ツネがエンを迎えに行っている間、タキとざくろはまめみの傍に付いていて…タキから連絡を受けたまめおが帰って来た。
まめお「まめみ!」
タキ「まめお…。」
まめお「まだ目を覚まさないのか…。」
タキ「うん、それどころかいつものシンクロに比べて髪の色が戻るのも遅い…。」
まめお「倒れたのが昼間で今は夕方、それでもまだ半分くらいしか戻ってないのは今まで無かったな…。」
ざくろ「まめお…タキ…ごめん…なさい…。」
タキ「ざくろ?」
ざくろ「あ…あたしが…あたしが遊びたいって言わなければ…こ…な…事に…うっ…うぅ…!」
まめお「ざくろ、お前のせいじゃねぇよ。」
タキ「まめおの言う通りだよ、ざくろは何も悪くない。」
ざくろ「まめお…タキ…!」
タキ「まめみもざくろと遊べるってすごく喜んでたんだよ。」
まめお「シンクロはまめみ自身も無自覚の内に出ちまう…だからこればかりは誰にも分からないんだ、だから自分を責めるな。」
ざくろ「うん…ありがとう…。」
そう言ってまめおはざくろの頭を優しく撫で、彼女は零れた涙を拭った。
すると…ガチャッとまめみの部屋の扉が開いて、ツネと黄色のアフロ頭のタコボーイ…エンが入ってきた。
ツネ「まめみは?」
タキ「まだ眠っている…。」
ツネ「そうか…。」
ざくろ「エン!」
エン「少し久しぶりですねざくろ、地上ではツネの言う事をちゃんと聞いてますか?」
ざくろ「うん、ツネがすぐ意地悪…するけど…仲良くしてる。」
ツネ「ざくろだって僕の言う事を聞かない事多いだろう。」
ざくろ「そんな事無いもん!」
ツネ「どうだろうね。」
ざくろ「もー!」
エン「やめなさい2人共、今はそんな事してる場合ではありませんよ。」
ツネ「うっ…。」
ざくろ「ごめん…。」
エン「分かれば宜しい。」
まめお「……………。」
タキ「……………。」
その様子をポカンとした様子で見ていた2人だが…
エン「失礼しました、3号…タキさんと会うのは2回目ですが貴方は初めてですね。私はエン、ツネとざくろの幼馴染みであり仲間です。」
まめお「俺はまめお、まめみの従兄だ。」
タキ「えっとエン…さん…貴方があの時のタコマスクをしていた白衣の…?」
エン「呼び捨てで構いませんよ。えぇ、あの時の私です。」
タキ「その…エン…の雰囲気が全然違ってて…ちょっと拍子抜けというか…。」
エン「ふふっ、任務中でしたからね。それは貴方もそうでしょう…ヒーロー3号、そして4号?」
タキ「…………!」
まめお「(俺がヒーロー4号という事も知って…!?)」
エン「まめみさんが同じくヒーロー4号だという事も知ってます、我がオクタリアンの情報収集力を甘く見ては危険かもしれませんよ。」
そう話して柔らかい笑みを浮かべるエンだが、その紫の瞳の奥にはオクタリアンとしての誇りが見え隠れする…
何て隙の無い男だ…タキとまめおはそう感じた。
その時…
まめみ「んっ…。」
タキ「まめみ!」
まめみ「タキ…君…。」
まめお「まめみ、大丈夫か?」
ざくろ「まめみ…!」
まめみ「ざくろちゃん…まめお…うん、大丈夫…。」
そう言ってまめみは起き上がったが…
グラッ…強いめまいがしてタキが支えてくれて起きていられるのがやっとの状態だ。
ツネ「酷く顔色が悪い…話はタキから聞いたよ、まめみ…今回のシンクロの力は相当負担がかかったみたいだね。」
まめみ「ツっくん…そっか…あたしムツゴ楼で…ざくろちゃん…ごめんね…。」
ざくろ「ううん、まめみ悪くない…!」
まだボーッとする中、まめみはエンに気づいた。
まめみ「あれ…貴方…は…?」
ツネ「彼はエン、僕とざくろの幼馴染みで仲間だ。」
エン「初めまして、まめみさん。」
まめみ「初めまして…エンさん…。」
エン「呼び捨てで構いません、今回はツネに呼ばれて貴女のシンクロの謎を解く為に来ました。」
まめみ「呼び捨ては慣れて無くて…ごめんなさい…。あたしのシンクロの…謎…?」
エン「謝らなくて大丈夫ですよ、まめみさんのシンクロの謎が分かればコントロール出来るかもしれないんです。」
まめみ「あたしの…この力がコントロール…。」
エン「とはいえ…まずは実際にシンクロした瞬間のデータが無いと何ともなりませんね…。」
ツネ「という事は…実際にまめみ自身にシンクロを発動させるしかないと…?」
エン「そうなります、そこからデータを収集して何かメカニズム的なものが分かればいいのですが…。」
ざくろ「でもエン…それじゃまめみに…負担かかる…。」
まめお「今日だって既にこんな状態なのに…また発動させたらどうなるか…。」
タキ「まめみの体にだって当然負担がかかる…そんなの俺は…」
まめみ「あたし…やってみる…。」
ざくろ「!!」
タキ「まめみ…!?」
まめお「馬鹿…お前、今そんな状態で次に発動したらどうなるか分からないんだぞ!?」
まめみ「今日は無理だよ…体が回復しないと…でもこのまま無自覚に発動し続けて…どんどん体が弱ってしまうより…可能性があるならコントロール出来る様にしたい…。」
タキ「まめみ…!」
まめお「まめみ…。」
ツネ「どうする、エン?」
エン「そうですね…まめみさんが大丈夫なら、我らの地下練習場へ案内して、そこでデータを収集しましょうか。」
まめみ「地下…練習場…?」
エン「私達が主に訓練をする場所です、将軍にも事情を説明して一時的に貸し切りにしてしまえば問題無いでしょう。」
ツネ「僕達以外は立ち入り厳禁にしてしまえば誰も入って来れないしね。」
まめお「本当に大丈夫なのか…一時的とはいえ、俺達イカが入って…?」
タキ「敵を本拠地へ入れる様なものだからね…。」
ツネ「僕達のセキュリティ対策を甘く見てもらっては困る、しっかりと万全な状態にした上で君達を招くんだ。」
そう話すツネの黄色の瞳にも、オクタリアンと共に育った彼のプライドが見えていた。
タキ「どうする、まめみ…?」
まめみ「うん…あたし…そこに行く。」
ツネ「決まりだね。」
エン「ですが今はまめみさんの体が落ち着くのが先です、体調が万全になったら改めて準備をしてご招待しましょう。」
まめみ「ありがとう…エンさん。」
エン「どういたしまして。」
そう言ってエンは優しい笑みを浮かべ、まめみも優しく笑った。
ツネ「しばらくエンは僕の家で泊まって貰うよ。まめみ、お大事にね…また明日お見舞いに来るよ。」
ざくろ「まめみ、絶対…無理しないでね。」
まめみ「ありがとうツっくん、ざくろちゃん…無理はしないよ。」
エン「それでは失礼します。」
そう言うと、3人は帰って行き…
まめお「俺はもう家にいるから安心して休め、まめみ。」
タキ「俺もここに泊まっていくよ、ずっと傍にいるからね。」
まめみ「ありがとうまめお、タキ君。」
2人の言葉と優しく撫でてくれる手に安心したまめみは、再び眠りに付いたのだった。
To be continued…