早朝、ピロンとイカスマホが鳴り…メッセージを見たまめみは驚きと嬉しさで桃色の瞳を輝かせ、ツネと共にハイカラスクエアへと向かった。
そしてまめみがツネと共にハイカラスクエアに到着すると、タキ達が姿を現した。
まめみ「タキ君!」
タキ「まめみ!」
2人はお互いに駆け寄り強く抱きしめ合った
まめみ「タキ君…タキ君…!」
タキ「ただいま…!」
まめみ「お帰りなさい、お疲れ様…!」
2人は優しく笑い合い、タキはまめみの唇に口づけをしようとしたが…
ヒメ「おいおい、アタシらの前でイチャつくなってーの!」
タキ「わあぁっ…!」
イイダ「センパイ、お邪魔しちゃ悪いですよ…!」
まめみ「えっ…て、テンタクルズ…!?」
ヒメ「アタシらの他にもいるぜ!」
そう言うと、奥からツミ達が姿を現した。
ツミ「……………。」
ルイ「あ…えと…こんにちは。」
まめみ「オクタリアンの…子…?」
タキ「大丈夫、彼女達は敵じゃ無いよ…一緒に戦ってきた仲間だ。」
まめみ「そうなのね、よかった。」
とはいえ、目の前にいるツミはとても綺麗な女の子で…ずっとタキ君と一緒に居たのかな…そう考えると、まめみはちょっぴりヤキモチの気持ちも混ざって内心複雑で…ぎゅっとタキの腕に抱きついた。
すると、ハイカラスクエアの入り口で待っていたツネが歩いて来た。
ツネ「…………………。」
タキ「ツネ…約束を守ってくれたんだね、ありがとう。」
ツネ「…勘違いしないでくれ、僕は君に頼まれたからまめみを守ったんじゃ無い。」
相変わらず憎まれ口を叩くツネだがタキは優しく笑い、ツネと腕を軽くぶつけ合った。
タキ「ツネ、君に会わせたい人が居るんだ。」
ツネ「会わせたい人?」
タキ「うん。ほら、こっちへおいでよ。」
怪訝な表情をするツネだったが、タキが奥の通路に向かって声を掛けると…
ざくろ「……………。」
ツネ「………………!!」
ゆっくりとざくろが歩いて来て…ツネは驚いて黄色の瞳を見開いた。
ざくろ「あ…ちゅ…ね…ちゅね…。」
ツネ「……………!?」
ざくろ「あたし…タキに…イカのことば…なら…た…ちゅ…ね…あたし…!」
辿々しいイカの言葉で一生懸命会話をしようと頑張るざくろに驚いた表情をしていたツネだが、ふぅ…とため息を吐くと口を開いた。
ツネ『…ざくろ…本当に君なのか…!?』
まめみ「(あ、タコの言葉…。)」
ざくろ『うん…あたしだよ…ツネ。』
ツネ『ざくろ…よく…よく無事で…!』
そう言うとツネはざくろの元へ駆け寄って、彼女を強く抱きしめた。
ざくろ『ツネ…!』
ツネ『ざくろ、彼女は…サマーニャは!?』
ざくろ『……サマーニャ先輩…は……。』
ツネ『………そうか………。』
ルイ『……………。』
ツミ『……………。』
ツネ『君達は戦闘部隊の者だな…今回の件、危険を伴う任務だったがよく無事に戻って来てくれた。』
するとツネは、今度はイイダの方を向いた。
イイダ「…………………!」
ツネ「イイダ=マリネ、2年前に置き手紙を残して突然の失踪…その後も行方は知れずにいたが、まさか地上に居たとはね。」
イイダ「ツネ隊長…ワタシは…。」
ヒメ「おい、今更イイダを連れ返そうとしてんじゃねーだろうな!?それはアタシがさせねーぞ!」
イイダ「センパイ…!!」
ツネ「僕は君を連れ戻しに来たんじゃ無い、お爺様…タコワサ将軍より伝言を預かっている。」
イイダ「伝言…ですか…?」
ツネ「うん、『2年前の事を今更咎めるつもりは無い、地上でお前の好きな事をやりながら健やかに過ごせよ。』との事だ。」
イイダ「…あ…ありがとう…ございます…!!」
そう言うとイイダの頬を伝って涙が零れ落ち、その体は小さく震えた。
ツネ「君達も自由だ、地下へ戻ってもいいしここで暮らしてもいい…お爺様には僕から伝えておこう。」
ツミ「そうして貰えると助かる。」
ルイ「ありがとうございます。」
ツネ『ざくろは僕と一緒に一度地下へ戻ろう、今回の件でお爺様に報告しないといけないからね。』
ざくろ『うん…。』
何気なくポケットに手を入れたツミ、するとカサッと音がして…取り出して開いて見ると、それはアタリメ司令が描いたタキの似顔絵だった。
タキ「あれ、これは…?」
アタリメ「おぉ、ワシの描いた絵じゃな。」
ツミ「風で飛ばされそうになった時に、咄嗟に掴んで畳んでしまっていたんだ。」
そう言うと、ツミはタキに似顔絵を渡した。
まめみ「わぁ、タキ君かっこよく描かれてるね~そっくり!」
タキ「えへへ、そうかなぁ…。」
そう言って喜ぶ2人だったが…
まめみ「…あれ?捜し人求む…イカしたガールですって書いてあるよ?」
タキ「えっ!?あれ…本当だ!」
アタリメ「何と…焦って書いたのもあって間違えてしもうたようじゃのう…。」
タキ「司令…。」
頭を掻きつつ笑っているアタリメ司令に困った様に笑うタキだったが…
ツネ「へぇ…君ガールだったの?」
タキ「なっ…!?」
ツネ「まぁ、顔だけならガールに見えなくも無いかもね?」
タキ「…ツネ、それはどういう意味かな?」
そう言って意地悪そうにニヤニヤ笑うツネに、口元をヒクヒクさせながら聞くタキ…
その後はいつもの喧嘩が始まったが、前と違ってどこか柔らかい雰囲気も感じて…
すると、ツネがタキに小さな紙を渡した。
ツネ「…これを登録しておいてくれ。」
タキ「ツネ…これは…?」
ツネ「僕のイカスマホの電話番号とイカラインのIDだ、まめみに関して何かあった時にすぐに連絡が取れるだろう。」
驚いてターコイズブルーの瞳を見開くタキだったが、同時に嬉しさが込み上げてきたのも事実で…
タキ「…ありがとう、俺のも渡しておくよ。」
そう言って、タキも自身のイカスマホの電話番号とイカラインのIDをメモして渡した。
その後イイダは約束通り、ざくろ達に過去を語り始めた。
イイダ「ワタシは子供の頃から飛び級を繰り返し、メカを開発したりしてオクタリアンの戦闘技術に貢献していました。前にアタリメさんがセンパイに見せた資料の通り、タコドーザーもその1つです。」
タキ「タコドーザーは2年前にさんざん苦戦させられたよ…あれも貴女の作り上げた物だったとは…。」
イイダ「2年前の事とはいえ、その件に関しては申し訳ありませんでした…。ワタシは開発をメインにしていましたが…3号さんが将軍と戦う直前に、山葵補給部隊に着く事になりました。」
まめみ「山葵補給部隊…そんなのが…。」
イイダ「ハイ…ワタシはメカを開発するのが好きです…だから、それが出来ないのは正直つらかった…そんな時、3号さんとの戦いで現れたシオカラーズのお2人…そしてあの伝説の歌「シオカラ節」が流れたんです。あれを聴いた瞬間、ワタシの体を強い電気が流れる感覚がしました…あの瞬間にシオカラ節のグルーヴが宿ったのです。」
ヒメ「イイダ、お前そんな過去が…。」
イイダ「ワタシは置き手紙を書き、少ない荷物だけで地上へ向かいました。そしてナンタイ山で、ヒメセンパイと出会ったんです。」
ざくろ『イイダ先輩は今では伝説の人として語り継がれてます。先輩をキッカケに、地上への憧れを持ち始めた子も多かったし…それがシオカラ節のグルーヴを宿したタコ…?』
イイダ「最近、少しずつではありますが地上でもオクタリアンの子達を見かける事が増えてきました…ざくろちゃんがお話してた様に、皆さんもシオカラ節のグルーヴを宿した方々ですね。」
ツネ「イイダ、地下に居た頃よりも生き生きしている…地上は楽しいかい?」
イイダ「はい、楽しいです!」
そう話すイイダの笑顔はとても眩しく輝いていて…ツネも穏やかな表情で、その口元はうっすら笑みを浮かべていた。
To be continued…