とぐろとシャケ子の背中に乗ったまめみ達は、しばらくしてシャケト場へ到着すると…そこにはおシャケさまの他にもザンナ、テツ等の顔見知りのシャケがたくさん居た。
とぐろ「まめみ達を連れてきました。」
シャケ子「アイカちゃんも居たので、一緒に連れてきました。」
おシャケさま「ご苦労だったね。」
まめみ「おシャケさま、あたし達にお話があるって…どんな事ですか?」
おシャケさま「ジェレラの事について、話しておこうと思ってね。」
アイカ「ジェレラの事…何か分かったんですか?」
何か手がかりがあったのかも…そう期待したまめみ達だが、おシャケさまから語られたのは衝撃の事実だった
おシャケさま「…ジェレラ…あの子はね、実は「ポラリス」の出身なのだよ。」
まめみ「えっ!?」
タキ「ジェレラがポラリスの!?」
とぐろ「おシャケさま、どうしてそれを知って…!?」
ザンナ「……………!!」
おシャケさま「ポラリス…かつて私もあの海域のシャケ達を纏めようとした事があった…しかし、まだ若かった私には力及ばずでね…結果的に今までこの問題を解決出来ずにいる。」
まめみ「おシャケさま…。」
おシャケさま「私は1匹のオオモノシャケに彼らの監視を頼んだ…彼は年老いた今でも、その役目を果たしてくれている。」
テツ「ジェレラがポラリスの子なのは分かったんですが、そのオオモノシャケと何か関係が?」
おシャケさま「彼女はそのオオモノシャケの姪に当たるのだよ。」
とぐろ「…もしやそれは、ポラリスに住む年老いたタワーの事ですか?」
まめみ「知ってるの、とぐろさん?」
とぐろ「あぁ、とは言っても噂程度にしか聞いた事は無いけどな。」
おシャケさま「とぐろの言う通りだよ、彼の役目はシャケ達の動向を監視してこちらへの影響を抑える事…しかし年老いてきた事もあって、それが厳しくなってきてしまったのだろう…今回の件も重なり、ジェレラはポラリスに戻ってしまったのだと思う。」
ザンナ「(ジェレラ…時々とても寂しそうな瞳をする時があったのは、自身の出生の秘密や叔父の心配の気持ちがあったからなのか…?)」
ぎゅっ…ザンナの胸の奥が軽く握られる様な苦しさに襲われた
おシャケさま「ジェレラは決して我々を裏切っていた訳では無い、あの子は1日も早くここに慣れる様に努力していたよ…そしてポラリスのシャケ達との和解へ向けた架け橋になって貰えればと思っていたのだよ。」
アイカ「ジェレラ…。」
おシャケさま「…負担を強いてしまっていたと思っている…全ては私の力不足が招いた事だ、ジェレラにも君達にも本当に申し訳ない…。」
そう言って、おシャケさまはまめみ達に深々と頭を下げた。
まめみ「おシャケさま、そんな事言わないで…!」
アイカ「ジェレラもそれは分かってるはずです…だから…!」
タキ「もしジェレラが戻ってきてくれる可能性があるのなら、俺達も可能な限り手伝います…!」
とぐろ「あっしらも協力します、おシャケさま。」
テツ「ジェレラは俺達の大切な仲間、必ず連れ戻します。」
おシャケさま「ありがとう…この後に及んで皆にまた甘えてしまい申し訳無いが……君達がバイトでポラリスへ向かう時があった時に、もしジェレラを見かける事があったら「シャケト場では皆が帰りを待っている」と伝えて欲しいのだ。我々も出来る限りの手を尽くして、ジェレラに接触する方法を探ってみるよ。」
まめみ「分かりました、ジェレラさんを見つけたら必ず伝えます。」
おシャケさま「ありがとう。」
この後、まめみ達は再びとぐろとシャケ子が送って行き…
おシャケさまは一筋の希望を託しつつ、強い決意を込めて海を眺めていた。
それから1週間…まめみ達はバイトで行き先がポラリスの度に赴いたが、ジェレラの姿を見つける事は出来なかった…
アイカ「……………。」
ジェレラに会えないまま時間だけが過ぎていく…アイカは寂しさのあまりに落ち込む日々が続いていて…
ルイ「アイカ、よかったら僕と一緒にナワバリ行かない?」
アイカ「うん、いいよ。」
見かねたルイが声をかけて、2人はナワバリへ向かった
ルイ「あ、パラシェルターソレーラ…アイカの相棒?」
アイカ「うん、ずっと使ってるお気に入りのブキなの。」
そう言って嬉しそうに笑うアイカ…何日か振りに見れた彼女の笑顔に安堵すると同時に、かつての想い人アミが「自分がナワバリを出来るのなら持ちたいブキ」と言っていたのを思い出し、ほんの少しだけ胸の奥がズキンと痛んだ…。
その後2人はナワバリを楽しみ、気がつくと夕方になっていた
ムツゴ楼へ行き、夕陽を見ていた2人は…
ルイ「綺麗だね。」
アイカ「うん、ここは一番夕陽が綺麗に見えるね。」
グラッ…
ルイ「アイカ!!」
夕陽を見ていたアイカが突然ぐらつき…倒れそうになったのをルイが咄嗟に受け止めて抱き寄せた
アイカ「ルイ…く…ん…!」
ルイ「だ…大丈夫…?」
アイカ「う…うん…。」
夕陽に照らされ頬を赤く染めるアイカは美しく、その赤い瞳にも魅入っていて…ルイは胸の高鳴りが止まらない
一方のアイカもそれは同じで…
ジェレラ『ルイ君は、アイカにとって特別な存在なのね。』
……そうだね…ジェレラの言う通りだったよ
私…ルイ君の事が好きなの…
To be continued…