小説「彼方からの旅人と夢色金平糖」~空のお散歩とアップルパイ~

アイシェがこの世界に転生して1週間…この日はカービィに誘われてワープスターに乗る事に。

カービィ「しっかり捕まっててね。」

アイシェ「うん。」

キラキラキラーー

ゲームでよく聞いた音を響かせながら、カービィとアイシェを乗せたワープスターは彼の意思通りにプププランドの上空へと昇っていく

カービィ「よし、この辺りで止まって!」

そう言うと、ワープスターは徐々にスピードを落としてゆっくりとその場に止まった。

アイシェ「わぁ…雲の上!」

カービィ「アイシェ、降りてお散歩しよ!」

アイシェ「うん!」

そう言って一足先に降りると、ピンク色の可愛い手を差し伸べてくれて…アイシェはそっと彼の手に自身の手を乗せた。

雲はふわふわしながらも少し弾力があって不思議な感覚で…アイシェは初めての雲の散歩をドキドキしつつも楽しんでいた

カービィ「どう、アイシェ?」

アイシェ「すごく不思議な感じ、でもすごく楽しい!」

そう話す彼女は満面の笑みで、カービィも満面の笑みを返した

毎日が発見や驚きの連続で、カービィ達を始めポップスターの住民達はみんな優しくて気軽に接してくれて、アイシェにとってはとても居心地の良い世界である

その後も手を繋ぎながら雲の散歩を満喫した2人は、再びワープスターに乗ってウィスピーウッズの元へ向かった

実際に見るウィスピーウッズはとても大きくて迫力があったが、にっこりと微笑むと自身を揺らして大量のりんごを落としてくれた。

カービィ「ありがとうウィスピー!」

アイシェ「大切に食べるね!」

お礼を言って手を振り、その後向かったのはカービィの家

家が無いアイシェは、今カービィと一緒に暮らしているのだ。

カービィ「わぁ~良い香り!」

アイシェ「出来たてですごく熱いから気をつけてね。」

カービィ「うん、それじゃ…いただきまーす!」

ウィスピーウッズから貰ったりんごで作ったアップルパイを、カービィはフーッと冷ましながらパクリと食べた

アイシェ「どうかな?」

ドキドキしながらアイシェが訪ねると、カービィはよく味わった後に青い瞳をキラキラ輝かせながら跳びはねた!

カービィ「美味しい、すっごく美味しいよ!」

アイシェ「よかった、それじゃあ私も頂きます!」

サクッとしたパイ生地、甘ーいカスタードとりんごの風味が口内に広がって幸せな気持ちに包まれる

カービィ「アイシェ、お菓子作りもすっごく上手なんだね!」

アイシェ「ふふっ、嬉しい。」

普段は2人で仲良くご飯を作るが、お菓子を作ったのは今回が初めてで…カービィは嬉しそうにアップルパイを頬張る

カービィ「美味しかった~もっと食べたいなぁ…。」

アイシェ「いっぱい作ったからどうぞ。」

カービィ「わーい!」

喜んで食べていくカービィをアイシェも食べながらニコニコ見つめていて…平和で暖かい時間が流れる

しばらくして2人は食べ終えてのんびり過ごしていたが…

アイシェ「カービィがたくさん食べたとはいえ、さすがに余っちゃったね。」

カービィ「せっかくだし、デデデ達にもお裾分けしようよ。」

アイシェ「カービィ…てっきり1人で全部食べちゃうのかと…。」

カービィ「もうっ!いくらボクが食いしん坊だからって、独り占めなんかしないよ~!」

アイシェ「えへへ、ごめんね。」

カービィ「それに、美味しい物はみんなで分け合った方がもーっと美味しくなるんだから。」

アイシェ「カービィ…うん、そうだね。」

カービィ「それじゃあ届けに行こ!」

アイシェ「うん!」

アップルパイを丁寧に包むと、2人はワープスターに乗ってデデデ城へ向かい…

デデデ「おーアイシェが作ったのか!」

バンワド「すごーく良い香り!」

アイシェ「みんなで食べてね。」

デデデ「ありがとな、アイシェ!」

バンワド「夕食のデザートに貰うね!」

2人が喜んでくれたのを見届けてからデデデ城を後にすると、今度は戦艦ハルバードへ向かい…

メタナイト「ほぅ…其方が作ったのか?」

アイシェ「うん、皆さんで食べて欲しいなって。」

メタナイト「ありがとう、食後に頂くとしよう。」

少し話をした後にメタナイトと別れ、2人がワープスターに乗って家に向かっていると…

カービィ「あ、見てみてアイシェ!」

アイシェ「え?わぁ…!」

彼の指す方向を見ると、それはオレンジオーシャンに沈む夕陽の光景で…

カービィ「綺麗だね、アイシェに見せられてよかった。」

アイシェ「うん、すごく綺麗…ありがとうカービィ。」

2人は美しい夕陽をバックに帰路を急ぎ…その後は晩ご飯を食べたりお風呂に入ったりして眠りについたが…

夜中…

キラキラ…月明かりとは違う、眩しい光が窓から差してきて…アイシェは目を覚ました。

カービィ「すぅ…すぅ…。」

一方のカービィは全く気づく事は無く、ぐっすり眠っている彼を起こさない様にそっと着替えて外に出た

アイシェ「何の光だったんだろ…?」

辺りを見ても、明かりの正体らしき物は無くて…不思議に思っていたアイシェだが…

???「お前が最近来たっていう住民なのサ?」

上空から声が聞こえたかと思うと、アイシェの元に大きな影が…

月明かりに照らされて作り出された影に映る羽…二股に分かれた帽子…そして何よりその特徴的な喋り方…

ふと見上げると、そこに居たのは…

To be continued…