まめおがシャワーを浴びている間、タキとまめみはリビングで2人きりだったが…
タキ「むぅ…!」
まめみ「もう、まめおと2人でずっとつけてたなんて…!」
タキ「だってよりによってツネなんかと…!」
まめみ「ツっくんとは幼なじみなんだから、それ以上の関係なんてありえないよ。」
タキ「それは分かってるけど…でもツネはまめみの事を…」
そう言ってタキはまめみをぎゅっと抱きしめ、まめみはふぅ…とため息を吐くと口を開いた
まめみ「…ムツゴ楼で改めて告白はされたよ。でも断った、あたしにはタキ君しかいないもの。」
タキ「まめみ…。」
まめみ「それに…今までのツっくんの様子を見ていて気づいたの、本当に好きなのはあたしじゃないって。」
タキ「まめみ以外に好きな人が?」
まめみ「ツっくんはきっとまだ気づいてないんだと思うけどね…とにかくあたしはずっとタキ君だけの傍にいるよ。」
タキ「嬉しい、ありがとう。」
そう言ってタキは優しく笑いながらまめみの頬を撫でてそっと顔を近づけてきて…まめみも瞳を閉じて、もう少しで唇が触れそうになったその時!
ピンポーン!
突然インターホンが鳴って、2人は驚いてしまった。
まめみ「こんな時間に誰だろう?」
タキ「まさか…ツネが?」
まめみ「分からない…見てくるね。」
そう言ってまめみが玄関へ向かって扉を開けると…
ざくろ「うっ…ひっく…まめ…み…!」
そこには赤い瞳から大粒の涙を流して立ち尽くすざくろの姿があった
まめみ「ざくろちゃん、どうしたの!?」
ざくろ「あ…あたし…ツネ…に…う…あぁぁぁぁん!!」
そう言うとざくろは大泣きしながらまめみに抱きついてきて、まめみは驚きつつも優しく抱き返して背中を撫でた。
タキ「まめみ、ざくろは一体どうしたの!?」
リビングで待っていたタキだが、ざくろの泣いてる声で驚いて玄関に駆けつけて来た
まめみ「分からない…でもツっくんと何かあったのかな…。」
ざくろ「うっ…うぅ…!!」
まめみ「ざくろちゃん、とりあえず一緒にリビングに行こう?」
ざくろ「う…ん…。」
タキ「何か飲み物を準備するね。」
まめみ「うん。」
タキが台所で飲み物を準備している間、リビングのソファに座ってざくろを落ち着かせていたまめみ
しばらくしてざくろが泣き止んだ頃にまめおも上がって来て、事情を話した後に4人でソファに座った
ざくろ「ごめんなさい…こんな時間に…。」
まめみ「ううん、大丈夫だから気にしないでね。」
ざくろ「ありがとう…まめみ…。」
いつもと変わらず優しい笑顔を向けてくれるまめみに、ざくろは安心した。
タキ「ざくろ、話せる範囲でいいから教えてくれないかな?」
まめお「何か困ってるなら、俺達に出来る事なら力になるぜ。」
ざくろ「タキ…まめお…。」
まめみ「もしツっくんと喧嘩をしちゃったんなら、ちゃんと謝れば大丈夫だよ。気まずいならあたしも一緒に…」
ざくろ「まめみは…ツネを……」
突然まめみの言葉を遮って、ざくろが口を開いた
まめみ「え?」
ざくろ「まめみは…ツネをどういう風に…思ってる……?」
タキ「ざくろ…!」
まめお「突然何を…。」
驚きを隠せない3人だが、ざくろの瞳は真剣そのもので…まめみは深呼吸をするとゆっくりと口を開いた
まめみ「ツっくんは、ずっと大切な幼なじみだよ。」
ざくろ「まめみ…。」
まめみ「…ツっくんと、あたしの事で喧嘩した…?」
何となく察して聞いたまめみだが、ざくろは俯きつつもフルフルと首を横に振り…
ポツリ…ポツリと声を震わせながら再び口を開いた
ざくろ「…あたし…ツネの事…ずっと…ずっと昔から…好きなの…。」
まめお「えっ!?」
タキ「ツネが!?」
まめみ「その事で喧嘩を…?」
ざくろ「…うん…。」
その後…ざくろのお願いで一度まめおとタキに退席して貰い、まめみにツネと口論になった事…勢いでキスをしてしまい、そのまま家を飛び出してきてしまった事を打ち明けた。
まめみ「そうだったのね…。」
ざくろ「まめみ…あたし…。」
まめみ「ざくろちゃん、落ち着くまでここに居ていいよ。」
ざくろ「まめみ…!」
まめみ「大丈夫、あたしがついてるからね。」
彼女の桃色の瞳は自分をまっすぐ見つめていて…迷いの無い強い決意が伝わってきて…ざくろは暖かい気持ちに包まれた
ざくろ「ありがとう、まめみ…。」
まめみ「どういたしまして。」
2人は優しく笑って再びお互いを抱きしめ合い、2人にも事情を話した後…ざくろはしばらく居候する事になった。
しかし次の日…
ピンポーン!
早朝からインターホンが鳴り…
まめみ「んっ…。」
タキ「んん…まめみ…大好きだよ…。」
寝ぼけて自分をぎゅっと抱きしめるタキを優しく抱き返すと、まめみは彼の腕からそっと抜けだし…頬にちゅっとキスをして着替えて玄関に向かった
そして扉を開けると…そこに立っていたのはツネだった
ツネ「おはよう、朝早くにごめん…。」
まめみ「おはようツっくん、大丈夫だよ。」
ツネ「ざくろ、ここに来てるよね?」
まめみ「うん、来てるけど…でも今は……」
ツネ「…ごめん、今日は地下で訓練がある日だから上がらせて貰うね。」
まめみ「えっ…つ、ツっくん…!?」
そう言うと、ツネはやや強引に家に上がり、ざくろの眠る部屋の前に立って扉を叩いた。
ツネ「ざくろ、起きてるだろう?今日は訓練の日だ…一緒に戻るよ。」
ざくろ「……っ………!!」
あんな事をしたのに声音はいつも通りで…
何とも思っていないんだ…そう考えるとざくろの胸はズキンと痛み、閉じた瞳からは大粒の涙が溢れてきた…
一方ツネは、返事もせず出てこないざくろに少しイライラしてきて…
ツネ「いい加減にしてくれざくろ、僕達は将軍護衛部隊…訓練を怠る事は許されない。これは隊長命令として言わせて貰う、早く部屋から出てくるんだ。」
声音は明からに不機嫌で…さっきよりも強めにドアを叩かれる音でざくろの体はビクッとした…
ざくろ「…っ…うぅ…!!」
ツネ「ざくろ…!!」
まめみ「ツっくん。」
かなり苛立った様子のツネを見かねて、まめみが声をかけた
ツネ「まめみ…。」
まめみ「ツっくん、申し訳ないけど今日は帰って。」
ツネ「けどざくろが…!」
まめみ「ざくろちゃんはあたしが見るから大丈夫、ツっくんもざくろちゃんも、今はお互いに距離を置いてゆっくりと考える時間が必要だと思うの。」
ツネ「まめみ…!」
ドクン…
まただ…この感じ…
昨日のムツゴ楼の時と同じ…
まるで、自分の心を全て見透かされている様な…不思議な気持ち…
まめみ「お願い、ツっくん…。」
ツネ「…分かった。」
そう言うと、ツネは帰って行き…
コンコン…
まめみ「ざくろちゃん、入って大丈夫?」
ざくろ「まめみ…うん…大丈夫…。」
持っていた鍵でまめみが部屋に入り、震えているざくろを優しく抱きしめ…
まめみ「ツっくんには帰ってもらったからね、もう大丈夫だよ。」
背中を撫でてくれるその手は優しくて温かくて…
深海メトロでサマーニャを失った時に泣いていた自分の背中を撫でてくれていたタキと同じ手つきで…
そうか…タキもまめみからこうして勇気と安心を貰ってたんだ…そう思いながらざくろはまめみの胸に顔を埋め、閉じた瞳からは頬を伝って涙が零れ落ちて…まめみの服に消えていった。
To be continued…