さいけど…?」

ざくろ『貴方、タコスタンプの赤ちゃんだよね?』

タコスタンプ「ぴ…ぴぇ…。」

怯えてプルプルしているが、ざくろは優しく笑いながらそっと手を差し出した。

ざくろ『大丈夫、あたし達は敵じゃ無いよ…一緒にここを脱出しよう?』

そう言うと、タコスタンプの赤ちゃんはざくろをじっと見つめ…彼女の差し出した手にピョンと飛び乗った。

タキ「ざくろ…この子は一体…?」

ざくろ「このこ…たこ…すたんぷ…あか…ちゃん…いっしょ…いく。」

タキ「そうだったのか…きっと他のタコと一緒に攫われて…でも小さかったから逃げても気づかれずに済んだんだね。」

タコスタンプ「ぴっ!ぴっ!」

ざくろの手の平でピョンピョン跳ねるタコスタンプの赤ちゃんに、2人は優しく笑ったが…タキはふと机の上に置いてあるディスクと機械に気がついた。

タキ「これは…?」

近くにあったパソコンにディスクを入れて、タキは操作を始めた。

すると大きなモニターにはマップが表示されて…

ざくろ「タキ…これ…は…?」

タキ「これは…この施設の地図だ!」

イカとタコの言葉に翻訳する機能があったので、それに翻訳して読んでいくと…

この施設は深海にある「ネル社」の実験施設である事…

イブクロ消毒場という場所で消毒されている事…そして…頂上が地上へ通じている事…

そして、タキとざくろは知ってしまった…

この巨大な地下施設「ネル社の秘密と計画」を…

タキ「っ…これは…!!」

ざくろ「タキ…!!」

このままではイカ達はおろか…世界すらも崩壊の危機に晒されてしまう!

何よりも大切な…最愛のまめみも危ない…!

させるものか…今も自分の帰りを待ち続けるまめみの為にも…!

タキ「この計画を必ず阻止してみせる!」

ざくろ「あたしも…まも…る…みんな…ため…に!」

強い決意を胸に、タキは近くに置いてあった「職員用のNAMACO端末」を手に、ざくろと共に行動に移ったのだった。

同じ頃…ルイはアン・チエイジン郡駅のチャレンジを終えていた。

ここでのミッションは「ヤツを倒せ」というもの…オクタリアンが開発した兵器「タコツボビバノン」に除菌プラスされたものだ

手強い相手に苦戦しつつもルイは撃破に成功し、隣の駅である「ヤッテミ荘駅」に向かった。

ここでは4つのアレの2つ目があり、ルイはそれを電車に持ち帰りグソクさんに見せた。

ルイ「これだけじゃ、まだ何か分からないね…。」

グソクさん「そうだね…でも、とりあえず中央駅にこれを持って行ってみたらいいんじゃないかな。」

ルイ「中央駅…?」

グソクさん「4つのアレを集めたら中央駅に向かう…そんな話を聞いた事があるよ。まだ2つだけど、何か手がかりがあるかもしれないからね。」

ルイ「うん、分かった…ありがとうグソクさん。」

モニターで中央駅を選び、ルイはしばしの間眠りに着くのだった。

一方…ツミも2つの駅のチャレンジを無事に終え「タベテミ荘駅」へ辿り着いた。

ここは4つのアレの1つがある場所なので敵も居ない、ツミは足早に進んで手に入れると電車へと戻った。

アタリメ「これで2つ手に入ったのう。」

ツミ「残るは2つか…とりあえずこれも中央駅に運ぼう。」

そう言うとツミも中央駅を選択して座席に座った。

じきに電車は中央駅に到着し…ツミは2つ目のアレを持って降りた。

すると…デンワが喋り始めた。

デンワ「おめでとうございマス!2つ目のアレを手に入れましタネ!!もうアレ半分も集めちゃうトハ…いやぁ、アナタは優秀デス!」

ツミ「それじゃあ早速残りの2つも…。」

そう言ってツミが電車へ戻ろうとしたが…

デンワ「あ、ちょっとお待ち下サイ。」

ツミ「え…?」

突然呼び止められて不思議に思うツミだが、デンワは驚くべき言葉を口にした!

デンワ「残る2つですガ、どうやらもう1人チャレンジャーが居た様デ、既に2つ集めてまスネ!」

ツミ「えぇ…!?」

アタリメ「な、何じゃと…!?」

デンワ「ですがご安心下クダサイ!もう1人のチャレンジャーもとても優秀…皆さんご一緒ニ、約束の地ニ連れて行って差し上げマス!!」

ツミ「そ、そうか…それならよかった。」

デンワ「どうやらここに向かって来てるみたいなノデ、しばらくお待ち下サイ。」

ツミ「分かった。」

アタリメ「それにしても3号の奴、なかなか見つからんの…ここは1つ張り紙でもしてみようかのう!」

ツミ「張り紙…?」

アタリメ「ワシは絵の腕には自信があるぞい、今描くからちょっと待っとれい。」

そう言うとアタリメ司令はサラサラッと3号…タキの姿を描いた。

言葉通りとても上手で、タキの凜々しいヒーロー姿が描かれていて、ツミは感心した。

ツミ「さすが司令、よく似ているな。」

アタリメ「フォッ、後はこれを書いて…「捜し人、求む。イカしたボーイです」と…これでバッチリじゃ、ここに貼っておけば目立つじゃろう。」

準備の出来たアタリメ司令は、デンワの下に絵を貼った。

しかし…この時誰も気づかなかった…

イカした「ボーイ」では無く「ガール」と書かれていた事に…

To be continued…