タルタル総帥がそう言うとネルス像の口が開き、大きなビームを出す機械の様な物が姿を現した。
ヒメ「ゲッ…何だよあれ!?」
イイダ「待って下さい、今調べましたが…あの像からもの凄いエネルギー反応を確認しました!」
ヒメ「おいおい、どーなるんだよ…!」
イイダ「あのネルス像は、今まさに世界をネリ返すエネルギーをチャージしています!」
ヒメ「何とか止める方法はねーのかよ…!」
イイダ「えっと…ちょっとだけお待ち下さい…!」
そう言うと、イイダは全力で調べ始めた。
同じ頃…地下のオクタリアンの世界でも変化は起きていた…。
エン『なっ…!?』
タコワサ『どうしたのだ、エン?』
エン『ナンタイ山への解析が…何者かによって完全にブロックされました…!』
タコワサ『な、何だと…!?』
エン『ダメです…何度やってもブロックが解除されない…それだけではありません、将軍…これを…!』
タコワサ『こ、これは…!』
モニターに映し出された地上の景色…それは初夏なのに雪が舞い…海上は氷に覆われている異様な光景だった…。
エン『一体…地上で何が…!』
タコワサ『ツネ…!』
この異常気象に驚きつつ、地上に居るツネの身を案じるタコワサ…それを嘲笑うかの様に、雪はどんどん強くなるのだった…。
一方…イイダはネルス像の解析が終わって口を開いた
イイダ「えっ…と…これを見て下さい!」
そう言うと、イイダはパソコンのモニターをヒメに見せた。
ヒメ「これは…?」
イイダ「ネルス像は、体全体で吸収した太陽光をエネルギーに変換しています。今、異常気象で雪が舞っていますが…これもこのネルス像のエネルギーが引き起こしたものでしょう…ハイカラスクエア近辺を冷やして太陽光が届かない様にしつつ、確実にネルス像だけに光が当たる様にしています!」
ヒメ「何だって!?」
イイダ「なので、あの像全体をインクで塗りつぶせばエネルギーのチャージを止められるかと…!」
ヒメ「はぁ!?あのデカブツを塗り潰せってか!?」
イイダ「ワタシの開発した【イイダボム】を像に放ちます、でもまだ開発中なので自動で爆発しません。」
ヒメ「じゃあどうすればいいんだよ…!」
イイダ「なので8号さんとルイさん、ネルス像に近づいてイイダボムをショットで撃ち起爆して下さい!」
ツミ「分かった!」
ルイ「任せて!」
ざくろ『待って、あたしも行く!』
ツミ「ざくろ…!?」
ざくろ『あたしも将軍護衛部隊だもの、戦える…それにサマーニャ先輩から託されたオクタシューターもある!』
ルイ「ざくろ…!」
ざくろ『ツミ、ルイお願い…あたしも一緒に戦わせて!』
ツミ「…分かった、一緒に行こう!」
ルイ「うん、みんなでネルス像を止めよう!」
ざくろ『ありがとう!』
イイダ「決まりですね!」
ヒメ「で、アタシは?」
イイダ「センパイはネルス像のエネルギーが弱まったら、フルパワーのセンパイキャノンで像を破壊して下さい。」
ヒメ「ゲ…マジ?あれ最近やってねーから、フルパワー出せるか分かんねーぞ?」
イイダ「ワタシの見立てでは、後3分で世界をネリ返すエネルギーが放出されます。センパイはその3分の間、反復横跳びでテンションを高めといて下さい。」
ヒメ「…分かった、それで世界が救えるなら…この喉くれてやるよ!」
アタリメ「あのぅ…ワシは?」
イイダ「アタリメさんは…かっこいい作戦名を考えて、実行の指示を!」
アタリメ「よーし、任せておけ!【とれとれぴちぴちユー&アイ、当たって砕けて大作戦】レッツゴーじゃ!」
ざくろ「……………?」
2人「(……何かダサい……。)」
ツミとルイは内心そう思ったが言わずにいた…。
作戦名はともかく、巨大な敵から世界を守る為…ツミ、ルイ、ざくろの3人がネルス像へ向かう準備が出来た。
イイダ「皆さん、移動用にこの子達を使って下さい!」
そう言うと、イイダはネルス像の周辺にライドレールを張り巡らせた。
ツミ「ありがとう、助かる!」
イイダ「イイダボムはうっすらとマークが付いているポイントに投下します!最初は胸の辺りに5個、その30秒後に首の周りに5個、60秒後に背中に5個、90秒後に右腕に5個、最後120秒後に10個投下するので、このイイダボムを3分以内に全部破壊して下さい!」
ツミ「分かった!」
ルイ「よし、行こう!」
ざくろ「うん!」
スーパージャンプで3人はネルス像へ跳び、着地した瞬間にイイダボムが投下された!
イイダ「最初のイイダボムです、胸に5個投下!」
ツミ「私はこっちを塗る!」
ルイ「僕はこっちを!」
ざくろ『あたしは後ろに回り込んで塗ってくる!』
3人は見事なチームワークで簡単にボムを起爆した!
アタリメ「よーし、塗って塗って塗りたくるんじゃ!」
タルタル総帥「ガ…魚介類よ、このまま大人しくネリ返されるがヨイ。」
ルイ「そうは行くか!僕は後輩達の為にも生き伸びると決めたんだ!」
イイダ「30秒経過…イイダボム、首の周りに5個投下!」
ツミ「ここだな!」
3人は首回りのボムも難なく起爆して…
イイダ「60秒経過…イイダボム、背中に5個投下!」
タルタル総帥「ガガ…この世界をネリ返し、博士の求めた世界ヲ…。」
ざくろ『サマーニャ先輩の為にも、あたしは戦う…生きて帰るの!』
イイダ「90秒経過…イイダボム、右腕に5個投下!」
タルタル総帥「ガガッ…無駄だNO.10008、ネルス像は止めらレン!」
ツミ「果たしてそうかな。」
タルタル総帥「何ダト…?」
ツミ「私1人ではない…ルイやざくろもいる、アタリメ司令や3号…テンタクルズも一緒だ。私はもう孤独じゃ無い、私の帰りを待っていてくれる人がいる…だから私は諦めない!」
イイダ「120秒経過…最後です、頭に10個投下!」
タルタル総帥「ガガッ、ネルス像!ネリ返す時が近づいて来たゾ!!」
ツミ達はライドレールに乗りながら次から次へとボムを起爆していくが、数が多い為少し時間がかかっていて…
イイダ「世界をネリ返すエネルギー発射まで、後30秒!」
ツミ「諦めない!」
ルイ「この世界を守ってみせる!」
ざくろ『必ず生きて帰るの!』
ヒメ「イイダボム、ラスト1個だけ残ってんぞ!」
ツミ「この1つを起爆させれば…!」
ルイ「2人共、行くよ!」
ざくろ「うん!」
ツミ「あぁ!」
3人は同時にオクタシューターからインクを発射し、それがイイダボムに当たり…
パンッ…ボンッ!!最後の1つも爆発した!
イイダ「ネルス像のチャージが止まりました!皆さん戻って来て下さい!」
ツミ「分かった!」
3人はライドレールから降りてアタリメ司令達の元へ跳んで戻ったが、ネルス像の様子がおかしい…
イイダ「世界をネリ返すエネルギーが、フルチャージに達しないまま放出されそうです!」
ルイ「何だって!?」
ざくろ「そん…な…!」
ツミ「くっ…何て事を…!」
タルタル総帥「NO.10008…ここまでワタシの計画に背いた実験体は初めてダ…こうなったら博士の願った完璧な世界…その一部となるが良イ…さらばダ、NO10008…貴様をあの街ごとネリ返してヤル!」
ネルス像からは今にもビームが放たれそうで、一刻の猶予も無い…どうすれば良いんだ…焦るツミ達だったが、ヒメがヘリから飛び降りて来た!
ヒメ「ご苦労だったなハチ、ルイ、ざくろ!後は任せな!」
そう言うとヒメは3人の背中をバンッと叩いて親指を立てた。
イイダ「センパイ、準備が出来たんですね!」
ヒメ「あぁ!よし…テンションMAX、行くぞっ!」
そう言うと、ヒメの頭はシュピンと光り…巨大で豪華なヒメ仕様のメガホンレーザーが現れた!
ツミ「こ、これは…!?」
ルイ「メガホンレーザー!?」
ざくろ『こんな大きいの見た事無い…!』
アタリメ「フォー、いいぞ!ゴーゴーじゃ!」
驚く3人をよそに、アタリメ司令は楽しそうにはしゃいでいて…
ズドオォォーー!!
ネルス像からビームが発射された直後に…
ヒメ「マーーーーーーーーーッ!!」
すると、キャノンからとんでもない大きさのレーザーが放たれて…海上でネルス像から放たれたビームとぶつかっている!
ツミ「な…!?」
ざくろ「す…ごい…!!」
ルイ「何だ…あれ…!!」
アタリメ「な…何ちゅう威力じゃ…!」
驚いたアタリメ司令は腰を抜かしてしまい、3人も驚いたまま見ていて…
最初はお互い良い勝負だったが、途中からビームがどんどん押してきて…
ツミ「ビームが…!」
ルイ「危ない…!」
ざくろ「がん…ばて…!」
3人がエールを送ると、レーザーはグングン大きくなり…
そのままもの凄い勢いでレーザーを押し返して…ネルス像を貫いた!!
ネルス像はピンクのインクで溢れ…中から色んな部品が飛び散り…
そこにはひっくり返ってネリモノが溶けかかっているタルタル総帥の姿が…
タルタル総帥「ガッ…!ガガッ…!!ハカセ…イマ…アイニ…イキ…マス…ネルルルルルルルル…!!」
そう言った直後…タルタル総帥のネリモノは溶けて消え…体もバラバラになって溶けていった…。
ツミ「やった…のか…!」
ルイ「世界は…守られたんだ!」
ざくろ「よか…た…!」
ヒメ「やったぜー!!」
イイダ「センパーイ!!」
ヒメ「イイダ…ぐぇっ…!」
イイダ「さすがセンパイ、最高ですー!!」
ヒメ「ちょっ…待っ…分かったからどいてくれイイダ…!!」
嬉しさのあまり抱きついたままヒメを押し倒して頬ずりをするイイダ、大喜びで踊るアタリメ司令
そして…
タキ「ん…うっ…ここ…は…?」
気絶していたタキが目を覚まし、ツミ達3人はそれを見て優しく微笑んだ。
その後タキは後頭部に大きな絆創膏を貼って貰い、みんなで朝陽が登る瞬間を眺めた
ネルス像が破壊された直後から、異常気象は嘘の様に消え…舞う雪も黒い曇も…海の氷も消えて元の初夏の風が戻った。
ツミ「綺麗だな。」
ルイ「うん。」
ざくろ「これが…ちじょ…きれい…。」
タキ「うん、すごく綺麗だね。」
ヒメ「よし、ハイカラスクエアに帰ろうぜ。」
イイダ「そうですね。」
タキ「…あ…イカスマホ…。」
そう呟くと、タキはズボンのポケットからイカスマホを出して電源を入れた。
そして…イカラインのメッセージを打って…
まめみに送信した。
To be continued…